中学校数学科 授業を変える「発問」と「課題提示」の工夫71

中学校数学科 授業を変える「発問」と「課題提示」の工夫71

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生徒に力をつける「発問」には、考え抜かれた意図が隠れている

毎日の数学授業で必ず行う「発問」や「課題提示」。何気なく行っているそれらを少し工夫するだけで、授業は劇的に変わる! そんな具体例を授業の流れとともに3年間の全単元にわたって明示。授業がうまくいかない、授業づくりを見直したいと考える先生必携の1冊です!


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PDF
ISBN:
978-4-18-542514-8
ジャンル:
算数・数学
刊行:
7刷
対象:
中学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 毎日の数学授業の課題提示と発問を考える
U 授業を変える「発問」と「課題提示」の工夫71
《1年》
◆◇◆正の数・負の数◆◇◆
[0より小さい数] +や−の記号は身のまわりのどんなところで使われていますか?
[正の数・負の数の加法・減法] 負の数に置き換えてみるとどうなるでしょうか?
[絶対値と数の大小] どんな数でも,それを2倍したらもとの数より大きくなりますか?
[正の数・負の数の乗法・除法1] 除法を乗法に直すとどんなよいことがあるでしょうか?
[正の数・負の数の乗法・除法2] かけると1,たすと−1となる3個の数を見つけましょう
[分配法則] 2人はそれぞれどのように考えて計算したのでしょうか?
◆◇◆文字の式◆◇◆
[数量を文字で表すこと1] ことばを使って式に表してみましょう
[数量を文字で表すこと2] この式の“2”はどうして出てきたのでしょうか?
[文字式の表し方] どうしてかけ算の記号を省き,わり算は分数の形で書くのでしょうか?
[文字式の加法・減法] (3x+2x=?)計算の仕方を説明してみましょう
[関係を表す式] 3a+2bは何を表しているでしょうか?
◆◇◆方程式◆◇◆
[方程式とその解] 解が3つになる方程式をつくってみましょう
[等式の性質] どの性質を使っていますか?
[方程式の解き方] 解いた手順をわかりやすく説明してみましょう
[方程式の利用1] 文字を使わずに解いてみたらどうなるでしょうか?(その1)
[方程式の利用2] 文字を使わずに解いてみたらどうなるでしょうか?(その2)
◆◇◆比例と反比例◆◇◆
[比例の式] この先がどうなるのか考えてみましょう
[比例のグラフ] 本当に直線になるのでしょうか?
[反比例の式] このグラフ(表)からわかることを話し合ってみましょう
[比例・反比例のグラフ(日常場面への活用)] どんなところに気をつけてグラフをかくとよいでしょうか?
◆◇◆平面図形◆◇◆
[対称な図形] どうしてこのように分けたのですか?
[基本の作図] 定規とコンパスで75°の角を描いてみましょう
[円とおうぎ形の計量] どうしてこちらのおうぎ形の面積が大きいのでしょうか?
◆◇◆空間図形◆◇◆
[色々な立体] 色々な方向から描いてみましょう
[空間内の平面と直線] 机の脚は4本なのに,どうして三脚の脚は3本なのでしょうか?
[面や線を動かしてできる立体] 回してできる立体を描いてみましょう
《2年》
◆◇◆式の計算◆◇◆
[式の加法・減法] 2つ以上の考え方で説明してみましょう
[単項式の乗法・除法] ab÷a×bとab÷abは同じでしょうか?
[文字式の利用] どうして同じ結果になるのでしょうか? まとめて考えられないでしょうか?
◆◇◆連立方程式◆◇◆
[連立方程式とその解] 何がわかると解が決められるでしょうか?
[連立方程式の解き方] このマグネットを用いてわかりやすく説明しましょう
[色々な連立方程式] 自分たちで連立方程式の練習題をつくってみましょう
[連立方程式の利用] 表を用いて新しい問題を考えてみましょう
◆◇◆一次関数◆◇◆
[一次関数の値の変化到着時刻を予測するには何がわかるとよいでしょうか?
[一次関数のグラフ] y=2xのグラフをもとに説明しましょう
[関数のグラフ] このグラフは正しいでしょうか?
[連立方程式とグラフ] あなたはどのプランを選びますか?
◆◇◆図形の調べ方◆◇◆
[角と平行線] 点Oを動かしても成り立つでしょうか?
[多角形の角] どう考えると180°×5−180°になるでしょうか?
[合同条件と証明の進め方] 「その間の」というのは必要でしょうか?
[証明とそのしくみ] 三角形の形が変わっても成り立つでしょうか?
◆◇◆図形の性質と証明◆◇◆
[二等辺三角形] 式で表してみましょう
[直角三角形の合同] 同じ長さだと思う線分を見つけましょう
[図形の性質と証明] 友人の描いた図と比べてみて何かわかることを書き出してみましょう
[平行四辺形の性質] 平行四辺形について知っていることを書き出してみましょう
[平行四辺形になる条件] 点Dはどこにあるでしょうか?
[平行線と面積] (頂点なら簡単に半分に分けられたね。)その考えを使えないでしょうか?
[円周角の定理] (画面を見ながら)点Pがここにあるときは証明できていますか?
◆◇◆確率◆◇◆
[確率の意味] 「同様に確からしい」という言葉は必要でしょうか?
《3年》
◆◇◆式の展開と因数分解◆◇◆
[式の乗法・除法] 等しくなる理由を式変形で考えてみましょう
[因数分解] どのような場合でも長方形がつくれるでしょうか?
[式の計算の利用] 見つけた関係はいつでも成り立つでしょうか?
◆◇◆平方根◆◇◆
[平方根] 1÷7,2÷7,3÷7を実際に計算して,気づくことを書いてみましょう
[平方根の値] どちらの図形のまわりの長さが長いでしょうか?
[根号をふくむ式の計算] aやbに具体的な数を代入して説明してみましょう
◆◇◆二次方程式◆◇◆
[二次方程式とその解き方] この図からわかることを書き出しましょう
[二次方程式と因数分解] (x−2)(x+4)=0を満たす他のxの値はありませんか?
[二次方程式の利用] 問題文に戻ってもう一度考えてみましょう
◆◇◆関数y=ax^2◆◇◆
[関数y=ax^2] 〜にともなって変わるものを見つけ出しましょう
[関数y=ax^2 のグラフ] グラフをかくときに気をつけるとよい点をあげてみましょう
[関数y=ax^2 の変化の割合] 2人はどのような速さで動くのでしょうか?
[関数y=ax^2 の利用] 少しずつ動かしてみてグラフや表をかいてみましょう
◆◇◆図形と相似◆◇◆
[相似な図形] 形が同じとはどういうことでしょうか?
[三角形の相似条件] 「それぞれ」と「すべて」はどう違うのでしょうか?
[相似条件と証明] この中に相似の関係にある図形はあるのでしょうか?
[相似の利用1] どうしてこのような測り方をするのでしょうか?
[相似の利用2] この道具で拡大した図が描けるのはどうしてでしょうか?
[中点連結定理] (動かしてみて)何か気づくことがありますか?
◆◇◆三平方の定理◆◇◆
[三平方の定理] 三平方の定理の証明をわかりやすく説明してみましょう
[平面図形への利用] 色々な場所で測って気づいたことを示しましょう
[空間図形への利用] AGを含んでいる面を描いてみましょう

はじめに

 研究授業後の協議会などで,「今日の授業の目的は何ですか?」という質問をよく受けます。この場合,内容も特定され,さらに一度の授業でねらう事項はそれほど多くは考えないので,その日の授業に合わせてお答えしています。

 「生徒にどのような力をつけたいですか?」と聞かれることもあります。生徒に身につけてほしい力は多岐にわたるので,一言で答えるのは大変難しいことですが,1つあげるとすれば,「自分で問いを発する力」であると思います。「問いを発する」ということは自分の問題として取り組むことにつながっていきます。どんどん問いを発するようになれば,主体的に取り組む事柄も増え,結果として飛躍的に力がついていくでしょう。

 さて,「問いを発する力」はどのようにつけていくのでしょうか。授業場面で考えると,その力をつける初期段階として「質問をする力」,「質問を考える力」をつけていかなければならないのではないでしょうか。よい質問を考えること,それを表現していくことの積み重ねによって「問いを発する」力と習慣はついていくのでしょう。

 それでは,生徒が「よい質問」を考え出せるようになるにはどうしたらよいのでしょう。それにはまず,「よい質問」を数多く「聞いて考える」ことが必要ではないかと思います。

 「よい質問者を育てるためには,まず教師が見本を見せなければならない」ということです。普段の授業で適切な質問(発問)をし続け,それを徐々に根づかせていくのです。それゆえ,教師は教材研究の段階から,生徒のその後の質問力向上を意図した授業を練っていく必要があります。その目的を達成するために,「課題提示−発問」の計画をていねいに立てるのだと思います。

 本書で扱う71個の発問は,どれも特別なものではありません。提示されている課題も教科書・問題集などでよく見られる課題を中心に集めています。幸運なことに,私の教えた生徒たちは輪番で授業記録ノートに毎時間毎時間の私の発問とそのやりとりを克明に記録してくれました。本書では,それら膨大な記録をふり返り,普段行っている「課題提示−発問−活動」の意味を改めて捉え直し,さらに効果的であったものについて分析を加えて紹介しています。

 また各発問は,3年間を通して,思考力・判断力・表現力などの力が生徒に根づいていくように願って考えています。ですから,提示する課題や個別の発問1つ1つは変わっていても,根底に流れる発問の考え方はそれほど多くはありません。何度か目を通していただければ,その雰囲気をつかめるでしょう。ぜひ,読者の皆様の目の前にいる生徒に合わせて,発問と課題提示を適用していただきたいと思います。


 最後になりましたが,企画・出版に際して明治図書の矢口郁雄氏には大変お世話になりました。これまでに行ってきた授業の考え方やその記録をまとめるよい機会を与えていただきました。厚く御礼申し上げます。


  2008年5月   /水谷 尚人

著者紹介

水谷 尚人(みずたに なおひと)著書を検索»

近畿大学教職教育部講師

1969年2月,愛知県生まれ。

愛知教育大学教育学部特別教科(数学)教員養成課程卒業

筑波大学大学院修士課程教育研究科教科教育専攻修了

愛知淑徳学園愛知淑徳高等学校教諭

筑波大学附属中学校教諭を経て現職

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • 略案の形式になっていると,さらによい。
      2019/12/2940代・中学校教員
    • よくわかりやすいです
      2018/12/2020代・中学校教員
    • 非常にワクワクする一冊でした
      すぐに授業で取り扱いたくなる内容がたくさんです
      発問の奥深さを改めて感じ、とても勉強になりました
      2016/3/2730代・中学校教員

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