- はじめに
- 第1章 数学好きにするための授業のコツ
- 第2章 数学好きにするアイデア70集
- 1.授業のアイデア
- 《1年》
- [1] 酸とアルカリの加減―正の数・負の数の加減
- [2] 加法表から何がわかる?―正の数・負の数の加減
- [3] スーパー魔方陣で練習しよう―正の数・負の数の加減
- [4] もっとも小さいものはどれですか―正の数・負の数(乗法)
- [5] 2aと3aではどちらが大きいか―文字の式(式の値)
- [6] 式を簡単にするとは…―文字を使った式(式の計算)
- [7] モデルを使って説明させよう―方程式(等式の性質)
- [8] 家系図をつくろう!―方程式
- [9] 正方形が増えると…―比例
- [10] 直線と聞いて階段を連想しよう―比例
- [11] 条件を変更してみると その1―平面図形(垂直二等分線)
- [12] 条件を変更してみると その2―平面図形(角の二等分線)
- [13] 「トンボのめがね」 をつくろう!―平面図形(作図)
- [14] 円の中心測定器―平面図形(垂直二等分線)
- [15] どこでも行ける―平面図形(平行移動・回転移動)
- [16] 立体図形を電話で伝えよう―空間図形
- [17] タケヤブヤケタ(回文)―課題学習
- 《2年》
- [18] 学習した式は,どれだ?―式の計算
- [19] どちらのコースが近道?―式の計算(式の計算の利用)
- [20] なぜ式をたしたりひいたりしてもいいの―連立方程式(加減法)
- [21] 4×4枠を使う―連立方程式(食塩水の問題)
- [22] さおばかりで予想をくつがえす―一次関数
- [23] 傾きは道路標識で―一次関数(一次関数のグラフ)
- [24] 連立方程式の解って何ですか―一次関数(連立方程式とグラフ)
- [25] 鉛筆を動かして―図形(多角形の外角の和)
- [26] 証明の根拠を色カードで表す―図形(星形五角形の頂角の和)
- [27] 合同の証明を形式化しよう―図形と合同(証明)
- [28] 合同な直角三角形はどれ?―図形と合同(直角三角形の合同条件)
- [29] 2つの正三角形―図形と合同
- [30] 図をかきながら提示してみる―図形と合同(二等辺三角形)
- [31] 「えっ」と思わせよう―図形と合同(正三角形)
- [32] カードゲームで学習意欲を喚起―図形と合同(平行四辺形になる条件)
- [33] 論より証拠―図形と合同(長方形とひし形)
- [34] 予想をくつがえすサイコロ―確率
- [35] お母さんに上手に言い訳をしよう―課題学習
- [36] 多角形タイルで平面をしきつめよう―課題学習
- 《3年》
- [37] 紙を並べ替えて長方形をつくる―式の計算(因数分解)
- [38] どちらの的を選びますか?―式の計算(式の計算の利用)
- [39] 池の周りにできる道の面積―式の計算(式の計算の利用)
- [40] 逸話を利用した導入―平方根
- [41] 正方形をできるだけつくる―平方根
- [42] この考えのどこがいけないの!―二次方程式
- [43] 復習から学習計画づくりをしよう―関数
- [44] 世界一の人は時速何qで走る?―関数(y=ax^2)
- [45] 放物線を見る―関数(放物線)
- [46] 平行線は相似をつくる―相似(平行線と線分の比)
- [47] 三角形コマをつくろう―図形と相似(重心)
- [48] 三平方の定理を証明しよう―三平方の定理
- [49] マンガ本とミロのビーナス―課題学習(黄金比)
- [50] ペッグゲームで数学しよう―課題学習
- [51] 三日月と直角三角形の神秘!―課題学習
- 2.授業づくりのアイデア
- [52] ◯つけ法をしよう―机間指導のアイデア
- [53] 苦手意識のある子どもへの支援―支援の在り方
- [54] 話し合い活動を活性化するには―話し合いのポイント
- [55] 間違えたらボーナス点!―話し合いのポイント
- [56] 仮定,結論を色分けする―板書の工夫
- [57] 白紙黒板―板書の工夫
- [58] つぶやきを黒板に書こう―板書の工夫
- [59] 動きのともなった評価―習熟の工夫
- [60] カード方式で習熟を図る―習熟・定着の工夫
- [61] TTのメリットを生かそう―チームティーチングの工夫
- [62] 一人は発問,一人は板書に徹する―チームティーチングの工夫
- [63] 記述式問題を出題しよう1―テスト問題
- [64] 記述式問題を出題しよう2―テスト問題
- [65] 今日の授業の日記をつけよう!―評価の工夫
- [66] 1年生4月 算数から数学へ―数学の学習の基礎づくり
- [67] ノート指導は授業の土台―ノート指導
- [68] 子どもたちが望むノート点検を―ノート指導
- [69] 自己学習ノートの工夫―家庭学習
- [70] ノート型コンピュータを三人で囲む環境がベスト―コンピュータの利用
- おわりに
はじめに
日本の数学教育のレベルは,得点でいうと国際調査で27か国中第3位でよい成績である。堂々とした順位である。これは,我が国の教師の努力の結果であると言いたい。だから,もっと誇りをもってよい。
ところが,同じ調査で「好き・嫌い」を調べると,53%が好きというデータであった。その数値は,27か国のうちで第26位でかなり低い。
そこで,このデータをどう解釈するべきかが,今後の数学教育の方向を決めることになる。私は,53%というのはまあこんなものだろうという感想である。悲観論には傾かない。
というのは,このデータで「好き」の割合が多い国は,ほとんど成績が悪い国である。だから,それほど落ち込む必要はない。
したがって,このままの成績を維持しつつ,数学好きを増やしたいのである。成績が落ちても数学好きが増えればいいという主張は,社会にとっても現場の教師にとっても全く受け入れられないものである。
同時にレベルアップしていくことがいいのである。53%が少しでも増えればいいのである。20%アップすればかなりいいレベルとなる。
では,どうすれば数学が好きになるのか。
「わかる」「できる」「楽しい」授業の創造である。この3拍子そろった授業づくりをめざす必要がある。
ところが,中学校の現実はきびしいものがある。
中学校の教師は毎日の生徒指導・部活指導等にエネルギーをそそぎ,授業改善の面で精神的・時間的に制約がある。授業研究をしたくても,ついつい後回しになってしまう現状がある。
そういう現状に対して中学校の数学の研究を深め,改善しようという動機で数学授業研究会が始まった。数学探しの授業の創造をめざしてレポートを出し合い検討を重ねてきた。日本数学教育学会群馬大会でも発表した。
そうこうするうちに,毎日の授業で工夫できるアイデアに具現化できないだろうかというメンバーの声があがった。普段着の授業ですぐに役立つアイデアを出し合うということで,原稿を持ち寄り,審議してきた。しかも,パッとみてわかる原稿ということで2ページに簡潔にまとめてみようということになった。
それぞれのメンバーがもつアイデアは,結構個性があった。メンバーの数学授業に対するこだわりは相当なものであった。議論していくと何度も没になった原稿もあった。2ページで書くという制限はかなりきつかった。
それでも,元の個性を生かしつつ,だれもが使えるように修正してきた。この審議の過程を通して,メンバーにはかなり勉強になった。
したがって,それぞれのアイデアは,かなりこなれたものとなったと言えよう。企画,執筆開始から2年間でようやく完成をみた。
メンバーは30代,40代でとても忙しい人たちである。その人たちが一堂に会して数学の授業のアイデアを結集することができた。会の代表として心から感謝申し上げたい。
最後になったが,明治図書の編集部長の樋口雅子氏には,この企画をもち込んだところ快く承諾してくださった。本当にありがたいことである。
「数学大好き」というタイトルは,樋口氏がつけてくださったものである。私と豊田市立高嶺小学校が,昨年4月に「算数大好き」という本を出版した。樋口氏はそれに対応して名付けたのであろう。「数学大好き」は,メンバーの願いを端的に表した書名であると言える。この本のアイデアを通して,少しでも数学好きな子どもが育つことを願ってやまない。
2000年4月 数学授業研究会代表 /志水 廣
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- 明治図書
- すぐに使える内容が多くあり、よかった。2022/9/2530代・中学校教員
- 授業で使えるアイデアがあり、役立った。2017/3/2230代・中学校教諭