- まえがき
- 第T章 合唱が激変する時
- ―自分を表現する喜びを味わわせよう
- 一 担任にしかできない合唱指導がある
- 1 魂のスピーチ
- 2 三年生が泣いた、一年生の合唱
- 3 それは、担任の責務である
- 二 あらゆる活動で「指名なし」を貫く
- 三 趣意を語り、モデルを示す
- 1 合唱における趣意説明
- 2 モデルを示す
- 3 優勝することが目的ではない
- 第U章 専門外でもできる! 合唱指導のスキル習得
- 一 集団を動かす原則1 目標を設定する
- 1 ゴールのイメージを教師自身が持つ
- 2 目標を共有化する
- 3 歌わない生徒にどうするか
- 二 集団を動かす原則2 仕組みをつくる
- 1 生徒自らが動いていく仕組みがある
- 2 自ら動いていく仕組み@〜四月から徹底した趣意説明〜
- 3 自ら動いていく仕組みA〜目指すべきモデルを提示することにより、サイクルをつくる〜
- 4 自ら動いていく仕組みB〜行動の方法を明示〜
- 三 集団を動かす原則3 教えて、褒めて、動かす
- 1 感動的な合唱
- 2 教えて、褒めて、動かす
- 3 教師が一番動く
- 4 数値化する
- 5 保護者も巻き込む
- 6 日常生活を重視する
- 第V章 合唱指導、私の成功の秘訣はここにある!
- 一 学級づくりと合唱指導をリンクさせ、涙の卒業式を迎える
- 1 なぜ合唱なのか
- 2 四月から布石を打つ
- 3 日々の指導
- 4 学級通信を活用し、クラス全体を高めていく
- 5 学級でした合唱指導
- 6 合唱を通じてクラスがまとまっていく
- 7 涙の卒業式へ
- 二 中学生の本気を引き出す合唱指導
- 1 失敗を繰り返さない
- 2 長谷川氏から学んだ、合唱で大切なこと
- 3 「全員」にとことんこだわる
- 4 日常生活を一番大事にする
- 5 行動する生徒を育てる
- 6 合唱祭をその時だけの「祭り」で終わらせない
- 7 日記と学級通信を活用する
- 8 全く歌えないA君
- 9 長谷川氏を追いかけると生徒は変わっていく
- 三 日々の学級経営が合唱につながっている
- 1 四月からの学級づくり
- 2 学級における所属感
- 3 一人ひとりへのメッセージ
- 4 四月からの積み重ね
- 四 指導を進化させればクラスも進化する!
- 1 勘違い
- 2 クラスの進化
- 3 今年の実践
- 4 合唱コンクール後
- 五 合唱指導は日常指導!
- 1 全員が本気になった合唱祭
- 2 黄金の三日間
- 3 目標の確認
- 4 練習に足りなかったこと
- 5 リーダーの育成
- 第W章 志士舞サークルメンバーから長谷川への直撃インタビュー
- 合唱を別次元の仕上がりにするための指導のポイント
- 1 全体の一体感はどうすればつくれるか
- 2 この場面で歌う姿が変わった!
- 3 新卒一年目から何をすればよいのか
- 4 合唱は目的ではなく手段?
- 5 練習なのに音楽専科が涙したわけ
- 6 自分を堂々と表現する とは
- 7 どこにある? 文句ばっかりいう の原因
- 8 問題が起こったときの 話し合い のコツ
- 9 一番大事なのは 目標をどこに置くか だ!
- 第X章 セミナーで寄せられた合唱指導のQに長谷川が答える
- 「媚びない・ぶれない・動じない」担任の指導が鍵
- Q1 合唱について、いつから子どもたちに話をしますか。
- Q2 なかなか歌詞を覚えられない生徒には何をしてあげればいいですか。
- Q3 荒れた中学校でもこういう合唱ができるのでしょうか。
- Q4 日常からどんな指導をしていけばいいですか。
- Q5 生徒は「団結」という言葉をよく使います。でも行動が伴っていません。どういう指導をしていけばいいですか。
- Q6 練習中に「合唱がつまらない」といつも言っている生徒がいます。何を語りますか。
- Q7 合唱をやらない生徒にはどのように対応しますか。
- Q8 合唱が成功したかどうかは何から判断すべきですか。
- Q9 合唱祭一週間前です。何をしたらいいですか。
まえがき
「歌わない生徒にどう指導すればいいのでしょうか」
「最優秀賞を取るために何をすればいいですか」
「男女間でトラブルが起こり、男子が歌わなくなりました。どうしたらいいのでしょうか」
「音楽の授業が成立していません。担任は何をすればいいのでしょうか」
セミナーやTOSSデーで毎回のように受ける質問である。
わがサークル「TOSS埼玉志士舞」が主催する研修会には、北海道から鹿児島まで、全国各地からの参加者がある。その参加者の多くが右のような悩みを抱え、問うてくる。ということは、日本中に同じ悩みを持つ教師がいるとも言える。その悩みを解決する一助となりたい。これが本書執筆の動機である。
たとえば、「最優秀賞……」の質問に、私はこう答えた。
■合唱で最優秀賞を取るというのは、目的じゃなくて手段です。
最優秀賞を取ったことで、それ以後に何ができるのかというのが大事なところなのです。
最優秀賞がゴールだとしたら、最優秀賞を取った後何が残るんですかということですね、私が言いたいのは。
たとえば学校づくりを使命とする三年生で、合唱コンクールで優勝したのに、始業式や終業式の歌を本気で歌わないというのでは、私に言わせればナンセンスなのです。無意味。点数を付けられないとやらない、賞状が出ないと頑張らない、という打算まみれの学級では駄目なのです。そういう状況では、最優秀賞の賞状などただの紙切れなのです。
賞状の出ないところで一番になれ。誰が見ていなくても汗を流せ。これが私と私の学級の子どもたちとの合い言葉の一つなのですが、日頃から日常生活を大事にしつつ、行事の時には本気で努力し、終了後に学級の質が高まる、生活の質がいちだんと高まる。そういうふうに持って行くのがこちらの仕事です。日常生活をきちんとやっている学級が優勝すれば、周りもちゃんと評価し、祝福してくれるものです。■
「最優秀賞を目的にする」ような過ちを担任が犯せば、子どもたちも共に道を踏み違える。合唱のための合唱、で終わってしまうことになる。
中学生が合唱をする。その目的は何であり、目標をどこに置けば子どもたちが本気になるのか。
それを考え抜き、子どもたちの前に示すのは、担任の仕事である。合唱指導は合唱の技術の指導のみを指すのではない。その数倍重要なのが、「生き方の指導」である。いかに生くべきかを教えることに重きを置けば、たとえこちらが技術指導の素人であったとしても、聴く人の心を揺さぶる合唱をつくりあげることができる。
こういったことを具体的に教えてくれる人は、私の周りにはいなかった。だから、学びつづけつつ、得たものと得たものとをつなぎ合わせて、自分なりに形づくっていった。
もちろん、執筆者である私や、志士舞メンバーもまだ実践の途上にある。修業の結果、うまくいくことも増えてきた。だが、まだまだうまくいかないことも多くある。だから学びつづけている。本書はそんな私たちから、私たちと同様日々子どもの事実を生み出すために修業し実践している教師への、連帯のメッセージである。
多くの教師が悩む「音楽素人の担任が為すべき合唱指導」について、このような形でまとめ発信する機会をくださった明治図書樋口雅子編集長に心から感謝を申し上げます。
二〇一〇年四月 舞い散る桜を眺めつつ /長谷川 博之
その内容の質の高さに唸った。
こんなに意識の高い生徒が育つのは
長谷川氏の力量の高さゆえだと思った。
全員が同じ方向を向いて本気で努力する
決して簡単なことではない。
自分の学級経営を見直すのに大切な一冊である。
ぜひ手に取っていただきたい。
行事とは生徒にどんな力をつけることなのか。
行事の後にどんな状態になっていることが良い行事なのか。
勉強になりました。
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