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今月のメッセージ
子どもの中にある「共に」の姿
常任委員 加 納 昌 美
中学二年の私の学年に、子どもたちから、「何もしない担任」と言われている「担任」がいました。「いい人」で職員の間では好かれていました。
しかし、そのクラスの子どもたちは「クラスのことをちゃんとやってくれないのは担任ではない」と怒っていました。
このクラスに、一年の時に、クラスで仲間とともに活動していく楽しさを味わった子がいました。岡君です。見ていると、岡君を中心に自分たちで動き始めました。
春の体育祭のムカデ競争では一番サボる三木君の名前を掛け声にして練習しています。他のクラスは一、二とかけるのですけど、このクラスはミーキ、ミーキとかけるのです。軽やかなその調子に三木君も、ついのって頑張ってしまいました。
授業中でも騒がしくなると、「うるさいんだゾウ、象になっちゃうゾウ、ドウゾウ!」とふざけ調子でお互い注意しあっていました。
秋の合唱祭では、上級生を見習ってか、自分たちで階段に並んで、「俺たち三位ねらい」と、どこのクラスよりも大きな声で練習します。
学年末の球技大会では、一番運動が苦手な太った竹ちゃんをチーム名にして、竹ちゃんファイターズと模造紙で旗を作り、大きく手を上げた竹ちゃんを真ん中にしてガッツを組みます。
竹ちゃんもいつの間にか必死で大汗をかきながらボールを追いかけていました。
このクラスは体育祭でも合唱祭でも球技大会でも結局上位には入らなかったのですが、いつもにこやかに自分たちなりの工夫をして一年間過ごしました。
中心の岡君はいつも「担任はもっとクラスのことを考えていかないといけないんだ。」と怒りながら一年間頑張っていました。
岡君を支えたのは何だったのでしょう。
聞いてみたら、やはり、一年の時の仲間とともに進んでいくイメージだったようです。そして、「だって、皆でやっていきたいジャン、でもそれには先生も必要なんだよ」と話してくれました。
今、東京の教師は、新教育課程の中で子どもたちをゆとりを持って見ることが難しくなっています。
子どもたちだって大変です。でも、岡君たちを見て、子どもたちの中に「共に」という思いは確かにあるのだと思いました。
その思いを私たちがどう見つけ育てていくかを、子どもたちに問われているのが「今」なのだと思います。
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