向山型算数教え方教室 2000年12月号
向山型教材の分析!難しい「個所」をシンプルにする

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向山型算数教え方教室 2000年12月号向山型教材の分析!難しい「個所」をシンプルにする

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2000年11月
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 向山型教材分析!難しい「箇所」をシンプルにする
子どもが迷わない作業を積み重ねよ
皆川 佐恵子
「わかるところまでもどる」が原則
星原 一宏
1年生には,シンプルな基本型を細分化して写させる
大野木 一雄
こんなときにはシンプルにする3つの例示
井関 和代
教師が2回読んでも意味が分からない問題はやらせない。そのかわりに、簡単な「先生問題」を何問も解かせる。
根本 直樹
何回も使える「基本型」は分解してシンプルに!
和嶋 一男
細分化し,ステップを細かく!
奈良 満
ミニ特集 向山型算数が子どもと教師を変えた瞬間!
子どもへのやさしさを教えてくれる向山型算数
佐藤 尚子
赤鉛筆は温かさに支えられて
平田 千晶
わり算で九九の練習をする
大場 寿子
三者三様のささやかなドラマ
佐藤 正寿
平均点が90点を超える時
大國 佐智代
子どもの変容に教えられる
都澤 喜久子
子どもの声・親の声
先生があんなに分かりやすく教えられるのはどうしてかな
木村 重夫
向山型算数キーワード
問題解決学習
木村 重夫
向山型算数実物ノートと指導のポイント (第15回)
「補助計算」と「ゆれのない読み方」にこだわる
平松 孝治郎
巻頭論文 算数授業へのこだわり
うまくいかないのはなぜか
向山 洋一
学年別12月教材こう授業する
小1教材こう授業する
平田 真紀
小1教材こう授業する
宇賀 求哉
小2教材こう授業する
山口 浩彦
小2教材こう授業する
臼井 直
小3教材こう授業する
渡辺 喜男
小3教材こう授業する
大関 貴之
小4教材こう授業する
東田 昌樹
小4教材こう授業する
岡崎 昌美
小5教材こう授業する
宮澤 傳二
小5教材こう授業する
茂木 秀夫
小6教材こう授業する
上田 和浩
小6教材こう授業する
渡辺 哲朗
向山型算数に挑戦/論文審査 (第13回)
ジャンプをうめることがポイントだ
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第15回)
基本型理論の応用
木村 重夫
〜基本型+スモールステップ びっくりするくらいスムーズにできる点対称な形のかかせ方〜
向山型算数の原理原則と応用 (第15回)
教材分析のステップ表による授業作り
大野木 一雄
向山型算数と出会ってTT授業が変わる (第9回)
新十の原則と五の補足 実践を経ることで、十の原則がさらに進化・整理されました!
木村 孝康
向山型算数WEBサロン (第9回)
授業の役に立つ情報をホームページにしてどんどん登録しましょう。
赤石 賢司
子どもがシーンとする奥深い算数エピソード (第15回)
重さの基準と単位について
板倉 弘幸
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第9回)
指名なし板書を目指そう
井上 好文
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第15回)
低学年
大坪 敏夫
中学年
篠崎 孝一
高学年
井上 嗣祥
親子で挑戦!ダブル・キムラ先生の算数 ザ・宿題 (第15回)
木村 重夫
“向山型算数”授業のバーチャル体験 (第15回)
向山洋一は“商の見当のつけ方”をこう授業した!A
向山 洋一木村 重夫
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
A君が95点をとった!
佐々木 誠
生きていく気力を育てる向山型算数
小峯 学
「鍛え」なくても子どもが「育つ」!
「写す」で、わかるようになる
前島光 一郎
目の前の事実が変わっていく!
落合 義貴
腹の底から手応えを感じた子どもの事実
内村 優
自由投稿フリーページ
木村 重夫間嶋 祐樹
読者のページ
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
法則化最新情報
向山型算数に挑戦/指定教材 (第15回)

巻頭論文

算数授業へのこだわり

うまくいかないのはなぜか

向山 洋一


 「向山型算数でないと思った時は,どんな時か」という自己反省するMLが,インターネットで流れている。

 インターネット,MLは,ものすごい勉強の場だ。

 例えば「向山型算数ML」には,全国で何百人かが参加している。毎日,数十の情報が流れる。

 研究授業をやったこと,公開研究会に参加したこと,講師がしゃべったことなどが毎日報告されている。

 その日,授業をしたことも報告される。質問も出される。テストの平均点も出る。

 毎日毎日,研究会をやっているようなものだ。こんなこと,今までになかった。

 インターネットで,新潟県の大森校長のホームページを訪れれば,すばらしい「研究報告」が出てくる。

 大森先生が,力を入れて書いているのだ。

 学年主任クラスの女性教師が,初めて「向山型算数」に出会って,どのように実践していったかを,大森先生が分析している。

 とびっきり良質の情報だ。

 現在,TOSSランドのホームページを訪れる人は,毎日1700 名である。

 学校に行く前に,役立つ情報をさがし,プリントアウトして行く人は,かなりの数と思える。

 TOSSランドは,教師に「どこよりもはやく」「すぐ役立つ」情報を「無料で」とり出せるようになっている。

 慣れてくれば,15 分もあれば,プリントアウトまでできる。

 教育情報のポータルサイトとしては,質・量ともに世界一である。

 いずれ(1年以内に)子どもランド,父母ランドもつくりあげていく。「情報格差」というのは,本当だ。「お金の格差」の方が,分かりやすいだろうけど,「情報格差」はそれをはるかに上まわる。

 毎日毎日,無料で3万円ほどの情報を得られると思っていいだろう。1年たつと,1000万円分の格差が生まれるわけだ。

 本誌読者の85%は,インターネットを活用しつつあると思うが,まだの人は,早ければ早いほどいい,教師をやる限り,使えなくてはならないし,退職しても「インターネットの社会」が出来あがっているからだ。

 TOSSランドを見たNECの出版部長氏は,びっくりして,ぜひ「インターネットを6使った授業」を,次々とNEC出版から出していきたいと申し出られた。100冊を考えている。

 TOSSランドについては,いずれ,明治図書からの関連出版も予定されているが,「従来のわけのわからぬマニュアル」にかわって,「読んで,すぐ分かるインターネットの活用法」が出されるわけだ。

 さて,前号では,MLに流れている「向山型算数ではないと思った時」を紹介した。

 ランダムにとりあげ,私のコメントを加えていこう。


A 私の指示に対して,質問が多く出たとき。


 教師の指示に質問が出るというのは,指示内容があやふやだからだ。

 例えば,「教科書53 ページを開けなさい」なら質問は出ない。

 もっとも,それでも「どこを開けるの」と聞く子がいるが,「先生は,10 秒前に言いました」と,はっきり返せばいい。

 こんなことを,いわせては駄目だ。

 ところが,「昨日やったところを開けなさい」という指示だと,わからない子が出てくる。教師は「分かっているはずでしょう」などというが,それは無理だ。

 これは,教師の方が悪い。

 指示は,明確の上にも明確にしなくてはならない。

 だから,「長い指示」は,基本的に駄目なのだ。「長くしゃべる教師」が,駄目なのは,当然のことなのである。

 今から15 年も昔,山形県の指導主事だった長南先生が,授業記録をコンピュータに入れて,授業分析するソフトを作られた。

 当時としては,画期的なものだ。

 その分析の観点に「教師の話す時間」があった。当然,長くしゃべっている教師は,よくない。(ところで,長南先生どうしてるかな,箱根で,したたかに酒を飲んでから会ってない。人伝えに,山形県の指導課長,次長という重責を担われていると聞くが…)


B 「写しなさい。できたら持ってらっしゃい」と指示したが,写す部分が多すぎて,「やり直しなさい」と言ったとき「えー」と子どもから言われたとき。


 これもありそうだ。

 当然,教師が悪いのだ。

 指示を出すとき,「いいかげんな気持ち」で出しているからだ。

 頭の中が,フニャフニャしていて,「写させればいい」と思っているのだ。

 私は,「そっくり写しなさい」というのは,ほとんどない。少ない。

 それが,あっちこっちでやたら出まわっていて気にかかる。「写す指示」を出すときは,「どこからどこまで」を写すのか「明確に,短く」言うべきなのだ。「表の枠の線だけを写しなさい」とか,「式と答えの2行分を写しなさい」とか,はっきりというのである。

 自分がひどいのに子どもに直させるなんて,何て冷たい教師だろう。(反省しなさい!)


C 子どもが集中してないとき。

 ダラダラしているとき。


 これは,すべて「授業をする教師の基礎体力」が弱いためだ。「向山の前で授業をする」ような緊張感を2,3度味わえば,すっかりなくなってしまう。

 授業の最初に「これから,何時間目の授業を始めます。礼。」などとやっている人は,すべて,ここに入る。

 そんなことやっていたら,ダラダラはとれない。最初から,集中してないんだから。集中力というのは,「学習内容」に「学習作業」で向かわせることにある。

 「気をつけ」なんて,全く関係ない。

 そんなことに,授業が関係あると思っていること自体が授業への無知を物語る。

 音楽会に行く,芝居に行く,その時,始まりを「気をつけ,礼」なんてやったら,どう思う?

 そんなことしないで集中させるのがプロだ。

 但し,専科や中学校のように各時間子どもが変わるのなら「礼」をする場合もありうる。

 私が,算数のT . Tをしていたときは,ドアから入りながら(歩きながら)コンニチワといって,教壇についたときは,もう学習に入っていた。


D スパッと授業を始められなかったとき。


 何で,始められないのか,私には全く理解できない。

 だって,始めればいいわけだろ。ナンデ始めないんだ。「教師として,とりあえずの一言」「とりあえずの注意」が,クセになっているんだ,多分。

 この「とりあえず行動」は,不勉強の教師が必ずかかる病気だ。

 教科書を出して「とりあえず発問」をしてみる。

 何か読ませると,「とりあえず解説」をしてみる。

 授業の終わりには,「とりあえず,まとめ」をしてみる。

 こういうのは,セーンブ,ダメ。

 素人そのもの。

 プロも,似たことをたまにやることはある。しかし,それは,計算されてのことだ。見通しもなくやるなんてことはない。「チャイムと同時に授業を始める」は,時には,ひどい。子どもが,外で遊んでいる時は,チャイムが鳴り終わってから,教室に向かって歩き,教室に入ったぐらいでやるのがいい。

 遊びを,十分させなけりゃあ,子どもがかわいそうだ。「5分休み」なら,チャイムと同時も,あり得る。


E 練習問題が,できない子がいる。


 いて,当然なの。問題なのは,それをリズムよく,とり入れられないことだ。

 待つのは駄目。「できるまで待つ」は,最悪。

 その時(点)で勝負するのではなく,何回も(線)で,できるようにさせればいいのだ。

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