- 特集 外国人の生活と教育の今
- はじめに
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- 「就学を希望する者のみ」でよいのか
- 外国人の子どもと教育を受ける権利
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- 外国人学校と多文化共生
- 韓国・朝鮮学校を手掛かりに
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- 「政策対象」としての外国ルーツの子どもたち
- 何が「問題」なのか?
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- 高校進学をめぐる国籍間格差
- 二〇〇〇年国勢調査にみる実態
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- ある中国人集住地域において同和教育と在日朝鮮人教育が果たした役割について
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- 在日フィリピン人の一・五世代
- 教育と労働が隣り合わせの若者たち
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- 在日ブラジル人コミュニティに見られた動きと教育の展望
- 東日本大震災を経て
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- 多文化な子どもたちの声にふれる (第22回)
- ちばりよー わったあ しんか!
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- 沖縄散歩 (第22回)
- 金恵実さん、沖縄で、在日朝鮮人であることについて語る
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- 〜「私の存在そのものが発信なんです」〜
- おもちゃばこ (第55回)
- ここちよさは非暴力から
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- 〜「今までやさしく言ってたかなあ」〜
- 編集部の本棚
- 『部落差別をこえて』(朝日新書255)臼井 敏男:著/『<働く>ときの完全装備―15歳から学ぶ労働者の権利』橋口 昌治、肥下 彰男、伊田 広行:著
- 【コラム】ノリきれない国際開発仕事人のつぶやき (第19回)
- 魚か、釣竿か、あるいは…?
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- 映画をみる、映画でみる (第30回)
- 「絶対悪」ナチスを描く難しさ 「ミケランジェロの暗号」
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- 子どもを見る眼 (第31回)
- 元気で明るいクラスって何?
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- まいにち? マイニチ!
- 文化祭
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- 第63回全国人権・同和教育研究大会 開催要項
- 共生のトポス (第115回)
- ともに生きる社会をどうつくるか
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- 〜「事件」から学ぶこと〜
- 編集後記
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編集後記
▼最近、教職員の方々から「世代交代」ということばをよく聞くようになった。社会の矛盾が剥き出しの頃に活動していた団塊の世代の先生と、情報過多や多様化複合化といった社会そのものが見えづらくなる中で育ってきた若い世代の先生では背景が違いすぎるかもしれない。しかし、外国人への同化や排除の構造は、凍結したまま変わっていない。半世紀以上繰り返して投げつけられる「○○人は○○に帰れ」はその象徴だろう。世代を繋げ/世代を超えて解決していかなくてはならない課題の根の深さを改めて感じる。
こうしたことも含め、特集ではその課題を再確認することができた。今回ご多忙中にもかかわらず、特集の原稿を快諾していただいた先生方に改めて感謝をお伝えしたい。
(縁)
▼四〇年近く前の学生時代に、本名で通う在日韓国人の同級生がいた。二回生になったころ、彼は大学に来なくなった。彼が来なくなったことについて私はほとんど何も考えていなかった。同級生の中には、韓国の朴政権による弾圧などの可能性をいう者もいたが、現実的には思えなかった。問題は、こちらの感度である。
▼二〇年ほど前に学内で在日の学生への名指しでの差別落書きがあった。本名と通名を並べて書く落書きで、身近な誰かとしか思えなかった。とりくみは進んだが、結局のところ誰が書いたのかわからず、被害にあった本人と周りの温度差も開いてしまい、その学生は大学を離れていった。問題はこちらの感度である。
▼現在も在日の学生はもちろんいる。一方に本名で積極的に活動する学生がいるが、他方で在日であることをほとんど他の学生にいっていない学生もいる。なかには、不登校気味の学生もいる。問題は、こちらの感度である。
▼数十年の間に、変わった面とともに、変わらぬ面が歴然と存在する。さきの大学を離れた学生とその次に出会った時、彼は教員になることをめざしていた。その願いを叶えていてほしい。これらは私のすぐそばで起こった痛恨のできごとだが、このような現実は数多くあろう。歴史から自分にひきつけていただければ幸いである。(森)
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