- 特集 「批評力の育成」にどう挑むか
- 提言・PISA型読解力に応じる国語科の課題
- 「批評」による思考の活性化と授業の活性化
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- 日常的に気軽に楽しみながら書く活動をこそ
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- PISA型が日本型よりも優れていることの根拠は?
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- 国語科「読解力」の構造について
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- 批判力の基本は「根拠」と「理由」「意見」を区別すること
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- 「批評力」を鍛えるための方法を問う
- 「分析批評」は「批評力」をどう育てるか
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- 「言語論理教育」は「批評力」をどう育てるか
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- 「文章吟味力」は「批評力」をどう育てるか
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- テキストを読む力をどうつけるか
- 批評力育成の前提として、言語力から要約力の育成へ
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- 中越沖地震による原発被害の報道を読む
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- 読む「型」をどれだけ定着させているか
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- 「批評力の育成」にどう挑むか
- 発信型の授業・学習シートで段階的に
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- 音読と情報の取り出しが授業で十分に保障されていない
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- 認め合い高め合う
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- 「モデル書評」をもとに書評を書こう
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- 分析批評は、PISA型読解力を培う
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- 「向山型国語」で批評力を育てる
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- 筆者の述べ方・考え方の検討をせよ
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- 友達と「考え」を交流しながら
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- 「分析批評」と討論の授業で
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- 分析批評と討論の授業で挑む
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- 雑誌の広告から読者層を考える
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- 批評力測定テスト
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- メディアリテラシー教育の必要性を再確認しよう
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- 「伝え合う力」を育てる教室づくり (第56回)
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- 「読書に親しむ」授業づくり (第56回)
- つないで広げる読書コミュニティ
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- 書評
- 『だれでもできるノートスキルの指導』(河田孝文ほか編著)
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- 『小学校国語科PISA型読解力向上の学習問題と解説』(小森茂編)
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- 国語教育人物誌 (第200回)
- 滋賀県
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- 京都府
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- 大阪府
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- 兵庫県
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- 国語教育時評
- 方言による「村起こし」と蒸気機関車に乗る「イベント」
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- 現場訪問 「学力向上の国語教育」最前線 (第116回)
- 教師の授業力を高める国語科研究法
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- 検定外・日本言語技術教科書の実践と考察 (第20回)
- 「演繹的思考」の授業と「帰納的思考」の授業
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- 読解力向上のための実践提案 (第8回)
- 作文指導との一体化
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- 読書意欲を高める多読のすすめ (第8回)
- 老後の死にどう対処したらよいのか
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- 国際的なコミュニケーションをどう取り入れるか (第8回)
- なぜ国際的なコミュニケーションを学ばなければならないか?
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- これからの国語科教育 (第8回)
- 「国語力の育成」重視―中教審の検討の推移6―
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- 編集後記
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編集後記
〇…わが国語科教育界は目下、PISA型読解力ショックと言える状況にあるようです。文科省の田中孝一氏の指摘のように、PISA調査は「実生活や実社会で活用できる力をみる視点がきわめて強い」(『現代教育科学』〇六年九月号)と言えるからです。それはまた次期教育課程について、学校教育の内容や方法を実生活と一層意識的に関係づけ、知識や技能を活用する力を重視する方向にあることと軌を一にしていると田中氏は強調しています。
〇…さらに田中氏は読解力調査の問題について、次の三つの側面を適宜組み合わせて作成されている、と注意を呼びかけています。
(1)テキストの形式
〇物語、論説などの散文形式の「連続型テキスト」
〇表・図・グラフなどの「非連続型テキスト」
(2)読む行為のプロセス
〇情報の取り出し 〇テキストの解釈 〇熟考・評価
(3)テキストが作成される用途、場面、状況
〇私的な用途 〇公的な用途 〇職業的な用途 〇教育的な用途など
〇…日本言語技術教育学会の会長である市毛勝雄氏は同じ号の雑誌で、「重要なのは『わが国の国語教育等で従来用いられてきた〝読解〟ないしは〝読解力〟という語の意味するところとは大きく異なる』と明確に断言した点である」と指摘しています。鶴田清司氏はPISA型読解力に関連して、今後の国語科教育の課題の一つとして「批評力の育成」を上げています。国語科教育の歴史をひもとくと受動的な内容理解にとどまらず、筆者のものの見方、考え方、さらには述べ方について批評的に読むことの重要性に気づいていた先人たちの業績にも注意をはらいたいとしています。論理的思考力の到達点としての「批評力」を育てる授業にどう挑むか、問題提起の特集を組みました。
(江部 満)
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- 明治図書