- はじめに
- T 教科書を活用した授業づくりのコツ
- 数学の教科書を活用した授業づくりのアイデア
- 1 教科書の活用法の基礎
- 2 自ら考える力をつけさせるための教科書研究と授業実践
- 3 終わりに:この本のコンセプト
- U 教科書を活用した授業のアイデア集
- <第1学年>
- [1] 正の数・負の数
- 数直線を負の数に拡張する
- 「−5大きい」ってどういうこと?
- プラ・マイ大作戦
- すっちゃんカードで計算楽々
- 計算練習は,あの手この手
- トランプゲームで習熟度アップ
- [2] 文字の式
- フロッピーケースに数をあてはめる
- 覚えることはリズミカルに
- 面積図にしたら見える式の計算
- [3] 方程式
- 方程式ってどんな式?
- ことばの式から方程式に
- 速さの問題は動作をさせる
- [4] 比例と反比例
- 連続量を表で意識させよう
- 地図を使った座標指導
- [5] 平面図形
- 図形の提示にちょっと一工夫を
- 答え合わせは確実に
- 線対称,点対称は作業をしよう
- コラム 液晶プロジェクターを使おう
- [6] 空間図形
- 最短距離をいろいろに
- 辺や面を移動させて考えてみよう
- 空中黒板にかく
- 視点を1つにしぼると全体が見えてくる
- <第2学年>
- [1] 式の計算
- 具体物で確認しよう
- 計算の順序の確認を
- 数の代表選手を決めよう
- [2] 連立方程式
- 式を代入するのはカードを使う
- ヒントは2つ必要です
- 不完全な問題から数量関係をとらえていく
- 運転手の位置に注目する
- [3] 一次関数
- 変化の割合を反比例で検証する
- ピタッと合えば,うれしさ倍増
- グラフから問題場面を読みとらせよう
- [4] 図形の調べ方
- 同位角・錯角って,何?
- 唱えながら覚えよう
- 楽しみながら合同条件を覚えよう
- 合同は作図から
- 7行証明で,パターンをつかめ
- [5] 図形と合同
- 作図をしながら証明を進めよう
- If A, then B. の形でまとめよう
- 紙を折ることで,補助線が見える
- つくって試す円周角の定理
- ちょうちょの法則「角」編
- ちょうちょの法則「合同」編
- ちょうちょの法則「面積」編
- [6] 確率
- 実際に実験をやってみよう
- 予想をくつがえす実験
- <第3学年>
- [1] 式の計算
- 因数分解の手順を考える
- □をうめて考えよう
- みんなalだ
- [2] 平方根
- なぜ √って必要なの?
- 既習内容を想起させ,学習の見通しを考えさせよう
- [3] 二次方程式
- 基本の形に戻して
- どちらかが0だ
- 両辺を3xでわってもいいの?
- [4] 関数y=ax2
- グラフの x座標,y座標に着眼しよう
- 関数 y = ax2 のグラフはすべて相似?
- 転がる玉はすごく速いぞ!
- 関数を比較して覚える
- コラム すばやくa√bにさせる方法
- [5] 図形と相似
- 相似な三角形を重ねよう
- 対応する辺や角,頂点がわかる工夫を
- 線分を平行に移動して相似をみつけよう
- 中点連結定理を操作活動で確認しよう
- 中点連結定理はいろいろと使えるね
- [6] 三平方の定理
- 三平方の定理を操作活動でとらえよう
- 斜辺を赤色で塗る
- 三角形の面積を求めていこう
- 四平方の定理と名づけます
- おわりに
はじめに
数学授業研究会とは,愛知県内各地の数学教師が,日ごろの授業に対する思いを語りながら授業づくりの研究を進めている集まりである。
ある時,授業の話をしている中で,「授業名人といわれる人の授業は,どこか違う。同じように教科書を使っていても,何気ない一言に味がある。“ここ”という押さえどころを心得ている」という話題が出た。「あの場面でいった一言で子どもたちの理解が深まった」 また,「黒板の図の色チョークの使い方はさすがだ,わかりやすい」など。同じ教科書で同じ問題を取り上げて授業をしているのだが何かが違う。
先日,私の職場に,ススキや野菊などの野草がきれいに生けてあった。生けてくれた人は「どこにでもある草花だけど,こうして飾ると素朴でとてもきれいでしょう。作られた感じじゃなく,自然の形がいいんだよ」と言った。普段何気なく見過ごしてしまうような野の花も,よく見ると素朴でとても美しい,味がある。この素朴な中から,その人の感性で美しさを感じ取りうまく表す,これがポイントだなと思った。授業でいえば,普段何気なく見過ごしてしまうものは教科書である。
そこで,日ごろ,教科書を使って授業をしている中で,ちょっと気をつけているところ,ちょっと工夫しているところを出し合い,よりよい授業を進めていくための指導のポイントを明らかにしていくことが大切だと考えた。同じ問題を扱うのだが,その押さえどころはどこか,また子どもたちのつまずきやすいところ,そしてその解決はどうするかなど,ベテラン教師といわれる人たちのちょっとした授業の工夫のポイントを集めてみたのが本書である。
私たちが気をつけているところ,指導のポイントが少しでも皆様のお役に立ち,数学好きな子どもが増えれば幸いである。
数学授業研究会 /小池 嘉志
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- 明治図書