- はじめに
- T 音楽療法をはじめるにあたって
- 1 子どもの豊かな表現を読みとる … アセスメントを考える
- 2 一人ひとりの子どもにめざすもの … 目標の設定
- 3 子どもと一体感を持つ … セッションにのぞむ
- 4 楽しい雰囲気を演出する … セッションをつくる
- U はじまりと終わりを大切に
- ―あいさつの歌・さようならの歌―
- 1 あいさつの歌(集団)
- 事例 呼びかけに「はい」と応えられるようになったAさん
- 2 あいさつの歌(個別)
- 3 さようならの歌
- V 相手とやりとりをしよう
- ―身体接触遊び・模倣遊び―
- 4 身体接触遊び『ゆーらゆーら』
- 事例 模倣ができるようになった自閉症児Bくん
- 5 模倣遊び『頭トントン』
- 6 即時反応遊び『オオカミなんかこわくない』
- 事例 手を叩き合えるようになった自閉症児Cちゃん
- W ダイナミックに身体を動かそう
- ―粗大運動・協応動作―
- 7 歩く・走る・ジャンプする
- 8 フープ跳び遊び
- 9 バスごっこ
- 10 布で遊ぼう『ひらひらひら』
- 事例 自ら参加するようになった自閉症児Dちゃん
- 11 ジャンピング台跳び
- 音楽療法のキーワード『音楽と動きの一体化』
- 12 とまと体操
- 音楽療法のキーワード『子どもの意思を尊重する』
- 13 バルーンで遊ぼう
- X 友だちと一緒に遊ぼう
- ―2人組遊び・集団遊び―
- 14 2人組遊び『いっしょにおさんぽ』
- 15 集団遊び『輪になって遊ぼう』
- 事例 音楽を身体で感じられるようになったEちゃん
- 16 集団遊び『自動車ごっこ』
- Y みんなで歌を歌おう
- ―目的に応じた歌遊び―
- 17 ことば遊び『パッパッパ』
- 事例 『パッパッパ』での子どもたちの様子
- 18 手遊び歌『手で遊ぼう』
- 19 記憶遊び『箱の中身はなにかな』
- 20 ことば遊び『山へのぼろう』
- 21 ことば遊び『おっきい,ちっちゃい』
- 22 歌のリクエスト
- 音楽療法のキーワード『沈黙の共有』
- 23 イメージ遊び『なにかな』
- Z いろいろな楽器を使ってみよう
- ―楽器操作・合奏―
- 24 パドルドラム叩き
- 事例 集中力が高まり,笑顔を見せるようになったFくん
- 25 トーンチャイム遊び
- 26 水笛遊び
- 27 ツリーチャイム遊び
- 28 小太鼓とツリーチャイム遊び
- 29 音つみき遊び
- 30 合奏『リズムに合わせよう』
- 31 合奏『風になりたい』
- 32 楽器屋さんごっこ
はじめに
音楽療法や音楽教育の場面において,私たちは障害のある子どもたちとどのように一体感を持ち,豊かな関係作りを行っていけばよいのでしょうか。このことは,障害児とかかわりを持ち始めた多くの人が一度はぶつかる壁のようです。たとえ素晴らしい音楽性を持っていても,子どもを理解し,スムーズな関係づくりを行う力がなければ実践はうまくいかないでしょう。子どもは皆,豊かな世界を持っています。一見何も活動していないようでも,実はたくさんのことを吸収し,あとになって大きな力を発揮することがよく見られます。彼らの発するごく小さなサインの中にはいろいろな意味がこめられており,私たちはできるだけ丁寧にそれらを受けとめ,気持ちに寄り添うことで,日々子どもとの関係を深めていくのです。そして,それは様々な要素を含む音楽活動の中で行いやすいと考えるわけです。
本書では,子どもとの関係性を育む中で,音楽活動の場面において最も大切にしたいことを理論的及び実践的にまとめてみました。特に実践編では,ハウツー的な紹介に留まらず,常に何のために(ねらい),どのように(適切な援助)行うのか,という視点を大切にし,また障害の重い子どもの立場にも立つように心掛けています。本書が,障害児と音楽を通じてかかわるすべての関係者のために,少しでもお役に立つことができれば幸いです。
最後に,執筆にあたり様々なアドバイスをいただいたNPO法人子ども発達センターとまとの副代表,藤江美香さんをはじめすべてのスタッフに心より感謝申し上げます。また,本書の出版にあたり企画の段階から多大なる励ましと丁寧な助言をいただいた明治図書出版株式会社の佐藤智恵さんに心から御礼申し上げます。
2005年3月 /加藤 博之
子どもって音楽好きなんですよね。リズムにのせての指導はとても有効。
特に「箱の中身は何かな?」でルール理解のために透明な箱を使うとよい、など指導のコツも充実していてよかったです。
続編とか?楽しみにしています。
教室の子どもたち(障害児)はみんな音楽が大好き。この本で、好きな音楽を使って子供に友だちへの意識を高めたり、やりとりを増やしたりコミュニケーションの力をつけさせることができると思います。
また、障害の種別や程度にあわせて、具体的な支援の方法があり、とても勉強になりました。