- 特集 新指導要領と特別支援:授業づくりの改変点
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- 「暗唱」は発達障害の子どもたちを成長させる大きな武器になる
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- 「音読・朗読・暗唱」はどの時代も全生徒対応である
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- 教材を基にした「家庭学習」のすすめ〜特別支援学校での実践〜
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- 保護者を安心させ信頼を勝ち取る方法
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- 見方が変われば保護者は味方になってくれる
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- 親との関係を日常的につくる連絡帳の活用
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- 受け止め,そして将来の進路へ向ける
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- 保護者も悩んでいる。どれだけその気持ちに共感できるかがポイントだ
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- 報告・連絡・相談は保護者の不安を取り除くために行う
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- 保護者面談の基本は,「客観的・具体的事実」の情報交換
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- B君を変えた保護者との三つの連携
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- 学校で困ること 家庭で困ること 共通点を探り話をもちかける
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- 第4回 新生TOSS特別支援教育セミナーin大阪 ほか
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- イラストで学ぶ特別支援教育のキーワード (第6回)
- 教示のスピードが遅い
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- 向山一門が見た向山先生の特別支援教育の思想 (第6回)
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- 教育の新課題と特別支援教育
- 効果のある実践を,「科学的研究」にしていこう
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- 巻頭言
- 発達障害児に有効な方法を発信し合い,その効果を検証しながら,共有財産化を図っていく
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- 保護者への報告・連絡・相談は,「共感」「因果関係」「分析」「見通し」を!
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巻頭言
発達障害児に有効な方法を発信し合い,その効果を検証しながら,共有財産化を図っていく
栃木県茂木町立逆川小学校 松ア 力
1 一人一人の発信で共有化を図る
教師と子どもという関係ではあっても,人間同士の付き合いの中で,学級は営まれている。その時々に発せられる言葉,表情などの対応の仕方によって,お互いの信頼関係に差が生じてしまう。
よい対応の仕方を取ろうと考えていても,言葉や表情は,その瞬間に相手に伝わる。「失敗した」と思って,あとから取り繕うとしても,多少の回復は見るだろうが,相手に与えた痛みのすべてを取り戻すことはできない。
教師はその道のプロである。特別支援教育に関しても,エキスパートでなければならない。したがって,どのような対応の仕方が最善であるかということを常に意識していなくてはならない。毎日,毎時間の中で,「今,この子に対しては,どういった対応の仕方を心がけたらいいのか」ということを常に意識するということである。
特別支援教育を要する子たちに有効な対応法は,クラスのほかの子たちにも効果がある。上手に対応できていれば,クラスは大変まとまってくる。発達障害児であっても,そうではない子どもたちであっても,対応の仕方の原理・原則は存在するのである。それらを知ることができれば,学級経営が安定してくる。
そこで考えたいのは,「教育技術の法則化運動」の理念である。法則化は,子どもたちに有効な教育技術を共有財産にしようとして動き出した。
現在,特別支援教育に努力をしている教師たち,特にTOSSに集う教師たちは,自分の目の前にいる子どもたちに行った事例の中で,特に有効だった対応の仕方をもっているはずである。その対応方法を発信し,共有化していくことによって,教師は多くの対応の仕方を身に付けることができる。
得られた情報の中から,自分の目の前の子には,どの対応の仕方が最善であるかを判断し,実践すればいいのである。
2 うまくいった対応法を検証する
朝,教室で,子どもたちに今日の予定などを話している。多くの教師がそうするように,私も早い時間の予定から順を追って話していく。ところが,一つのことを話していると,すぐに「今日の昼休みには,何も仕事はないの?」などと,話していることとは関係のないことをすぐに言い出す子がいる。 基本的な予定などは,事前に伝えてある。それでも突然の変更を嫌がるこの子は,どうしても気になることがあると,すぐに言葉に発してしまうのだ。
しかし,それらにいちいち答えていたのでは,話のリズムが狂ってきてしまう。初めのころは,質問をされても「質問は,あと!」と,ぴしゃりと言っていた。
ところが,こう言ってしまうと,この子はむっとした顔をして,すぐにいじけてしまう。その後,何もやろうとしなくなる。こうなると,そのあとのどのような声かけをしても,彼は動かなくなってしまうのだ。このような体験から,わたしは,簡単な質問であれば,すぐに答えてきた。短く言うことで,なるべくリズムを壊さないように努めた。
それでも,「なぜ,そうなるのですか?」などの質問をされたときは,ある程度の説明をしなくてはならないので,時間がかかる。彼を満足させて,質問を取り下げる方法はないかと思案した。
遠足の説明をしているときだった。彼は,持ち物について説明を求めてきた。その説明は,その後の話を聞いていれば分かる内容だ。そこで,とっさに「君の質問はいい質問だから,とっておいて」と言った。つまり,「少し待っていなさい」ということだ。
ところが,このとき,彼は満足そうな顔をした。一通りの説明が終わった後「さっきの質問は何?」と聞いたが,「別に,もういいです」という返事だ。説明を聞いて,分かったのである。
ほんのわずかな対応の違いであるが,この方法は,いつのときでも彼を安定させた。
すぐに口を挟んでくる子は,多くの場所で報告される。もし,そのような場面があったときに,今回示した対応法をとっていただきたい。どのような反応を示すか,検証してほしいのだ。
3 具体的な事例を発信し合う
このような検証作業は,できるだけ具体的な事例を出し合うことが必要である。最低でも,問題行動・対応法・留意点の三つが必要である。A君の場合を提示する。
【問題行動】
授業中にずっと音を発している。鉛筆で机をたたいたり,歌を歌ったりする。体もずっとゆれている。
【対応法】
@ すぐそばに行く。
A 頭をなでる。
B (顔を上げたら)笑顔で目を見る。
C 手でバツをつくり「それはだめだよ」と教える。
【留意点】
これをすると,すぐに音を出すのはやめる。ただし,これを行ったからといって,ずっと安定するわけではない。対応しやすいように,教師に近い位置に座らせ,根気強く接していく。
すぐに音を出す子がいたら,叱る前に上記のような対応をとってほしい。そして,有効かそうでないかを発信してほしい。
そのほかの有効だった対応例を発信し合い,共有財産化を図っていきたい。
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- 明治図書