向山型算数教え方教室 2007年2月号
“学力テスト”にも対応!教科書まとめ問題で学力保障

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向山型算数教え方教室 2007年2月号“学力テスト”にも対応!教科書まとめ問題で学力保障

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2007年1月4日
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 “学力テスト”にも対応!教科書まとめ問題で学力保障
全ての問題を全ての子が「できる」状態にしてやる
河田 孝文
時間を確保し、繰り返し問題を解かせ、教科書問題を自力解決できる力を身につけさせる
松崎 力
「まとめの問題」を授業として扱う
瀬戸内 凛
できない子に個別指導を行う時間を確保する学習システム
小野 隆行
「全員自力で」できるようになる原則7
馬場 慶典
6年生のだからこそ「算数学習作文」
八和田 清秀
どの子もできる問題から解き進める
許 鍾萬
ミニ特集 教材選定をリードする“授業観の主張”
保護者、同僚による“子どもの事実の証言”
神谷 祐子
「以上のことをクリアできるのは、あかねこ計算スキルしかないですよね」
山田 淳
見ただけでは分からないことを主張する
太田 聡美
「学校用教材」選択の視点をもっているか
杉山 裕之
布石は慎重に!チャンスは一気に!
丸亀 貴彦
メリットを具体的に示す
山本 昇吾
グラビア
難教材や文章題指導でも向山型算数で理解を確実にする
村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
プロの教材選択
小倉 郁美
向山型算数キーワード
教え方の手抜き状態をあこがれる
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
指導方法にこだわりをもって
向山 洋一
学年別2月教材こう授業する
1年・大きな数
例題指導
間宮 多恵
「練習問題・スキル」と教材教具
乙津 優子
2年・4けたの数
例題指導
徳本 孝士
「練習問題・スキル」と教材教具
門脇 美穂
3年・2けたのかけ算
例題指導
中島 詳子
「練習問題・スキル」と教材教具
永山 祐
4年・計算のきまり
例題指導
藤田 明子
「練習問題・スキル」と教材教具
福澤 真太郎
5年・円周と円の面積
例題指導
塩沢 博之
「練習問題・スキル」と教材教具
加藤 寿生
6年・比例
例題指導
小峯 学
「練習問題・スキル」と教材教具
堀場 弘喜
中学難教材こう授業する
3年/2次方程式(x+△)2=○の形に変形して解く方法
池田 浩司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第83回)
TOSSの新教材、『計算パーフェクトスキル』完成
井上 好文
向山型算数に挑戦/論文審査 (第87回)
「子どもの考え」を真剣に予測する
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第89回)
かけ算九九尺、子どもの事実と手応え
木村 重夫
向山型算数WEBサロン (第83回)
2つの量を表で表した基本型を使って問題を解く
赤石 賢司
〜単位量あたりの大きさの授業(3)〜
“若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第23回)
「2年目の失敗」が教師修業の原動力だ!!
村上 元
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
「全然分からない」と叫ぶ授業
堀内 美紀
できる子には楽しい問題解決学習
松室 利奈
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
「ほめて始める」ことを毎時間意識する
野口 澄
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第89回)
低学年
中村 智治
中学年
中山 孝志
高学年
赤阪 勝
ビギナー専科=向山型算数ココが授業の勘所
1年/向山型板書法
本間 尚子
2年/ノート指導の我流脱出
岩岸 節子
3年/サークルでの学び「授業の基本を実感」
松田 裕介
4年/定規を使って算数ができる学級にする
北村 聖子
5年/どの子にも補助計算を書かせる
刀祢 敬則
6年/いいものはいい、しなやかに頑張る
西丸 雄子
向山型算数セミナー
2007年セミナー、本決まりになりました
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
「スキル?よっしゃー」
井上 和紀
「えっ!算数もう終わり!?」
町田 和弘
向山型算数とサークルに感謝!
市島 直子
新採先生へのエール
前島 哲治
補助計算が授業を変えた
鈴木 信広
100点の笑顔を忘れずに
長谷川 勝
サークルで授業力をつける!
山田 雅之
論文ランキング
11月号
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
「ゆったり」「定規」を“徹底”すること!
西岡 美香
読者のページ
反響!「自己診断票」の学び
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第89回)
向山 洋一

巻頭論文

算数授業へのこだわり

指導方法にこだわりをもって

向山洋一


 向山型算数の指導法の基本は,「教科書をリズムよくテンポよく教えること」である。

 これを読むだけで,教師は「自分もできそう」と思う。私の次の文を軽く考えるのだ。

 「ただし,教科書をきちんと教えられる教師は1000人に1人もいない。本音で言うと1万人に1人もいないと思っている。なぜなら,

教師は,教科書を使ってきちんと授業することを大学のときにも,教師になってからも学んでこなかった」からだ。

 だから,「向山洋一教え方教室」などへ,10回ぐらいは出たことがない人は,かなりの我流なのである。自分が我流であることに早く気がついた人が,本当の向山型へ向かうのである。

 向山型算数初心者講座のアンケートに,横浜の先生が次のように書いていた。

■常に教室で向山型算数をやっていると思っている自分!!

 しかし,リズムとテンポの理解をまちがえてただ早口だったり,逆にもったりとした授業になっています。

 本を読めば…と思っていましたが,ライブとまったくちがうと思いました。

 特に,板倉先生,木村先生,赤石先生の分析の深さにうなり,メモを取る手が動きっぱなしでした。

  作業指示→確認→称賛

2つができていないと思いました。

 熱心に「向山型」の本を読んだのだと思う。

 「リズムとテンポよく」も,気をつけていたのだと思う。しかし,「ライブ」を1回体験しただけで,間違いと気づく。「リズムよくテンポよく」を間違えて「ただ早口」にすぎなかったと分かるのである。ときに,リズムのない「もったり」とした授業になってしまったのである。

 ライブで,分かったのだ。

 「分かった」のと,「できる」のは違う。例えば,プロ野球の選手の捕球を見て「自分とは違う」と分かったとしても,それができるようになるには,「真剣で,まじめで,時間のかかる努力」が必要なのである。盲腸の手術を2,3回見て,「分かった。自分でもできる」という人は,いないだろう。

 「リズムよくテンポよく授業する」ための入門は,「言葉を削る」ということだ。10分の1に削るのである。つまり,10分の9を捨てるのである。もちろん,「アー」とか「ウー」とか言ってはならない。1時間の授業で,そのような言葉が「1つも出ない」ようになって,やっと「リズム,テンポの初心者合格」なのである。

 この先生は,もう1つよいことに気がつく。「作業指示」だけでは,いけないということだ。

 「作業指示」によって「学習」をさせるのだから,「その作業」を確認することが大切だ。

 もちろん,クラス1人残らずである。

 そのための1つの方法として,「ノートの丸つけ」がある。「確認」して,「ほめ」なければならない。とりわけ「できない」子が「できる」ようになったとき,ほめなければならない。

 だから,1人1人の学習状況が,頭に入っていなければならない。「できない」子が,「できる」ようになったときこそ,その子の成長のチャンスだ。それを見逃すなど,犯罪的とも言っていいほどのことだ。まして,そのような意識のない教師は,最低レベルの力量なのである。

 「作業指示」は「発問」とセットである。

 子どもに「発問」をするのだ。

 しかし,「発問」だけではいけない。必ず「作業指示」が加わるのである。「作業指示がない」「作業指示が不明瞭」な授業があまりに多い。

 そのようなとき,教室は乱れ,荒れるのである。子どもは,何をしていいか分からないからだ。頭の中で考えるのか,ノートに書くのか,教科書に書き込むのか,隣の人と相談するのか,できたら手を挙げるのか,まるで分からないから,ざわつくのである。

 小林能和先生は次のように言う。

■ほんの小さな差が大差

 『向山型算数教え方教室』の向山先生の論文だけ再読している。

 今日読んだのは,No.76 2005年10月号

 巻頭論文,論文審査ともに「2けたの数でわる筆算(1)」が取り上げられている。

 巻頭論文のタイトルは,『向山型算数の実力は「ほんの小さなこと」と思える部分に現れる』

 87÷21の筆算。

 割り算の答え,商はどちらに立つか聞く場面。

 あまりにも有名なこの場面。どう聞くか?

 論文審査に応募された方の答えはさまざまだった。例えば,次のように。

 P.6

(ア)答え「商」は,Aに立ちますか,Bに立ちますか,Aだと思う人?Bだと思う人?

(イ)答え,商は,Aに立ちますか。Bに立ちますか。Aだと思う人?Bだと思う人?

1 正しいのは(ア)か?(イ)か?それとも別の言い方か?

2 いくつが立つか考える場面。87の「7」と21の「1」を指で隠す。どのように隠すか?

3 教科書に示されているアルゴリズムは,通常「たてる」「かける」「ひく」である。向山型算数ではこれにもう1つ付け加わる。それは何か。

4 「次に何をしますか」。

 「87から84を引きます」。

 このように答えさせてはいけない。

 どう答えさせるか。それはなぜか。

 (ア)と(イ)の違いが分かるだろうか。

 「Aに立ちますか」の後に,点が入るか丸が入るかの違いなのだ。

 この違いを,実感をもって分かる人が,「向山型算数」について分かった人なのである。

 「2」「3」「4」も,それぞれに大切なのだ。

 「どれが正しいのか」「なぜなのか」が,分からなければ,向山型ではないのである。

 さらに,小林先生は書いている。

■向山先生は,次のように言う。

P.57

・「大体同じ」というのは,「分かっていない」ことなのである。「正確」と「大体同じ」には,天地の差がある。

 では,その差はどのくらいか?

・「正確」は「18点」(小林注20点満点中)であり,「大体同じ」は「分かっていない」のである。

 かつて,法則化の追試をし始めたころ,「ここはもっとこうした方がいいと思い,原実践通りしなかったことがしばしばあった。

 今,思えば,我流もいいところなのだが,当時はそれでいいと思って「俺ならもっといい実践ができる」と思い上がっていた。

 当然,うまくいかない。

 「俺がこれだけやっているのに何でできないんだ」と子どもを責めた。

 今,思うと冷や汗が出る。

 向山型を忠実に実践する。細部にこだわる。なぜそうするか考える。

 ほんの小さな差が,実は大差なのだ。

 「ほんの小さな差が,実は大差なのだ」と本当に分かるまでに,十数年が必要だったのである。

 「自分の工夫」なぞ,腕が低いときには,何もならないことに気がつくのに,数年はかかったのである。もとより,「工夫する」ことは大切だ。しかし,「よいお手本」なら,「守,破,離」の原則の通り,「素直」にやってみることが大切なのである。

 剣道,空手,書道,将棋などで言えば,「工夫する」のは,初段の腕になってからだ。TOSS授業検定で言えば,せめて「シングル」の級になってからのことである。有段者に必要なのは,「離」である。お手本を離れ,自分の世界,自分の工夫を創り上げていくことである。と言っても,それは先人の仕事の上に成り立つのだ。

 ノーベル賞受賞者が,「自分は何も新しいことをしていない。すべて先人の仕事から学び,組み立てをかえただけだ」と言っているようにである。

 正木先生が大切なことを書いている。

■今年2月に福島に来市された,山際先生が仰った。

 算数で教科書をしまって,黒板に問題書いて,さあ解きなさいなんて…

 こんな指導では駄目だ!!

 できない子は,下向いて遊んでいる。

 教科書を使って指導すること。

 問題解決学習をして,教科書は使わないなんて…吃驚だ。

 流行に飛びつかれているんだ!

 こんな指導がまかり通っていて,ほんと吃驚した。まやかしに,早く目覚めること!!!

 この言葉を本日の研修会で,勤務校の先生に伝えよう。

 勤務校に赴任した昨年,問題解決学習一色で「めあてやまとめを何色で囲みますか」…なんて低次元の話し合いをしていた。

 全国教育長会議を指導していた山際先生である。100人もいる文部省の教科調査官の統括をされていた方であり,今も中教審などの仕事をされている先生だ。「問題解決学習」は「教師の手抜き指導のようだ」という意味の感想も言われていた。

 これを聞いた,指導主事先生は,びっくりされただろう。「算数の問題解決学習」は,一部の教師が,やっている,ひどい方法にすぎないのである。


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