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巻頭論文
算数授業へのこだわり
日本の学力の崩壊を救い,軽度知的障害をもつ子を育てられるのは向山型算数である
―算数の問題解決学習は子どもをスポイルしてきた―
向山洋一
最近,私は,算数の問題解決学習こそが,学力低下を招いた根本問題であることを山谷恵理子参議院議員をはじめ,何人かの国会議員に説明した。
どの議員も教科書を使っていないことなどにびっくりして強い関心を示した。
このときの様子は,先月号の『学校マネジメント』誌に書いた。
この雑誌は,校長,教頭,教務主任などの先生方が読むので,本誌読者の目に触れてないと思える。
大切なことを,かなりきつく書いたので一部分をぜひ紹介しておきたい。
算数の問題解決学習を推進しているのは「附属小算数部」「算数担当の指導主事」「算数研究校の管理職,研究担当」の方々である。
この人たちが,日本の子どもの学力を崩壊させてきた。
教科書を,ほとんど使っていない。
教科書をきちんと指導する教師を,校長室によび出して「教科書を使うな」と強要までしている。
日本中に,実例がある。
授業中,児童に「教科書をしまいなさい」と指示する教師は,山ほどいる。
教科書を使わず,練習問題などは宿題に出される。
子どもの算数ノートを見れば,一目で分かる。教科書の問題をやってないのだ。一学期で,算数ノートを五ページしか使わないクラスもめずらしくない。
算数嫌いは,激増している。
教科書できちんと教わっていて,市販テストで百点をとっていた子たちが,算数の問題解決学習の教師に教わると五十点,六十点と急降下する。
何も教わっていないから当然だ。
算数の問題解決学習こそ,基礎学力低下の根本原因であり,日本国家を没落させつつある元凶である。
本誌読者の方にも「算数の問題解決学習」の方々がいると思う。
「フザケンナ」と思われる方は,ぜひ「授業対決のシンポジウム」をよびかける。
国会議員の方々,各界の方々を前に「研究発表」「模擬授業」「親・子どもの声」などを出しあい話し合うのである。
新聞社などに主催してもらい,大々的にやりたいと思う。
算数の問題解決学習をすすめている管理職の方々,ぜひ「よし,自分が出てやる」という意志を,本誌編集部までお寄せいただきたいと思っている。
これは,算数の問題解決学習を推進する教師への挑戦状である。
「貴方たちが,学力を崩壊させているのだ」というわけである。
「コノヤロー」と思われたら「授業対決のシンポジウム」に出てくればいいのである。
算数の問題解決学習をする教師は日本中にいる。
まさか,全員が「逃げてしまう」ことはあるまい。
中には,立派な先生もいて,「シンポジウムをやってやる」という人もいようと思う。
これだけのことを書かれて逃げているようじゃ,全然ダメだ。
教師としてダメというより,人間としてもダメだ。
「かげでコソコソ悪口を言う」など,話にならない。
兵庫教育大など一部の大学の一部の教官は今も「法則化批判」を,学生相手にやっているという。
「法則化」から「TOSS」にメタモルフォーゼしたことさえ知らないで,「法則化444」批判を,大学でしているのだ。
「技術」と「技能」の違いさえ分からないで,「授業批判」をしているわけである。
さて,日本中の算数の問題解決学習の推進者はどう反応するか,楽しみだ。
私は,特別支援教育についてもふれた。
軽度知的障害の子は,正しい対応をすれば,将来自立して生活している。
但し,臨界年がある。手遅れがあるのだ。小学校三年生までに,専門家からの教育を受けないと手遅れになるという。
一年,二年の時,「様子を見ましょう」という無責任な対応はその子の一生を駄目にすることになる。
こうした子が,児童の七パーセントいる。校内に「特別支援教育」のしくみを作り,きちんとした研修をしてない学校は,犯罪的である。
「ワーキングメモリー」「微細運動障害」の二つは,すぐに理解する必要がある。
手袋を二枚つけたような状態なのである。日本中の小学校ではそんな子に,一年生入学して「ブロック」で学習させる。操作できるわけがないのである。
伝統的な「百玉ソロバン」がすぐれているのは,障害を持った子でも操作できるからである。
東北大学病院の横山ドクターは,小学校卒学位までに「四年生までの読み書き算」ができるようになれば,生涯自立して生活できるという。
そうでない場合,援助が必要になる。
私たちの経験では「教科書をきちんと」「正しい方法」で指導すれば,市販テストで五点,十点だった子が,八十点,九十点をとるようにさせることは可能である。
これまでの日本では,成功報告は一例もなかったが,私たちは何百例という成功を実現させた。前担任,前々担任が「この子だけは,どうやっても駄目だ」と言ってた子を「八十点,九十点」とるまでに成長させたのである。
それも,授業時間だけを使ってである。「向山型算数指導法」という。
小学校教師が,専門医と協力して,正しい対応,効果ある指導法で教えれば,将来一人立ちしていけるのだ。
しかし,残念ながら,そうした指導例は少ない。小学校高学年になり「手遅れ」になってから,専門医を訪れるのが,普通なのである。
何万,何十万という家庭が,一生その苦痛を負っていくのである。
その責任の多くは「軽度知的障害」に,低学年のうちに具体的手だてを打たなかった学校にある。
校長の責任は重い。
算数の問題解決学習では,軽度知的障害の子を救えない。
それどころか「症状を悪化させている」のが,ほとんどだ。
「分かんない!」と,授業中叫んでいる子が何千人も何万人もいる。
反抗挑戦性障害にまで悪化させた実例はいっぱいある。
ある県のヴェテラン男性教師。算数の問題解決学習の指導に,県内を講演して歩くほどの人だ。
クラスのADHDの子が反乱した。親をよび毎日のように職員会議にかけたが悪化の一途。
手すきの教師が入り,それでも駄目で,三人体制,四人体制までやったが教室は混乱。
算数の問題解決派の教師は,「この子は何をやっても駄目だ」と,強く主張していた。
算数の問題解決学習は,その子を救えなかった。「分かんないよ!」と叫ぶ子に力で押さえつける方法しかできなかった。
4人の教師が授業を看視しても,その子の反乱はおさまらなかった。
学年がかわり,TOSSの若手教師が担任になった。算数の問題解決学習を推進する学校でたった1人の向山型算数だ。
その子を押しつけられた形で担任になった。
わずか3日で,平静なクラスになった。
その子は,勉強にまじめに取り組むようになったのである。テストも100点を取った。
母親から,涙のお礼が届けられた。
一方で,悲しむべき現実も報告されている。TOSSの若い先生が,低学年で「軽度知的障害」と思える子を担任した。
母親の理解を得て専門家に見せると「ADHDとLDの合併」と診断された。
担任は原則をきちんとして指導した。子どもは何の問題もなく育った。
3年で担任が変わった。その担任は「甘やかしが原因だ」と根拠のない判断をして,その子に当たった。当然子どもは反発し荒れた。
母親は担任に訴えたが耳をかさなかった。校長にも訴えたが「様子を見よう」ということだった。次の担任も「甘やかしが原因だ」という態度だった。
校長もそれに賛成のようだった。
母親の訴えは,無視され続けた。
かくして5年生になり,手がつけられないほどになった。手遅れ気味である。
校長,3年の担任,4年の担任の罪は重い。これは,ごく最近の実話である。
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- 明治図書