- 特集 一時間で国語力をつける授業開発
- 提言・指導事項の精選をどう図るか
- 「読む・書く」の指導技術を再確認しよう
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- 指導事項の精選を図った授業展開の提案
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- 国語の教科内容再構築のための二つの道
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- 指導事項精選のための三つの視点
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- PISAの結果が教えてくれる
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- 読む力をつける一時間の授業開発
- 小学校/想像力と分析力を育てる
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- 小学校/主題感覚を磨く
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- 小学校/向山型説明文指導の「問いと答えの対応」で社会科教科書を検討できる
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- 中学校/「読みの指標」が、授業を変える
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- 中学校/説明文を正確に、豊かに「読む力」をつける
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- 書く力をつける一時間の授業開発
- 小学校/ステップをふませることによって、学習者に書く力の伸長を認識させる
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- 小学校/ポケモンで五七五を練習する
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- 小学校/一時間でクラス全員に「長く書く力」をつける作文指導
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- 中学校/入力を少しずつ減らす
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- 中学校/目標を絞り、練習ができる授業を作る
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- 話す聞く力をつける一時間の授業開発
- 小学校/『話す・聞くスキル』でフォーマットを示し、ペアで発表するシステムで聞く力をつける
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- 小学校/話の型を教えたら、楽しい雰囲気で練習する
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- 小学校/ブレーンストーミングを使って柔軟な思考を
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- 中学校/必要な情報を言葉で伝え合う
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- 中学校/一時間で話す聞く力を磨く話し合い
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- 言語事項の力をつける一時間の授業開発
- 小学校/ステップアップ学習で一時間勝負!
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- 小学校/想像を楽しむ言語事項の授業
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- 小学校/クイズ、言葉あつめ、ゲームで片仮名言葉の決まりを覚える
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- 中学校/主語・述語・修飾語―文の成分の学習
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- 中学校/コミュニケーション能力とリンクさせた語彙指導
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- 「伝え合う力」を育てる教室づくり (第29回)
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- 「読書に親しむ」授業づくり (第29回)
- 情報を正しく豊かに「読む技術」を
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- 書評
- 『作文指導の秘訣』(大森修著)
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- 『説明責任を果たせる国語科授業づくり』(大森修著)
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- 『人と本との出会いが教師力を向上させる』(大森修著)
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- 国語教育人物誌 (第173回)
- 徳島県
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- 香川県
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- 愛媛県
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- 高知県
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- 国語教育時評
- 「事後研究」だけが授業研究の役に立つ
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- 現場訪問 「学力向上の国語教育」最前線 (第89回)
- 豊かに表現できる子どもを育てる
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- 国語の授業力の向上 (第5回)
- 授業検討会・たった十秒のこだわり
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- 国語学力を高める基本実践技法 (第5回)
- 「聞くこと」の指導(その二)
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- 〜教師の「聞き耳アンテナ」の磨き方〜
- 国語科教育が言葉の教育になる日は来るのか (第5回)
- 語彙指導の教材づくりは「和語・漢語・外来語」だけなのか
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- 到達目標としての言語技術 (第5回)
- 学びの「質」と学習過程論
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- 学力保障の説明責任・結果責任 (第5回)
- 「各学校」「本人」「保護者」連携の指導過程の創意工夫
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- 編集後記
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編集後記
○…これまでよく指摘されていることに、国語科の指導目標のあいまいさがあります。指導目標が抽象的であることもその原因かもしれません。よく言われる批判として「活動はあるが何のために指導しているのか目標が見えない」というわけです。
○…〇三年六月号の本誌の特集は「一時間一目標で指導効果を高める」というものでした。そこでは花田修一氏の「一時間一目標に限定する」ことで、基礎学力の保障をすべての子どもにしていく、という提案でした。この提案が具体性に乏しいものであっただけに、「一時間一目標の模範例を示せ」という反論もありました。これまで文学作品に十時間か十五時間をかけてきた「単元学習」に批判的な目が動き始めています。「活動はあるが指導が無い」授業を延々続けてきた教師への批判も高まっています。
○…「一時間一目標」の提言に答えて福岡教育大の山元悦子氏は次のように整理されています。(1)指導事項を精選することで指導効果をあげ、学力保障をはかりたい、(2)目標を一つに絞ることで、あれもこれもと虻蜂取らずの学習になりがちな傾向を改めたい、(3)目標を焦点化して意識することで、なんとはなしの活動をさせるだけの学習を防ぎたい、(4)目標を明確に意識させれば、目標に照らした評価基準を立てた評価がしやすくなる。そしてその評価は次なる指導に生かすための評価でありたい。
○…絶対評価時代を迎え、国語科の基礎・基本的学力を子どもたち一人ひとりにどう保障するのかが問われています。「一時間に一目標」という提案もそのねらいに添ったものでしょう。本号は、一時間に指導事項をどう精選して授業を展開するか、その具体的提案の特集です。
(江部 満)
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教師「黒板に書いてある動物の名前を見て、気づいたことを
発表しましょう」
子ども「片仮名の動物は、外国にいる動物です」
子ども「でもライオンやカンガルーは日本にもいるよ」
教師「ライオンやカンガルーは動物園などにいるけれど、
外国から連れてきたんだよ。だから、外国にいる動物
だね」
子ども「平仮名の動物は、日本に昔からいる動物です」
子ども「『ももたろう』の話に、いぬ・さる・きじが出て
くるよ」
子ども「『金たろう』の話には、くまが出てくるよ」
教師「日本に昔からいた動物は平仮名で書くんだね」
子どもたちに、片仮名で書く動物名にはきまりがあるこ
とに気づかせる。 (85ページ)
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ここで提示されている「きまり」によると、「北極熊(白熊)」は「ホッキョクグマ(シロクマ)」と片仮名で書く動物だということになる。なぜなら、「動物園などにいるけれど、外国から連れてきた」動物であって「日本に昔からいた動物」ではないからである。マダガスカル原産の「ワオキツネザル」も同様である。つまり、「くま」や「さる」は平仮名で書くが、「ホッキョクグマ」や「ワオキツネザル」は片仮名で書くのが「きまり」なのそうだ。また、この「きまり」によると、「象」を「ぞう」と書くのも誤りということになってしまう。
しかし、これは明らかにおかしい。国外から入ってきた事物と日本語に借用された単語というレベルの違うものを混同した議論である。