- 特集 「向山型算数ノート」が育てる本当の学力
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巻頭論文
算数授業へのこだわり
数字操作の「かけ算九九表」から,量と対応する「TOSSかけ算九九計算尺」へ
向山洋一
かけ算九九の指導は,つまり「かけ算九九表」で教える。
子どもたちは,「九九表」を見ながら,口唱,し,暗唱できるまで続ける。
私の小学校時代から変わらぬ指導法である。
最近は,「百マス計算」で,ストップウォッチで急がせる教師も出てきた。
百マス計算は,何十年も昔に大阪の先生方が開発し,朝日新聞で紹介された方法である。
開発した先生は,「かけ算九九の練習」の「1つの方法」として紹介した。
これなら,少しは意味もある。
ところが,「かけ算九九ができない子」が何人もいるのに,クラスで「ストップウォッチ競争」をする,とんでもない指導がもてはやされた。
これは,できない子を追いつめる。
もちろん,できない子ができるようになることはない。
できるようになるには,やはり「かけ算九九表」を覚えるしかなかったのである。
害が大きいたいめ,各地の小学校では「止めた!」という所が続出した。
当然の結果である。
私は,長い間「かけ算九九」も満足にできない子には,「表を持たせて指導する」ことをすすめてきた。
「それで大丈夫ですか」と心配する人も多かったが,「向山が体験ずみだ」ということですすめてきた。
「かけ算九九」ができないと,「わり算」はもちろんできない。
その子たちは,「わり算以後」は,教室でお客様になっている。
ところが,「かけ算九九表」があれば,「わり算」の学習に参加できる。
「わり算のやり方」も身につけられる。
「かけ算九九」ができない子に,何もせずに「わり算」に参加させ,お客様にすればいいのか?
それとも,「かけ算九九の表」を持たせ,「わり算のしくみ」を身につけさせた方がいいのか?
どちらがいいのか,当然のことだろう。
「かけ算九九表」を持たせて学習しているうちに,半年,1年もたつと,自然に暗記してしまうのである。
多くの教師が,体験してきたことだ。
向山型算数では,次のように主張する。
かけ算九九を覚えてない子には,かけ算九九表を持たせよ!
こんな分かりやすい主張を,かくも全面的に述べてきたのは,向山型算数が初めてであった。
もちろん,いくつもの配慮は必要だ。
「かけ算九九」のできない子に,表を持たせると,いやがる子もいよう。
だから,「かけ算九九を覚えている途中の人,覚えたけど,ちょっと自信のない所がある人はかけ算九九表を見ていいですよ」というぐらいの言い方はしてほしい。
テストのときだって,もちろん見ていいのだ。
心配しなくても大丈夫。
自信をもった子は,見なくなるのである。
さて,このようなかけ算九九の指導の中でいつもひっかかる点があった。
それは「かけ算九九表」の暗記は,「数字のみの操作」だということだ。
「数字のみの操作」と「実体の理解」は別のことなのだ。
樋口編集長がよく言う。
「言葉では,初版2000冊を3000冊にしようなどと,簡単に言える。
言葉では,数字はすぐ変えられるけど,実体は言葉に追いついていかない」と。
かけ算九九も同じである。
2×2=2+2
2×5=2+2+2+2+2
このようにすれば,少しはイメージできるが,全部をいちいちやるわけにはいかない。
このやり方は,量への転換が中途半端なのである。
次の2つの九九は,言葉上は同じようだ。
2×3=6
7×8=56
この2つの違いを,一目で分からせる教材こそが,ほしいのである。
長年考えた末,ついに私は作り出した。
例1
例2
これなら,違いは一目で分かる。
4 ● ● ● ● ●
4 ● ● ● ● ●
2 ● ● ● ● ●
1 ● ● ● ● ●
1 2 3 4 5
7 ● ● ● ● ● ● ● ●
6 ● ● ● ● ● ● ● ●
5 ● ● ● ● ● ● ● ●
4 ● ● ● ● ● ● ● ●
3 ● ● ● ● ● ● ● ●
2 ● ● ● ● ● ● ● ●
1 ● ● ● ● ● ● ● ●
1 2 3 4 5 6 7 8
たて軸2の所を「曲がり尺」を右へ動かせ
ば,2の段の練習になるのである。
正方形に数字を入れると,初心者用になる。
矢印の所に,答えが浮かび上がって見えるのである。
2×4=8 が,次のようになる。
例3
あの大森修校長先生が,この教材のとりこになってしまった。
教師でさえ,のめり込むのである。
5月末,東京教育技術研究所から,1セット300円で発売したところ,1日半で完売した。
すぐに再版にかかった。
TOSSの教材は,このように1つ1つが,考え抜かれたものなのだ。
最近は,「まねまねスキル」のオンパレードになっている。ところが「まねまねスキル」は,「ユースウェア」がなってない。
似て非なるものである。
天然ダイヤと人造ダイヤと,似ていても価値はまったく違うのである。
「ユースウェア」とは,「授業そのもの」であるから,「教科書は同じでも授業がまったく違う」ということなのである。
なお,「TOSSかけ算九九セット」は「実用新案を申請」した。知的財産は,自分たちで守らねばならない。
論文審査に応募した東京の中島先生は,次のようにTOSS教材について書いている。
◆今年度,1〜6年の算数講師で授業をしています。あかねこ計算スキル,S社のテスト,TOSSノートを2年以上の全学年で採用していただけました。私自身,今回全て初めて使用しているのですが,早速計算スキルのすごさを実感しています。
3年生でADHDの男の子は,2年の途中から親が学校を休ませるという深刻な状況でした。
3年生になり,学校へ通い始めたのですが,算数の時間は席に着いています。授業を受けず,読書していることもありますが,「計算スキルをします」と言うと,机の上にスキルを出してみんなと一緒に集中して取り組んでいます。
今日も10問コースで100点です。シールを貼りながら,「10個もシールを貼るのは,時間がかかるよ」と笑顔で話してくれます。計算スキルが,彼の笑顔を作り出したのです。
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何かと大変だったADHDの子が「計算スキル」のときには,集中して取り組んでいるという。
このような便りを,全国からいただく。
「TOSSかけ算九九セット」も,「かけ算九九が苦手」という子の福音になることを願いたい。
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- 明治図書