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今月のメッセージ
若者の不安と戸惑い、そして可能性
常任委員 井本 傳枝
昨年の後期から、ある大学で3年生と学んでいる。約70名で、就職希望先は幼保育、福祉、小学校など。授業で、昨年12月16日に放映されたNHKスペシャル「ワーキングプアV〜解決への道」を取りあげた。前時に見て、2時間目は、簡単な感想や疑問を書き、話し合い、最後にミニ感想を提出させた。そのミニ感想を紹介してみたい。そこには、社会へ出ようとする青年が置かれた状況への不安と戸惑い、そして克服への可能性もかいま見える。正規雇用・非正規雇用の現実を、ニュースなどから続けて学ぶ。
《不安と戸惑い》
「友だちにも大学を中退し、バイトを転々としている者がいるが、完全にワーキングプアのコースに乗っているように見られてならない。ただひたすら働いて、寝て、ろくなモノも食べずにいて、人間としての生活水準が明らかに低下している。従兄弟でも派遣で働き続けている人がいるが、親元にいるから、今は生活できているが……この先、どうなるか心配である。いずれも、他人ごとではないと感じさせられている」
「資本主義の利潤追求による人間を労働力としか見ない現実の象徴が『ワーキングプア』だと思う。私のバイト先の某飲食店でも、その原型がある。どんなに仕事ができ、技術があっても、最低賃金で手当もつかない。しかし、それで音を上げて辞めても、年齢的に次の職へのあてがないため、現実的に考えて辞められないという、高齢労働者の実態を目の当たりにしている。(略)人間はただモノを生産し、売るだけで生きているわけではない。人間としての喜怒哀楽を安心して出せ、生きること働くことが楽しめる社会づくりが、必要であると思うのだが」
《現実を見据えること》
「岩井さんの『泣けるのは人を信じることができるようになったから』という言葉を聞き、とても切なくなった。ワーキングプア問題とは、『働けば生活できるはず』というある意味の社会常識を根底から覆すものであると同時に、職を失うということが、社会からはじき出される現実を生み出し、それが『生きてていいのか?』と自尊心まで奪ってしまうものであることが理解できた。鎌田キャスターが『働く意味や価値をないがしろにした社会が生んだ問題』と言っていたが、考えさせられた」
「実は、この『シリーズ』を観ることは、日本の隠された裏側を知ることになって、それが何となく辛いので避けてしまっていた。でも、避けていてはいけないことなんですね。ワーキングプア問題は、人間の生きていく人とのつながり、支え合うことを奪ってしまう問題であることを学んだ。その『つながる』という大切さを改めて実感する。(略)市場原理主義や新自由主義についても、もっと勉強がしてみたいと思う。ワーキングプア問題は、解決できない問題ではないと思えるようになった」
《解決へ向かって》
「もっと話し合いがしたかった。ワーキングプアに見られる貧困問題は、日本の学生層では、保育や社会福祉関係希望の学生しか考える機会がない。当事者以外に、国民のほとんどもそうかも知れない。日本の政策の課題を知ることと、私たちに出来ることは何かを、もっとみんなで考え合ってみたい」
「グッドウィルの二重派遣問題などで、表沙汰になったが、派遣労働者の問題は、ここにきて本当に深刻になってきた。また、これらのことは、世界の国々でも起きていることを知った。私の周りにも、バイトで生活をしている友人がいるが、私の就職や生活を含めて、他人事ではないこの問題を解決するために、私たち一人ひとりが、出来るところから声を挙げ、社会参加する時が来ているかもしれない」
そして、「バイトで残業代出ない」「有給とれない」のはおかしいと、「労働法制」を学ぶことになった。
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