- 特集 ロハスの教科書―持続可能な社会をめざす新しい生き方
- はじめに
- 持続可能な社会の実現につながるロハス
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- 21世紀の新しい価値観=ロハスで創るサステナブルな社会
- ロハスとは?―サステナビリティという概念を含んだ価値観
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- ロハスな人とは?―調査結果にみるロハスな人たちの価値観と行動
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- 私とロハス―それぞれのMY LOHAS HISTORYを書き出してみると
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- ロハスの視点で私たちの生活を見つめ直す
- 食生活と農業をロハスで結ぶ
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- ロハスでつくる心と身体の健康
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- 自然を生かして人を幸せにする住宅づくり
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- 日本の生活文化とロハスの関わり
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- 環境家計簿をつけてみよう
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- 毎日まとうものもロハス―環境に配慮した衣料品
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- ロハスな旅と地域再生
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- ロハスな学校って何だ?―取り組み課題
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- ロハスの物差しで企業を見る お金の使い方を考える
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- “持続可能な社会”ってどんな社会?
- 持続可能性とは何か?
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- エコビレッジから考える持続可能な社会
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- 持続可能な社会へのシナリオ
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- 企業・団体による“最新” 環境学習情報―ここまできている環境学習!
- 地球環境とエネルギーについて考えよう!
- 三洋電機株式会社
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- 企業と団体のコラボレーションで行う“森林学習”
- (社)日本環境教育フォーラム+王子製紙株式会社
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- 食べ物と地球環境のお話―万物のいのちを支える“食の未来”
- 株式会社日清製粉グループ本社
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- 再生可能な資源とリサイクル・環境活動
- (社)曰本有機資源協会・(社)食品容器環境美化協会・宝酒造株式会社・東京海上日動火災保険株式会社
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- 限りある資源と省エネルギー・新エネルギー
- 日産自動車株式会社・ホンダ(本田技研工業株式会社)・東京ガス株式会社
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- ロハスショップをつくろう!
- NPOローハスクラブ
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- 最新ロハス情報
- 昨年末〜今春の世界の動向 Part1
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- 昨年末〜今春の世界の動向 Part2
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- インタビュー 知っておきたい、聞いておきたい 識者が語るサステナブルな社会の創造に欠かせない視点
- 「サステナブルな社会の実現に必要な思考法―ビジョンとバックキャスティング」
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- 「東の海の孤島にならないために―オルタナティブな発想。そして情熱」
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- 「温暖化のポイント・オブ・ノーリターン―引き返すことができなくなるまであと10年?」
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- 資料
- 今日からロハスな行動を起こすための10のキーワード
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- 執筆者紹介
- 編集後記
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- 執筆者から読者へのメッセージ
はじめに
持続可能な社会の実現につながるロハス
日々、温暖化に関する世界各地での深刻なニュースが報道されています。世界最大規模のスーパーコンピューター「地球シミュレーター」による気候変化予測では、2100年に日本の夏の平均気温は4.2℃上昇し、降水量は約2割増加し、豪雨の頻度も増加することが示されています。また、世界が協力して温室効果ガスの排出を削減するために決められた枠組みである「京都議定書」。日本の温室効果ガスの排出量は減少するどころか、年々増加し、特に家庭やオフィスからの排出量が増加しています。各界をあげて、温暖化を食い止め、サステナブル(持続可能)な社会を実現するシナリオを選択しなければならないことは自明です。
『総合的学習を創る』(2006年11月号)「特集 ロハス―次世代の環境goo教育への提言」では、現場の先生方や専門家が、ロハス/LOHAS=iLifestyles of Health and Sustainability:健康と環境に配慮したライフスタイル)をテーマに次世代の環境教育について、授業のシナリオ、論考等を寄稿されました。国連大学副学長の安井至先生は、インタビューで「日本版ロハスは、若干金銭的に余裕のある人をターゲットにした商業主義に走ってしまったんですね。LOHAS≠ニロハス≠フ決定的な違いを一言でいうと片仮名ロハスには哲学性がない≠ニいうことでしょう。ですから次世代の環境教育にロハスを入れることには賛成できない」とお話されています。2002年に日本にロハスを紹介し、2006年1月に『日本をロハスに変える30の方法』(共著、講談社)を執筆した筆者にとっては、有識者の間でそのような批判があることをもどかしく思い、講演会や執筆の機会を通じて、表層的ではないオーセンティック(本格)ロハス≠お伝えすることにできる限り努めてきました。
そして、『総合的学習を創る』のロハス特集では、「今までの環境教育とどこが違うのか」というテーマで寄稿する機会を得て、購買行動に関する教育、衣食住等各生活分野に関する教育、そして持続可能性に関する教育という3つの切り口でのロハス教育の考え方を提案しました。
ESD(持続可能な開発のための教育)≠ニの関連性
特にLOHASのSである持続可能性(サステナビリティ)に関する教育については、ESD(持続可能な開発のための教育/Education for Sustainable Development)が大きな関わりをもつものであると考えました。ESDは、2005年から始まった国連の10年プロジェクトの1つであり、その意味は「持続可能な社会の実現を目指し、私たち一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境との関係性の中で生きていることを認識し、よりよい社会づくりに参画するための力を育む教育」であるとされています。
「ESDの10年」は2002年8月のヨハネスブルクサミットで、日本のNGOと政府の共同提案の形で提案され、同年12月の国連総会で決議されました。1992年にリオ・デ・ジャネイロで開催された「国連環境開発会議」(地球サミット)で採択された「アジェンダ21」第36章を具体的に推進する取り組みとされています。その後、2005年9月にユネスコが国際実施計画を策定、国内でも実施計画がまとまり、国内では2003年に推進会議「ESD―J」が発足し活動を行ってきました。
ESDは持続可能性の基礎となる世代間の公平、地域間の公平、男女間の平等、社会的寛容、貧困削減、環境の保全と回復、天然資源の保全、公正で平和な社会、環境、人権、福祉、開発等、あらゆる分野の教育を統合するものだといいます。まさにこれは、従来の環境教育の枠組みが拡大し、私がイメージしているロハス教育と重なる部分が多いと認識しました。
この「ロハスの教科書」は、持続可能な社会を実現するために、どのような情報を収集し、自らの基準をもち、選択し、行動していけばよいのかといったことや、生活面での実践、職業の選択、そして何よりこのような持続可能な社会の実現をするんだ≠ニいう将来ビジョンを各個人がもち、その実現に向けて取り組んでいくという生き方をするために、その基礎的な項目について、各分野の専門家が解説および授業や学習での活用方法について考えたものです。不足している項目や、掘り下げの足りない部分もあるとは思いますが、これを機に先生方との交流が生まれ、具体的なロハス&サステナビリティ教育≠フ実践につながっていけば何よりです。
2007年4月 執筆者を代表して
大和田 順子
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- 明治図書