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巻頭論文
算数授業へのこだわり
考える力とは,基礎的知識を組み合わせる力である
向山洋一
向山型算数は,各地で研究授業の場面に直面している。
私は「どれが正しくて,どれが間違いか」という議論は避けてほしいと思っている。
両方とも正しい場合だってあるのだ。
イチローのバッティングと松井のバッティングのどちらが正しいかと聞かれたら,誰だって困るだろう。
「両方とも正しい」と言いたくなる。
松井もイチローも,事実を示しているからだ。どちらも,感動を与えてくれる。
問題なのは「事実」と「手ごたえ」なのだ。
問題解決学習は,「事実」を,示さないから問題なのである。
だから,「算数の問題解決学習」とは,「算数の問題不解決学習」と言われ続けているのである。
問題解決学習をやった教師で,まともな感性と知性がある人なら,「あれはまずい」「勉強が嫌いになる」と感じているのである。
そうでなければ,本誌が発刊してすぐに,日本一の算数教育雑誌になるはずがないのである。
私は,問題解決学習の人が,もっと真剣に子どもの事実を見て,「勉強ができない子ができるようにいなった」という実践を作ってほしいと思っている。
世の中には,「向山大嫌い」の人もいるわけだから,そういう人はぜひ,がんばって,「事実」を作ってほしいと思う。
そうでなければ,子どもがかわいそうだ。
但し,附属小,指導主事,校長などの立場で,無責任に「問題解決学習」を広めている人は別だ。
そういう人とは,論争をしていくつもりだ。
一部附属小,一部校長の中の,知性が欠如した教師で,「向山型算数を止めろ」と強圧する人がいる。
文部省検定の教科書を大切にする授業を「止めよ」と強圧するのだ。
私は,これは「犯罪行為」と思っているから,斗っていくつもりだ。
やがて,名指しで,とりあげる予定である。
たかが,附属小教師に,「文部省検定の教科書を忠実に授業すること」を「止めろ」という権限などありはしないのだ。
教育長でさえ,そんな権限はない。
日本は,法治の国である。
学問・研究の自由を保障された国だ。
「文部省検定の教科書を使った授業を止めろ」と強要し,「授業で教科書を使うな」などと強要することが,どれだけひどい法律違反であるかを(従って犯罪行為であるかを)納得するまで,書き続けるつもりである。
東北地方のさる付属小学校は,とりわけひどい。管理職,研究主任が束になって,若手教師に強要している。
ひどい所でも,この附属小よりましである。
以下はさる県の研究授業でのやりとりの報告である。
私は近隣の小学校で作っている小学校算数部会(16人)で研究授業を提案致します。
もちろん向山型算数で5年生「わり算と分数」を提案します。8月9日事前に指導案検討会がありました。
指導案は「指示・作業指示・ほめる」で例題,練習問題,計算スキルの流れです。
検討会の司会の先生が以前,法則化サークルに顔を出されていた方で今は問題解決学習を研究されています。
準備したものは向山型算数教え方教室7月号,8月号,子供達のうっとりしたノートです。
これらを回し見てもらいながら,指導案を読み上げました。
「前に1時間に1問を解く問題解決学習もやったことがありましたが時間はかかるし,できない子はできるようにならないのでやめました。今はこの向山型算数のやり方で教科書通り授業を進めています。この向山型算数をやる前は“算数は積み重ねの科目だから,ひき算,かけ算ができない子はいくら教えてもわり算ができるようにならない”と思っていました。
しかし,向山型算数の教え方で,補助計算(板書)を堂々と書かせ,全員に九九表を持たせ,分からないところは写させ,分からない子には説明せず答えを薄く赤鉛筆で書いてなぞらせ,繰り返し指導すると10点,20点の子が80点,90点を取るようになりました。
その時は子どもより私の方が腹の底から感動しました。」
というような感じで提案しました。
私が提案し終わると,司会の先生が次のように全体に問いました。「向山型算数のやり方で授業されている方は他におられますか。どんな様子なのかお聞かせ下さい。」と。
だれもいないだろう,と思いきや,なんと3人(16人中)も挙手がありました。
1人目の先生は「説明が長すぎてスキルまでいかない」
2人目の先生が「教材によって向山型算数でやる場合とじっくり考えさせる問題解決学習でやっている」
3人目の先生は「向山型算数の雑誌を読んでやってみたがマニュアル化されていて自分には合わなかった。考える力がつかないように思った。」
ここで,司会の先生から「平均点も高いし,ノート指導も大変参考になるが,例題を教師が解いて示しては子どもに考えさせる力がつかないのではないか。2÷3を小数で表す以外にどんな方法があるか,考えさせるのが大切なのではないか。」という意見が出ました。
そこで,私の考えを述べました。
「2÷3は分数で表すことができるなんて考えきれますか。大変難しいです。1つの問題をあーでもない,こうでもないと各自の解法を出し合って,よりよい方法を見つけ出すやり方は問題解決学習といわれるものです。この方法はアメリカのポリアという学者が数学科の高校生や大学生相手に考えだされた指導法です。
日本ではどういうわけか小学生に適用されています。小学校は基礎基本を教えるところですから,問題解決学習は適していません。それよりも例題を教師が細分化し,子どもに作業させながら分からせ,定義を示し,練習問題,計算スキルを解く中で“考える力”がついてくるのです。
〈向山〉
学習というのは,ほとんどマニュアル化されている。
「自動車学校。コンピューター学校。公文式教室。スイミングスクール。あるいは,アメリカのロースクール。」7
どこだって,マニュアル化されている。
正しくいうと,学校には,「習得型」と「履習型」の二つがある。
とりあえず,時間だけやればいいという無責任授業が履習型だ。学校が,その展型。
自動車学校は,何時間やろうと関係ない。
それぞれのステップを合格しないと前へ進めない。これが,習得型である。
世の中の,学校は(授業は)ほとんど習得型である。
学校だけが,「とりあえず時間をつぶせばいい」という履習型になっている。
だから,現在,大問題になっているのだ。
「学力保障」が問題になるのも,「学校でも,基礎学力に責任を持て!習得型をとり入れよ!」ということなのである。
習得型をとり入れれば,マニュアル化される。マニュアルとは,定石のことである。
プロの最もすぐれた技術を集めたのが,マニュアルなのである。
マニュアルとは,プロ技量の結晶だ。
だから,「雑誌を読んでやってみた」というような程度で,「向山型」ができるわけがないのである。
この文の続きにある,引用文がいい。
〈向山〉
「考える力とは,いろいろな知識から組み合わせる力だ」とは,まさにその通りである。
基礎・基本が大切なのもそのためだ。
「問題解決の力」は,「基礎・基本」の上に作られたのである。
例えば,歴史。
基本的な歴史の流れ,事実を知らないで,「歴史を考える力」など育つわけがない。
例えば,化学。
基本的な化学の知識や,化学式を分からないで,「化学を考える力」など育つわけがない。当然すぎる,当たり前のことである。
後日,講座後の懇談会でTOSS佐賀の與賀田忠倫先生に指導案検討会の様子を話していると,興奮して述べられた。
「向山型算数は“考える力がつかない”と言われるがおかしい。超整理法の野口悠紀雄氏は“考える力には豊富な知識が絶対必要だ。いろいろな知識の中から組み合わせる力が考える力だ”と。ならば,いろいろな基本解法パターンを例題で教えられ,練習問題,計算スキルを解く中で獲得していく。新しい問題を解くとき,今までの基本解法パターンを組み合わせていろいろ考える。これが“考える力”だと思います。だから,基本解法パターンはぐちゃぐちゃにせず,すっきりと分かりやすく教えた方がよい。」
私もなるほどと納得した。ニュートンの編集長の竹内均氏も「アイデアは組み合わせ」と書いていた。
また,広中平祐氏,小平氏の話もいい。
「向山型算数教え方教室No.226頁広田文子氏論文より“数学における技術で基本的なものは計算の技術であって,その基礎となるのが小学校の算数で学ぶ数の計算である。計算が自由にできるようにするためには同じような計算問題を繰り返しやらせる機械的技術的な訓練が必要である。小学校の算数で最も重要なものはこの計算の技術の訓練である。」
これらの話を指導案に書き入れて,10月26日の研究授業に臨みたい。後の授業検討会でも,再度,向山型算数教え方教室,計算スキル,子どもの4月からのノートを回し,見てもらいながらしつこく,しなやかに提案していきます。
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