- 特集 「できない子」をできるようにした凄腕教師100物語
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- 子ども自身が、事実として100点を取ること
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- 5段階評定で2だったH君が5になった
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- 楽しい授業の連続的保証がクラスを変える
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- 「風」でなく「型」で指導したときに子どもたちは変わった
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- ミニ特集 算数が得意な子も苦戦する“おもしろ和算問題”
- 「おいおい先生、何だよ」できそうでできない問題にやんちゃも熱中
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 教育の理論は現場から生まれる 神は底部に宿り給う
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巻頭論文
算数授業へのこだわり
教育の理論は現場から生まれる
神は底部に宿り給う
向山洋一
教育の理論は,現場から生まれる。
子どものつまずきを,真剣にとらえることが出発点だ。
子どものつまずきという「事実」を見逃すような教師は,すぐれた教師になれない。
鈍感な人は,すぐれた教師にはなれないのだ。
テストをして,10点,15点の子どもが出たとき,その子の事実に「正対する」教師のみが,すぐれた教師になる可能性がある。
なぜ,その子は「分からない」のか。
分からない原因は何か。
授業のどこが問題だったのか。
どのように工夫すればよかったのか。
自分の教え方のどこが未熟だったのか。
毎時間,毎時間,そのことを考え,正対する教師だけが,すぐれた教師になっていく。
算数の問題解決学習の教師には,このような視点はない。
授業記録,実践報告を読んでも,「できない子ども」「つまずく子ども」との「正対した努力」が出てこない。
「算数の問題解決学習法」という「頭の中で作った理論」を当てはめるだけの授業記録ばかりだ。
「算数問題解決学習」は,日本の教育史上最低,最悪の指導法だ。
これまでに,幾十万人,幾百万人の子どもを「算数嫌い」「算数の落ちこぼれ」にしてきた。
軽度発達障害をもつ幾万人,幾十万人の子どもを「反抗挑戦性障害」などの最悪の状態に落としめてきた。
算数の問題解決学習は,日本の教育史上まれなほどの「犯罪的指導法」である。
私が,これほど書いているのに,誰一人として反論をしないほどの駄目な研究集団なのだ。
そのくせ,教科書をきちんと教える若い教師を校長室に呼び出し,「校長,研究主任」などが取り囲んで「算数の教科書を使うな!」「校長として認めない」などと,おどしているのだ。
「子どもの事実」を見ないで,「権力づくで若い教師をおどす」指導法が,算数の問題解決学習なのである。
相手の立場を配慮して,名前を公表してないが,いくらでも公表できる用意がある。
教師にとって,最も大切なのは「教室」という「現場」である。
「授業」という行為である。
「子どもの事実」という結果である。
教師が教師である限り,自らの指標とすべきはそのことなのだ。
これは,永久不変の真理であり,これから先500年,千年たとうとも,生き続ける真理なのである。
教育の理論は,「現場から生まれる」のだ。
生物としての「人間の能力」は,100年昔も今も,そして「100年後」も,あまり変わりはない。
しかし,「学習すべき内容」は,増加し続ける。
これが,「教育」のもつ「根本」の矛盾である。人間の能力は,同じである。学習する内容は,増加し続ける。
これを解決するためには,「教師の指導法の改善」しかないのである。
その教師の指導法の改善によってのみ「子どもの教育」は,時代の要望に応えられるのである。
子どもの成長を願うなら,教師もまた成長しなければならない。
勉強する教師だけが,指導法を改善する教師だけが,子どもの前に立つ資格がある。指導法の改善とは,次のことである。
すぐれた教材を扱う。
すぐれた教材を分かりやすく組み立てる。
すぐれた教具を工夫し,活用する。
すぐれた「授業行為」を身につける。
教師の授業力量を向上させる。
指導法の改善と言えば,「向山型算数に挑戦」の72(9月号掲載)は,よい問題だった。
とても,すばらしい問題なので,ぜひサークルで考えてほしい。
「改善」の具体的テーマがここにある。
これまでの知見を,一歩前に進めなくてはならないのである。(学校図書『みんなとまなぶしょうがっこうさんすう1年』P.73)
この問題の基本は,「一対一対応」だ。
しかし,「一対一対応」を,機械的に覚えても駄目だ。
「一対二対応」だってあるのだ。
「うさぎの耳はいくつありますか」という
問題だ。1匹に2つずつあるわけだ。
乗用車の車輪となれば,普通は「一対四対
(赤)(青)
応」となる。
このようなことが,授業でさりげなくできなくてはならない。
この問題のもう1つの基本は,「正確に数える」ということだ。
「正確に数える」のには,順序よく数えることが唯一の方法ではない。
それも大切だが,「固まり」を作っていく方法だってある。
固まりを作るというと,ほとんどの教師は「10の固まり」だけを考える。
そうではない。
サイコロの面は,「1つ」「2つ」「3つ」などの「固まり」と考えることもできる。
また,サイコロの上面と下面とをあわせると,必ず「7つ」になるということも言える。
学校では,「1年生の固まり」(1年生集団)などを作るときもある。
このように考えると「一対一対応」の発展として「一対ニ対応」「一対四対応」などが考えられる。
さらに,その発展として「固まり」が考えられる。
「10の固まり」の他にも,違う「固まり」が考えられる。
9月号の問題は,このような「発展面」を備えている。
だから,「順序よく数える」とか「10の固まりにする」とかいう「1つだけの方法」は不十分だ。
このような,「発展問題」のときこそ,あれこれ考えさせるのである。
私は,高学年に対しては「頭脳派」「体力派」と分けていた。
「どちらもすばらしい」とほめてきた。
「5÷7の小数点100位の数字は何か」のとき,循環小数として考えるのが頭脳派,ノートに何ページも計算するのが,体力派だ。
「体力派」も立派なのだ。
「俺は,絶対体力派」だと言っていた子の中から慶應の経済に入った子もいれば,東大に入った子もいる。
子どもが持って来る様々な解を,それぞれに認め,ほめられること,このことがまず大切だ。
その中に,「数の異なる固まり」に注目してくる子がいるはずだ。
それを,取り上げ大々的にほめるのだ。
それは,すごいことなのだ。
「一対一対応」を突き抜けて「固まりの対応」に目が行っているからだ。
素直で,技量の高い教師でないと,こうした意見のすばらしさを見逃してしまう。
A「数える」
B「10の固まりを作る」
そして,
C「異なる固まりを作る」
ここに,ささやかな,改善された指導法が誕生するのである。
これこそが教育研究の本道だ。
教育の理論は,教室から生まれるのだ。
第1回TOSS W木村塾In淡路〜「キーワード別模擬授業対決」「グレーゾーンの子役付き模擬授業(重夫先生も挑戦)」「教科書分析法」など〜日時:12月23日(金・祝)淡路夢舞台国際会議場 講師:木村重夫・木村孝康・小野隆行 資料代8000円
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