- 特集 向山型教材分析!難しい「箇所」をシンプルにする
- 子どもが迷わない作業を積み重ねよ
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- 「わかるところまでもどる」が原則
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- 1年生には,シンプルな基本型を細分化して写させる
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- こんなときにはシンプルにする3つの例示
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- 教師が2回読んでも意味が分からない問題はやらせない。そのかわりに、簡単な「先生問題」を何問も解かせる。
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- 何回も使える「基本型」は分解してシンプルに!
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- 細分化し,ステップを細かく!
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- ミニ特集 向山型算数が子どもと教師を変えた瞬間!
- 子どもへのやさしさを教えてくれる向山型算数
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- 赤鉛筆は温かさに支えられて
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- わり算で九九の練習をする
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- 三者三様のささやかなドラマ
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- 平均点が90点を超える時
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- 子どもの変容に教えられる
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- 子どもの声・親の声
- 先生があんなに分かりやすく教えられるのはどうしてかな
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- 向山型算数キーワード
- 問題解決学習
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- 向山型算数実物ノートと指導のポイント (第15回)
- 「補助計算」と「ゆれのない読み方」にこだわる
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- うまくいかないのはなぜか
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- 学年別12月教材こう授業する
- 小1教材こう授業する
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- 小2教材こう授業する
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- 小3教材こう授業する
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- 小5教材こう授業する
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- 小6教材こう授業する
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- 向山型算数に挑戦/論文審査 (第13回)
- ジャンプをうめることがポイントだ
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- 向山型算数実力急増講座 (第15回)
- 基本型理論の応用
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- 〜基本型+スモールステップ びっくりするくらいスムーズにできる点対称な形のかかせ方〜
- 向山型算数の原理原則と応用 (第15回)
- 教材分析のステップ表による授業作り
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- 向山型算数と出会ってTT授業が変わる (第9回)
- 新十の原則と五の補足 実践を経ることで、十の原則がさらに進化・整理されました!
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- 授業の役に立つ情報をホームページにしてどんどん登録しましょう。
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- 親子で挑戦!ダブル・キムラ先生の算数 ザ・宿題 (第15回)
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- “向山型算数”授業のバーチャル体験 (第15回)
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- 腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
- A君が95点をとった!
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- 生きていく気力を育てる向山型算数
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- 向山型算数に挑戦/指定教材 (第15回)
巻頭論文
算数授業へのこだわり
うまくいかないのはなぜか
向山 洋一
「向山型算数でないと思った時は,どんな時か」という自己反省するMLが,インターネットで流れている。
インターネット,MLは,ものすごい勉強の場だ。
例えば「向山型算数ML」には,全国で何百人かが参加している。毎日,数十の情報が流れる。
研究授業をやったこと,公開研究会に参加したこと,講師がしゃべったことなどが毎日報告されている。
その日,授業をしたことも報告される。質問も出される。テストの平均点も出る。
毎日毎日,研究会をやっているようなものだ。こんなこと,今までになかった。
インターネットで,新潟県の大森校長のホームページを訪れれば,すばらしい「研究報告」が出てくる。
大森先生が,力を入れて書いているのだ。
学年主任クラスの女性教師が,初めて「向山型算数」に出会って,どのように実践していったかを,大森先生が分析している。
とびっきり良質の情報だ。
現在,TOSSランドのホームページを訪れる人は,毎日1700 名である。
学校に行く前に,役立つ情報をさがし,プリントアウトして行く人は,かなりの数と思える。
TOSSランドは,教師に「どこよりもはやく」「すぐ役立つ」情報を「無料で」とり出せるようになっている。
慣れてくれば,15 分もあれば,プリントアウトまでできる。
教育情報のポータルサイトとしては,質・量ともに世界一である。
いずれ(1年以内に)子どもランド,父母ランドもつくりあげていく。「情報格差」というのは,本当だ。「お金の格差」の方が,分かりやすいだろうけど,「情報格差」はそれをはるかに上まわる。
毎日毎日,無料で3万円ほどの情報を得られると思っていいだろう。1年たつと,1000万円分の格差が生まれるわけだ。
本誌読者の85%は,インターネットを活用しつつあると思うが,まだの人は,早ければ早いほどいい,教師をやる限り,使えなくてはならないし,退職しても「インターネットの社会」が出来あがっているからだ。
TOSSランドを見たNECの出版部長氏は,びっくりして,ぜひ「インターネットを6使った授業」を,次々とNEC出版から出していきたいと申し出られた。100冊を考えている。
TOSSランドについては,いずれ,明治図書からの関連出版も予定されているが,「従来のわけのわからぬマニュアル」にかわって,「読んで,すぐ分かるインターネットの活用法」が出されるわけだ。
さて,前号では,MLに流れている「向山型算数ではないと思った時」を紹介した。
ランダムにとりあげ,私のコメントを加えていこう。
A 私の指示に対して,質問が多く出たとき。
教師の指示に質問が出るというのは,指示内容があやふやだからだ。
例えば,「教科書53 ページを開けなさい」なら質問は出ない。
もっとも,それでも「どこを開けるの」と聞く子がいるが,「先生は,10 秒前に言いました」と,はっきり返せばいい。
こんなことを,いわせては駄目だ。
ところが,「昨日やったところを開けなさい」という指示だと,わからない子が出てくる。教師は「分かっているはずでしょう」などというが,それは無理だ。
これは,教師の方が悪い。
指示は,明確の上にも明確にしなくてはならない。
だから,「長い指示」は,基本的に駄目なのだ。「長くしゃべる教師」が,駄目なのは,当然のことなのである。
今から15 年も昔,山形県の指導主事だった長南先生が,授業記録をコンピュータに入れて,授業分析するソフトを作られた。
当時としては,画期的なものだ。
その分析の観点に「教師の話す時間」があった。当然,長くしゃべっている教師は,よくない。(ところで,長南先生どうしてるかな,箱根で,したたかに酒を飲んでから会ってない。人伝えに,山形県の指導課長,次長という重責を担われていると聞くが…)
B 「写しなさい。できたら持ってらっしゃい」と指示したが,写す部分が多すぎて,「やり直しなさい」と言ったとき「えー」と子どもから言われたとき。
これもありそうだ。
当然,教師が悪いのだ。
指示を出すとき,「いいかげんな気持ち」で出しているからだ。
頭の中が,フニャフニャしていて,「写させればいい」と思っているのだ。
私は,「そっくり写しなさい」というのは,ほとんどない。少ない。
それが,あっちこっちでやたら出まわっていて気にかかる。「写す指示」を出すときは,「どこからどこまで」を写すのか「明確に,短く」言うべきなのだ。「表の枠の線だけを写しなさい」とか,「式と答えの2行分を写しなさい」とか,はっきりというのである。
自分がひどいのに子どもに直させるなんて,何て冷たい教師だろう。(反省しなさい!)
C 子どもが集中してないとき。
ダラダラしているとき。
これは,すべて「授業をする教師の基礎体力」が弱いためだ。「向山の前で授業をする」ような緊張感を2,3度味わえば,すっかりなくなってしまう。
授業の最初に「これから,何時間目の授業を始めます。礼。」などとやっている人は,すべて,ここに入る。
そんなことやっていたら,ダラダラはとれない。最初から,集中してないんだから。集中力というのは,「学習内容」に「学習作業」で向かわせることにある。
「気をつけ」なんて,全く関係ない。
そんなことに,授業が関係あると思っていること自体が授業への無知を物語る。
音楽会に行く,芝居に行く,その時,始まりを「気をつけ,礼」なんてやったら,どう思う?
そんなことしないで集中させるのがプロだ。
但し,専科や中学校のように各時間子どもが変わるのなら「礼」をする場合もありうる。
私が,算数のT . Tをしていたときは,ドアから入りながら(歩きながら)コンニチワといって,教壇についたときは,もう学習に入っていた。
D スパッと授業を始められなかったとき。
何で,始められないのか,私には全く理解できない。
だって,始めればいいわけだろ。ナンデ始めないんだ。「教師として,とりあえずの一言」「とりあえずの注意」が,クセになっているんだ,多分。
この「とりあえず行動」は,不勉強の教師が必ずかかる病気だ。
教科書を出して「とりあえず発問」をしてみる。
何か読ませると,「とりあえず解説」をしてみる。
授業の終わりには,「とりあえず,まとめ」をしてみる。
こういうのは,セーンブ,ダメ。
素人そのもの。
プロも,似たことをたまにやることはある。しかし,それは,計算されてのことだ。見通しもなくやるなんてことはない。「チャイムと同時に授業を始める」は,時には,ひどい。子どもが,外で遊んでいる時は,チャイムが鳴り終わってから,教室に向かって歩き,教室に入ったぐらいでやるのがいい。
遊びを,十分させなけりゃあ,子どもがかわいそうだ。「5分休み」なら,チャイムと同時も,あり得る。
E 練習問題が,できない子がいる。
いて,当然なの。問題なのは,それをリズムよく,とり入れられないことだ。
待つのは駄目。「できるまで待つ」は,最悪。
その時(点)で勝負するのではなく,何回も(線)で,できるようにさせればいいのだ。
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- 明治図書