- 『おもしろ数学』の刊行に寄せて
- 著者まえがき
- 1.映画と絵本で数学しよう プリントbP
- 2.トランプマジックはいかがですか プリントbQ
- 3.数表の秘密を解明しよう プリントbR
- 4.離散数学への招待 プリントbS/ プリントbT
- 5.トリックカードの秘密 プリントbU
- 6.図形の一刀切り プリントbV/ プリントbW
- 7.シャボン膜の数学 プリントbX/ プリント10
- 8.楕円 プリント11/ プリント12
- 9.ゲームで数学しよう プリント13
著者まえがき
私が勤めている中学校では,3年生に週1時間の「数学選択」という授業を行っています。もともとは併設高校へ内部進学する生徒たちのための推薦試験対策の演習時間でした。今はなくなってしまいましたが,その推薦試験があったときでも9月に試験が終わってしまうと,生徒たちは演習になかなか身が入りませんでした。まして4年前から推薦試験が廃止され実質的に全員が高校へ進学できるようになると,数学演習の意味はなくなってしまい,真面目に取り組まない生徒が多数出始めました。私は推薦試験があった時から試験後は演習ではなく,毎回現実世界の中で中学数学を使うような題材で,なるべく作業を伴うようなオリジナルプリントを作って取り組んできました。
そのとき役に立ったのは,長年数学教育協議会の全国大会や月例研等で学び,折りに触れて自分でもまねをしたり,自分なりに改良して実践しながらため込んできた様々な教材でした。あまり数学に興味のない生徒たちにまずこちらに注目させるために,手品や生徒が驚くようなトリックのパフォーマンスを見せたり,折り紙を折らせたり,実験やビデオを見せたりということも授業に取り入れてきました。その中で感じた不思議や疑問を数学で解明していくことを体験させながら数学の威力を教え,数学を学ぶことの意味や大切さも語ってきました。
毎年改良を加えながら行ってきた選択数学の授業も4年間が過ぎたときに,明治図書から選択数学の本の出版の話をいただき,今まで実際に授業で行ってきたことを書いてみようと思い,お引き受けしました。
毎回の教材を準備するときは,今回はおもしろいぞと意気込んで作るのですが,実際授業してみると意外にうけなかったり,難しくて分からないと言われたり,パフォーマンスではうけたものの,いざ数学での証明となるととたんにおしゃべりが始まるなど,いつもうまくいっていたわけではけっしてありません。でも,学期や学年の終わりに書いてもらった感想では大半の生徒が「楽しかった」,「数学に対する見方が変わった」,「数学も役に立つものだということが分かった」,「先生の毎回の準備に感動した」等の心温まる言葉を書いてくれました。その言葉に励まされて,また次の年も頑張ってこれたというのが実感です。
ギリシャの哲学者ソクラテスは,その感化力を世人がシビレエイのようだと評したのに対し彼は,シビレエイは自分がシビれているからこそ他人をシビれさせることができるのだと応じたと言われています。このように私たち教師自身が教える内容をおもしろいと思い,感動をもって,ワクワクしながらシビれて生徒たちに向かうことが,魅力的な授業をするためには必要だといつも自分に言い聞かせて頑張っています。
生徒が思わずのってくるような教材を探している先生方に,また教科書や問題集だけの数学に飽き飽きしている生徒諸君に,この本を読んでいただければ幸いです。
2002年2月 著者 /小森 弘三
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- 明治図書
- 数学に興味があったので、本屋を探していたら、見つけました。中には水を組み分けて量を測るなど、とても面白みのある本でした。2002/11/14たはる☆