- 特集 「生きる力」をつけるソーシャルスキルトレーニング
- 特集について
- /
- 提言
- 始めてみようソーシャルスキルトレーニング
- /
- 事例
- 小学校低学年の児童へのソーシャルスキルの指導
- /
- ソーシャルスキル・トレーニングの実際
- /
- ちがいを知り,認め合い方を学ぼう!
- /
- ADHDとLDを併せ持つ中学生への指導
- /
- 保護者との連携を密にしたソーシャルスキルトレーニング
- /
- ソーシャルスキルの習得と実行を支えるもの
- /
- 「朝の会」や「日誌の指導」で身につけるソーシャルスキル
- /
- ソーシャルスキルを育てる小集団指導
- /
- 事例についての解説とコメント
- 8事例から見えてくるもの
- /
- Essay
- ロボットから見た子どもたち
- /
- 子どものページ
- 車
- 親の会ニュース (第16回)
- 埼玉親の会「麦」/京都LD親の会「たんぽぽ」
- /
- 医療との連携 (第16回)
- ADHDの脳科学C
- /
- 〜ADHDの神経心理学的研究について〜覚醒状態と時間認知について〜〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第15回)
- 友だちの力
- /
- 情報最前線/行政や海外の動向は (第16回)
- 特別支援教育コーディネーター指導者養成研修〜国立特殊教育総合研究所における研修〜
- /
- 発達に沿った支援教育
- 保育園・幼稚園/認め,受け入れられることによって安定していったAちゃん
- /・・・・
- 小学校/かけ算の筆算につまずきのある児童への支援
- /
- 中学校/通級による指導
- /
- 義務教育以降/福島県における高等学校支援
- /
- 一度は手にしたい本
- 『みんなで学ぶアスペルガー症候群と高機能自閉症』/『あなたがあなたであるために』
- /
- 編集後記
- /
特集について
「生きる力」をつけるソーシャルスキルトレーニング
文部科学省特別支援教育調査官/柘植雅義
LD・ADHD・高機能自閉症等の子どもたちに限らず,私たちは,一人一人の子どもを豊かに健やかにそして幸せに育てたいと考える。そして,社会を力強く生きて欲しいと願っている。
主に通常の学級で学んでいるLD・ADHD・高機能自閉症等の子どもたちには,各教科の目標や内容に沿って各教科の指導時間に指導を行うだけでは十分ではなく,実社会で生きていく際に必要な様々な技能を身に付けることが必要だと感じることがある。LD・ADHD・高機能自閉症等の子どもたちの中には,各教科の学習で得たことを社会で生かしていくことが苦手な子がいるからである。
そのような子どもたちに効果的とされ指導内容や方法が工夫されているのが,ソーシャルスキルであり,その指導はソーシャルスキルトレーニングと言われている。ソーシャルスキルは,社会的スキル,あるいは社会的技能とも言われる。その対照として,アカデミックスキルという言い方をする場合がある。
通常の学級に在籍するLD・ADHD・高機能自閉症等の子どもたちは,その当該学年相当の各教科を学び,級友や教師と学校生活を送る。しかし,学習上や行動上で著しい困難を示すことから,子どもによっては何らかの特別な配慮や特別な指導が必要になる。もちろん,そのような障害があるからといって,必ずそのような何らかの特別な配慮や特別な指導が必要になるとは限らないことにも注意する必要がある。
そのような特別な配慮や特別な指導は,ちょうど盲・聾・養護学校の学習指導要領にある「自立活動」に相当するものである。ソーシャルスキルトレーニングは,LD・ADHD・高機能自閉症等ゆえに必要な特別な配慮や特別な指導を含むものである。
ソーシャルスキルの獲得は,幼児から小・中学生や高校生などと,年齢を問わず欠かせないものであり,年齢とともにその内容や方法は異なる。
そこで本特集では,LD・ADHD・高機能自閉症等の子どもに欠かせないソーシャルスキルの獲得について,個々の障害の状態や,つまずきの状態,年齢や学校種などに応じた取組みを紹介する。これにより,LD・ADHD・高機能自閉症等の子どもへのソーシャルスキルに関心を持つ教師が増え,ソーシャルスキルの獲得や向上を目指した指導が各学校において行われるようになることを期待している。
そして,社会の中で力強く生きていける人,すなわち「生きる力」を逞しく持った人が一人でも多く育つことを願っている。
-
- 明治図書