- 特集 効果的な「音読指導」のコツ
- 提言・「音読指導」に問題はないか
- 音読とは、文字を音声化することではない
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- 正確な音読力から豊かな朗読力へ
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- 声に出して、耳で聞いて、目で見えなくなるもの
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- 聞き手不在の音読から脱却し、新たな可能性に挑もう
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- 簡素な音読指導を~虚飾の排除を先に
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- 戦後の学習指導要領の変遷に見る音声言語指導の特徴
- 戦後の音声言語指導の変遷とその考察
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- 「音読の技術」育成のためのポイント
- すらすら音読で音読の技術を鍛える
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- 「自分の考え」を持ち、読む学習と関連させて
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- 音読に意欲的に取り組む単元を創る
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- 効果的な「音読指導」のコツ―小学校低学年
- 日本語で考え、伝える基礎を楽しく
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- 一斉音読で読み方の財産を増やす
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- 言葉のまとまりを意識して読ませる
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- 文章の音読以前になすべきこと
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- 音読が学習過程に位置づく三段階
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- 効果的な「音読指導」のコツ―小学校中・高学年
- 目の前の子どもの実態を把握することから始めよう
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- 音読の日常化で、どの子も読める
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- 豊かな表現を支える音読記号
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- 毎朝三分で「伝統的な言語文化(俳句)」に親しむ
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- 心が解放される喜びを感じる音読
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- 効果的な「音読指導」のコツ―中学校
- 音読・暗唱を楽しむ生徒を育てる―帯単元としての取り組み―
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- 意欲を喚起し、反復練習で自信をつけさせる
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- 中学生にも効果的な文学的教材における音読指導のコツ 音読することへの抵抗をなくし、読みを深めることに生かす
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- 新しい教室デザインの中での「音読指導」
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- 耳から入る古典学習~群読のすすめ
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- 「伝え合う力」を育てる教室づくり (第96回)
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- 「読書に親しむ」授業づくり (第96回)
- 中学生に伝記を読ませる
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- 書評
- 『【DVD付】授業マニュアル 小論文の書き方指導』(市毛勝雄著)
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- 『書く力がぐんぐん伸びる!「言葉のワザ」活用ワーク』(堀江祐爾編著)
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- 国語教育人物誌 (第239回)
- 北海道道央
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- 北海道道北
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- 宮城県
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- 秋田県
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- 国語教育時評
- 学習者の理解の方向と私(教員)のそれが合わない時
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- 楽しい国語授業を創る (第12回)
- 国語授業と子供理解
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- 論理的思考力・表現力の鍛え方 (第12回)
- 言語教育のレベルとメタ評価―カリキュラム開発への視点―
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- 読書活動の日常化への取り組み (第12回)
- 図書館をイベントの会場にしよう
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- 「伝統と文化」の授業での扱い方 (第12回)
- 年間を見通した「伝統的な言語文化に関する事項」の指導
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- 教師の言語能力を高める (第12回)
- 教師の言語能力形成の大元(おおもと)―傾聴、読書、著述―
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- 編集後記
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編集後記
○…音読の技術は「思考力・判断力・表現力育成のための学習活動の基盤となる基本的な力である」と松木尚美氏(名古屋市立篠原小学校)は本誌の臨時増刊号で強調されていました。文科省の「小学校学習指導要領解説・国語編」でも音読に関する指導事項として、次のように解説されています。
「音読には、自分が理解しているかどうかを確かめたり深めたりする働きと、他の児童が理解するのを助ける働きとがある。自分のために音読する場合は、文字を確かめ、内容が理解できるか、どのように感じるかなどを、自分の声を自分で聞きながら把握していく。他の人のために音読する場合は、音声化することによってお互いに理解し合っているかを確認し合うことになる。また、一人一人の理解や感想などを音読に反映させることもある」と。
○…新設された「伝統的な言語文化に関する事項」では、小学校ではまず低学年で古典の学習入門として、昔話や神話・伝承などの文章の読み聞かせを聞いたり、発表し合ったりする学習。中・高学年では「声に出して読む」系列と「内容に親しむ」系列の二つを指導するとされています。
○…中学校では、古典の学習は小学校の延長線上にあり、同じように「古典に親しむことを目標にしていることを確認することが大切である」と強調されています(「中学校新学習指導要領の展開・国語科編」より)。
○…改正された「教育基本法」を受けての「学校教育法の一部改正」でも「基礎的な知識及び技能を習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない」と強調されています。
○…本号はこれらを背景に、改めて「音読指導」の在り方を問う特集としました。
(江部 満)
○…教育基本法の改正、新しい学習指導要領の告示に伴い「伝統と文化」の教育への関心が高まっています、と『現代教育科学』の後記に書きました(二〇一〇年二月号「伝統と文化」教育で日本文化を見直す)。六十年前、占領下で制定された旧教育基本法においては、前文でも第一条の教育の目的でも、さらに第二条の教育の方針でも「伝統と文化の教育」は一切見られません。
○…改定された教育基本法では、「前文」から「伝統」と「文化」の文言が位置づけられています。「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する」と。「伝統」と「文化」の尊重は新教育基本法の重要条文の一つであることがわかります。
○…さらに改正された「学校教育法」でも、「我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」とあります。
○…本誌の二〇〇九年五月の臨刊『戦後教育観からの脱皮』特集中の〈「伝統的な言語文化」の国語学力と評価の開発課題〉で、左近妙子氏(名古屋市立西築地小)は、「幼少期から古典を学ぶことは、日本人としての生き方や考え方、日本文化におけるコミュニケーションの基盤を形成する上で重要」であると強調され、小学校段階では「音読・暗唱の重視」を提案されています。同じ特集号で中・高でも音読・暗唱を重視している提言が見られます。本号は「古典の学習」を通し「言語の教育」の原則・原理を解明したいと願い、特集を組みました。
(江部 満)
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- 明治図書