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巻頭論文
算数授業へのこだわり
すぐれた教材は,骨太な教材の論理で貫かれている
向山洋一
ある著名校長の教材について,批判せよと書いた。
あまりにも「ひどい教材」なので,批判論文は,いっぱい寄せられた。
どれも,読みごたえがあった。
致命的欠陥が,少なくとも3つはある。
第一は,問題として与えられる「式」は,どのように書かれるかである。
著名校長の教材は,次のようになっている。
9+2=
8+3=
私は,このような表記を見ただけで,その教材を却下する。
私は,進研ゼミの小学校講座全学年全教科の設計をはじめ,旺文社,主婦の友,学林館,光村,明治図書,PHP,サンマーク,学研,正進社,セシール等の教材を作ってきた。
その多くは,日本一の教材になっている。
進研ゼミでは,ライターは100名もいた。多くは附属小教師である。
見本ページに,ライターの先生が,上記のような問題を持ってきたら,私は即座に止めてもらっただろう。
こんな,ひどい例は,一度もなかった。
(『向山型算数教え方教室』2005年10月号向山型算数に挑戦73指定教材)
「=」(イコール)は,左辺と右辺が同じであるという記号である。
だから,9+2=11というのが正しい。
9+2=13と書いてあれば,間違いである。
左辺と右辺が等しくないからだ。
式として示すには,9+2=11のような書き方をする。
ただし,右辺は,左辺を計算した結果であるから,文章題のときには,計算前の状態も式として認めている。
つまり,(9+2)である。
文章題の式というのは,次の2通りで示される。
A 9+2
B 9+2=11
計算問題のときには,次の2通りで示される。
A 9+2
B 9+2=□
「=」(イコール)は,左辺と右辺が等しいことを示すという「ルール」によって,このような形が示されている。
教科書を調べれば,すべて,私が書いたようになっていることが,分かるだろう。
ところが,ある著名校長の教材は,次のようになっているのだ。
9+2=
8+3=
日本の教科書,教材は,このような書き方をしない(中国の教材の中で,上記の表記を見たことがある)。
次に問題となるのは,「教材としてとりあげる問題数」だ。
算数・数学は「問題のすべて」を練習するのではない。
例えば,「三位数×三位数」の,すべての問題を練習させるのではない。
その中の一部分を選び,それができれば他のもできると考える。
当然「一部分の選び方」が問題となる。
「選び方」には,「科学的な観点」が必要となる。
「同じような問題」をくくるのである。
分かりやすいように「一位数たす一位数」で考えよう。
例えば,9+2とか,3+4という問題だ。
ここで,問題である。
「一位数たす一位数」の総数は,「いくつあるか」ということである。7+5と5+7は違う問題と考える。
私は,大学で授業するときは,ここから入る。答えは,バラける。
教師相手だと「大学生の答えを4つ想像しなさい」という問題に変える。
いい問題なので考えてもらおう。
一位数たす一位数の問題総数はいくつあるか,千葉大の大学生130名の答えを4通り考え,そう考えた理由を示しなさい。
この4通りを,すべて考えられた教師は技量が高い。
3通り,答えられたら,まあまあの水準である。
2通りしか考えられなかったら,並の力量。
なお,上記の数字は「決まった数」である。
次のページを見る前に,ぜひとも自分で考えてほしい。
第一の答えは,0から9まで10文字なので,10×10で,100通りという答えである。
第二の答えは,ゼロを抜かして,81という答えである。
第三の答えは,「90」という答えがある。どうしてこう考えたのか,追究してほしい。
第四の答えは,「72」という答えがある。5,6人は,こう答えている。どうして「72」になるのか,考えてほしい。
さて,正解は,100通りである。
かけ算九九表を思い浮かべればよい。
問題の総数は,100問だ。
しかし,教師は,それを分類する。
「くり上がりがある」と「くり上がりがない」というのが,一番分かりやすい。
「くり上がり」には,「10の合成」が,どうしても必要なので,「たして10になる」という分類も加える。これで3通りだ。
さらに,「5の合成・分解」も重要で,これもとり入れる。これで4通り。
もう1つ,「ゼロ」のたし算を教える。
こうすると「5通り」となる。
これで,ほぼ大丈夫だろう。
さらには「プラス1」を入れる場合もある。
5通りの問題をそれぞれ2問ずつ学習すれば,他もできると考えるわけである。
すると「100問の総数を10問やればできるようになる」と考えられる。
これが,「教材の論理」である。
もちろん,「練習」も必要だ。
そのときは,上記5通りのうちの「5つのパターンがすべて入っている10問」を練習させればいい。それ以上は,ムダである。
ところが,著名校長の教材には,このような「教材の論理」がない。
三流以下の教材だ。
いたずらに,子どもの体力を浪費させる教材だ。
タイムまで,計っているのである。
教材には,すべてこのような「教材の論理」がある。
すぐれた教材は,このような「原理」の上に組み立てられているのだ。
第三の問題は,「一位数たす一位数」の最難関への対応だ。
次の問題で易しいのは,どちらだろう。
A 7×5=□
B 7+5=□
これは,たし算の方が難しい。かけ算は「丸暗記」で答えられるからだ。
たし算は「10の合成」をしなくてはならないからだ。
昔,百マス計算をやった人なら分かるだろう。「かけ算百マス」は,できても「たし算百マス」では,かなりの子がつまずいたことを。
たし算は,次のようにしなければならない。
5を分解して,「10の合成」を作らねばならないのだ。そのためには,サクランボ計算が最もよい。できない子にこそ大切だ。
ところが,著名校長の教材には,サクランボを書くスペースがないのである。
7+5=12
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