- 刊行にあたり
- T 法教育を始めよう
- ―今求められる法的資質の育成のために―
- 1.司法制度改革が公民的分野の学習に問いかけるもの
- 2.法教育とは何か
- 3.公民的分野の日課としての法や司法の学習とは
- 4.授業上の留意点について
- U 法教育Q&Aワークシート
- ―身近にある法とわたしたち―
- 第1章 法とわたしたち
- ―法の基礎的な考え方を学ぼう―
- @マナーがあれば法(ルール)なんていらない?
- A法はいつからあるの?―そもそも法とは何か―
- B法は「正義」を実現する?―正義とは何か―
- Cみんなのことは誰が決める?―民主主義と法・多数決―
- D「みんなで決めてはならないこと」って何?―立憲主義と法・少数者の保護―
- E憲法は「守る」ではなく「守らせる」?
- F何が犯罪?―罪刑法定主義―
- G犯人と疑われている人をどう扱う?―国家による刑罰権独占―
- H「契約」っていつ結んでいるの?―私的自治の原則・契約自由の原則―
- Iレシートを持っていけば返品できるの?―契約解除の特例―
- J「国」のルールと「地域」のルールの関係は?―法律と条例―
- K国際社会にも法はあるの?―国際法と国内法―
- 法教育コラム 法律専門家との協同作業で豊かな法教育を@
- 第2章 わたしたちの生活と法
- ―くらしの中の法を学ぼう―
- @身のまわりの法を探そう!
- A外国人になることはできるの?―国籍と法―
- B拾った1万円札,自分のものにしたらマズい?―所有と法―
- C求人広告,何か変?―男女平等と法―
- D「時給100円」のアルバイトってアリ?―働くことと法―
- E今すぐ彼と結婚できる?―婚姻と法―
- F自分の住所が友達のブログに。どうしたらいい?―情報と法(1)―
- GレンタルCDはコピーできないって本当?―情報と法(2)―
- H「責任」って何だろう?―契約と法(1)―
- Iクリックしたら請求書が! どうしたらいい?―契約と法(2)―
- J企業の責任って何だろう?―企業と法―
- Kいじめはなぜいけないの?―学校生活と法―
- L1000円借りただけなのに,10日たったら1万円?―経済生活と法―
- 法教育コラム 法律専門家との協同作業で豊かな法教育をA
- 第3章 裁判とわたしたち
- ―裁判のしくみや役割を学ぼう―
- @民事裁判はどうして必要?―民事裁判の役割―
- A刑事裁判はどうして必要?―刑事裁判の役割―
- B法廷をのぞいてみよう!―「法曹三者」の役割―
- C本当のことは誰にもわからない?―事実認定―
- Dなぜ悪人を弁護するの?ー検察官と弁護士―
- E裁判で,黙っていていいのはなぜだろう?ー被告人の権利―
- F犯罪を行った中学生の名前が新聞に?―少年法の役割―
- G貸したお金を取り戻すには?―民事裁判の進み方―
- H自分のものが盗まれたら?―刑事裁判の進み方―
- I死刑は「残虐な刑罰」か?
- J「みんなで決めた」法律が変!―裁判所は「憲法の番人」―
- K一般市民が人を裁く?―裁判員制度―
- 法教育コラム 少年事件の少年との面接と法教育
- V 法教育における法や司法の学び方
- ―法律実務家としての関わりから―
- 1.法律実務家達との連携を図ることから,今に生きる法教育が展望できるのでは?
- 2.法や司法の基礎・基本とは何か?
- (1) 法律専門家になりたがる?
- (2) すぐに裁きたがる?
- (3) 過去の倫理や道徳に最終の答えを求めたがる?
- (4) 法の理屈で相手を負かせたがる?
- 法教育の未来と仲間たちについて―あとがきにかえて
刊行にあたり
現在学習指導要領の改訂に際して,社会科公民的分野の内容や道徳,特別活動の観点として法教育が注目されている中で,『法教育Q&Aワーク』を明治図書出版のご尽力により刊行することができました。編著者の一人として,本書を通じて我が国の法教育の充実に貢献できることができればと思います。
さて法教育の理念,考え方やモデル的な教育実践事例については,いくつかの先駆的な著作物等が,全国法教育ネットワーク・法務省法教育研究会・日本弁護士連合会市民のための法教育委員会・社会科研究者等によって刊行されています。
こうした中で,本書は,社会科公民的分野の難しいと思われている法や司法の学習において,先生方がすぐにでも使えるようなワークシートを中心に作りました。あわせてワークシートごとの解説では,法律実務家の眼からみて,実際的・現実的な法的なものの見方を盛り込みつつ,これまでの先生方の知識や経験を生かせるように作ってみました。そのため,法教育の充実については,改めて法律書を読むことなく,本書によってかなりの程度は達成できるのではないでしょうか。そして子どもたちが,法や司法の基礎・基本を授業でシートを使いながら,活き活きと学んでいければ,これにまさる喜びはありません。
本書は目次の通り,法的なものの基本的な見方や考え方を,憲法を頂点とした法やルールとのかかわりからまずとらえ,次に法やルールによって示された権利や責任などを日常のケースで確認しつつ,司法にゆだねる性質の問題についてはその基本的な考え方や手続きを理解するといった構成になっています。もちろん法や司法の理解はこれだけで十分という性質ものではないでしょうが,公民の学習でこれだけは子どもたちに知ってほしいという想いから,テーマの精選を試みました。ぜひ本書を手かがりに,法や司法の現代的なとびらを開いてほしいと願っています。なお法的なものの見方や考え方は,他の分野や道徳,特別活動などの領域でも活用できると考えます。本書を活用され,足らざるところを,先生方が,独自に改善されることを期待します。
最後になりましたが,本書の企画・刊行に際しては,明治図書出版及び編集者の及川誠氏にはご尽力頂きました。改めて心より感謝する次第です。
編著者の一人として /江口 勇治
一番よかったのはワークの解説ページで、ドラマや映画・ニュース、日常生活の例などを挙げてルールや法律がわかりやすく解説されているところ。
ワンクリック詐欺や裁判官のバッヂの話など、小話のネタ本として使わせていただきます。…実は弁護士の先生の監修というところが一番心強かったりするのですけれども。(笑)
子どもに教える以前に、ルールや法の知識に不安がある方には、参考書としておすすめできる本です。