- 特集 「読解力」向上の具体策を練る
- 提言・「読解力」向上の具体策を考える
- 多読を基礎に読解の〈基本・練習・応用〉学習を
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- 「場面」を意識し関係づける読みの力を育てる
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- 叙述形式と叙述内容とを一元的に指導する
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- 医教連携が読解力向上策を教えてくれる
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- 「教材」に内在する力
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- 「読みの技術」の習得・習熟をめざす―「読んだらよいのだ」では済まないのだ―
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- 「学力テスト」国語の分析結果をどう見るか
- 国語科の「学力」は低下したのか 事実を確認しよう
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- 「読解に偏重しない」で何をやるのか
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- 小中学校教育課程実施状況調査(国語)に見る、「読んで書く力」の課題
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- 低学年の「読解力」向上の具体策・私の提案
- 音読させて言葉や文を指摘させる
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- 言葉に着目した読みの指導
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- 「音読力」・「粗筋力」・「要約力」をつける
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- 中学年の「読解力」向上の具体策・私の提案
- 教材の言葉を根拠に読む力を育てる
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- 分析力を鍛える授業づくり
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- 「向山型一字読解」の授業で子供を伸ばす
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- 高学年の「読解力」向上の具体策・私の提案
- 自分の読みを伝え合う活動で高める
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- 「比べ読み・重ね読み」を用いる
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- 自らの作品世界を創造する「自力読み」の力を―22の読みの観点―
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- 中学生の「読解力」向上の具体策・私の提案
- 試験で鍛える
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- 向山型算数に学べ
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- 随筆を「発信」のために読み解く
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- 教師による朗読と情報の交流
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- 語彙を手がかりに〈読み〉をつくる
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- 「伝え合う力」を育てる教室づくり (第8回)
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- 「読書に親しむ」授業づくり (第8回)
- 「読解力」「選ぶ観点」「楽しさ」
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- 書評
- 『文学教材の新しい教え方』(渋谷孝著)
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- 『「読書算」はなぜ基礎学力か』(柴田義松著)
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- 国語教育人物誌 (第152回)
- 新潟県
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- 富山県
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- 奈良県
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- 和歌山県
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- 現場訪問 「学力向上の国語教育」最前線 (第68回)
- 国語の基礎学力定着によって英語学力との相乗効果を高める
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- 国語教育時評 (第32回)
- 授業は個人の責任で行うものだ
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- 教師の「話力」を鍛える (第8回)
- 感動させる・語る スピーチ
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- 話すこと・聞くことの授業づくりのための教材論 (第8回)
- 設定条件の「傾斜」
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- 言語活動主義批判 (第8回)
- ある保育園児に学ぶ教育の姿
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- 到達目標としての「言語技術」 (第8回)
- 読書力育成とリンクした「読む学力」の基準(上)
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- 〜基礎から発展への「評価基準」が鍵〜
- 戦後国語科教育史を見直す (第8回)
- 話すこと・聞くことが学習指導になる道程
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- 国語科教育学の可能性 (第8回)
- 国語科教育学が全てできると考えることも、何もできないとすることも共に間違いです。
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- 編集後記
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編集後記
文部科学省の「学力テスト」結果の分析を読んでいて、国語科の基礎学力の向上策を早急に立てねばならぬと思いました。まずは基礎・基本のつまずきだけでなく、応用問題における読解力が決定的に不足していることです。特に社会や算数・数学で深刻となっており、「読解力」をどうするかは国語科の責任ともいえる実践の課題となっています。
国語科はあらゆる学問の基礎をなす科目である、とよく言われています。分析では子供たちは文学的文章を嫌う傾向があり、教師は子供たちは「文学的文章に興味を持ちやすい」と考えており、両者の意識に大きな差があると解説されていますが、これは子供たちの方が健全といえるのではないでしょうか。
過日、早大で開かれた全国大学国語教育学会のシンポジウム「これからの文学教育」では昭和二五年代ごろの反戦一色の文学教育と同じように、文学教育を国家権力への批判教材として位置づけているのには驚きました。子供たちの文学離れの方が、より健全といえるようです。
戦後の国語教育は、井上敏夫氏の指摘のように、「教科書教材の比率は、明らかに内容重視に傾き、読解力そのものについての意識は、ほとんど持たれないまま、もっぱら書かれている内容を習得させることに主眼がおかれていた」(『国語科教育学研究』第七号)といえるようです。
戦前も内容中心の精読主義読解指導であったといえます。戦後の生活経験単学習が、この国の教育的風土の中に根づかなかったことと共に、内容中心の精読主義を再検討すべき時かもしれません。
新学習指導要領で「話す聞く」が国語科の中心のように見られていますが、「読解力」指導はまさに緊急課題といえるようです。(内容抜きの読解力なんてという声が聞こえてきますが)本号では「読解力」向上の具体策を練ってみたいと思いました。
(江部 満)
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