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巻頭論文
算数授業へのこだわり
だからこそ脳に「成功回路」が作られる
向山洋一
かけ算ができない子のノートを見る。
「なぜできないのか」を,「すぐ発見できる」教師もいれば,「発見できない」教師もいれば,「それは子どものせいだ」と思ってしまう教師もいる。
「算数ができない子」の原因を発見する教師と,「発見しないで,子どもの責任にする教師」の,どちらの教師になりたいだろうか。
教師の一生は,どちらの側に立つかで変わる。
「できない原因を発見」しようとする教師は,「子どもの事実」を見つめ,注意深く観察し,「同じような状況を克服した先行研究」から学ぶ。
「できない教師と子どもの責任にする教師」は,「子どもの事実」を見つめようともせず,「自分のやり方に安住」し,「先行研究から学ぶ」こともしない。
貴方は,どちらの教師になりたいのだろうか。
「子どもの責任」にする教師は,先行研究を学ぼうとせず,「自分の考えで授業するのだ」と偉そうに主張する。
「子どもの責任」にする教師は,先行研究から学ばないから,本も読まず,セミナーにも出かけず,パチンコにのめり込み,ケーキ作りに熱中する。
「子どもの責任」にする教師は,「子どもの事実」を見ないどころか,そこから目をそむけようとして,「クラス平均点」に文句をつける。
「本当の学力は試験の点数では分からない」と言って…。
では,「日本の大学の入学試験は,本当の学力を測っていないのか?」
では,「世界中の学校は,本当の学力を測ることのできないテストをなぜやっているのか?」
では,「ヨーロッパ,日本,アメリカ,中国等世界中でやっている『学力調査』は,意味のないことをやっているのか?」
かけ算のできない子のノートを見る。
「できない原因」を発見できるのは,「もともと頭の中に,そのことを解釈できるコード」があるからだ。
コードは,学習によって身につけられる。
学ぶ人でなければ,「見る目」は育たない。
フランスの最高の警察学校の講堂に「目はもともと内にあるものしか発見できない」という額が掲げられているが,「発見する」ためには「発見できるコードをもっている」こ
とが重要なことを示している。
病気に例えると分かりやすい。
病気を発見できる医師と発見できない医師と「患者の責任にする」医師と,私たちは誰を信用するだろうか。
もちろん,「発見できる医師」だ。
患者の責任にする医師など論外だ。
「医者を辞めろ!」と言いたくなる。
教師はどうだろう。
「算数ができない原因を子どもの責任」にしている人がいないだろうか。
貴方の学校では,どうだろうか。
そんな人は,「教師を辞めろ!」と保護者から言われる人なのだ。
私が算数の問題解決学習の方法を批判する大きな理由は,ここにある。
算数の問題解決学習を推進する幾多の教師の中で,「できない原因」と「発見して,指導した事例」は,皆無に近いからだ。
全国では,算数の問題解決学習の研究はたくさん実施されている。たくさんの研究紀要が出されている。
その中で,「できない子の原因を発見し,指導した実例」を,私は見つけることができなかった。
さらに,私は,十年以上も昔から,「算数の問題解決学習の指導で,市販テストで5点10点の子が,90点100点を取れるようになった実例を,日本中から探して一例でもいいから示してほしい――と言い続けてきたが,10年たっても一例も出てこない。
「そのときの子どもの事実,そのときの指導法,そのときの子どもの変化,子ども,親の感想」こうしたことを証拠に示していただきたい,と主張してきたが,一例もないらしいのである。
向山型算数にはこうした実例は山ほどある。
算数で5点10点を取っていた子が,90点100点を取れるようになった感動のドラマが幾百,幾千と生まれている。
雑誌には,毎回のように報告され,本も何冊も出版されている。
小学校,中学校の算数の指導で,「できない子をできるようにする」ことは,第一に必要な目標である。
「基礎学力の保障」とは,このことを言うのである。
ところが,算数の問題解決学習をすすめている管理職の中には,「教科書を使うな」と若い教師に強要する人がいる。
「学校で研究しているのだから,同じようにやれ」と強要する人もいる。
どちらも「犯罪」だ。
「教科書を使わない」実話がかつてあり,裁判にかけられた。「プリントには教科書の内容が出ている」と弁解したが,裁判所は「プリントに教科書のことが書かれていても,それは教科書ではない」「教科書はこれまでの知恵の結果であり,教師にとっても生徒にとってもよい方法である」ということで,「教科書を使わない教師」は,有罪となり,免職処分がされた。
もし,TOSSの教師が,「教科書を使うな」という管理職,教師を裁判に訴えれば,処分されるのは管理職の方である。
教育の世界で,「教科書を使うな」という法律違反の主張が,管理職の口から全国各地で言われているが,実に奇怪なことだ。
私は,本当に裁判にかけたいと思うことがある。
なぜ,「できない子をできるようにして」「子ども,親から感謝され」「教科書をきちんと教えている」教師が,つるしあげられなければならないのか?
算数の問題解決学習を推進している人々の中の一部の人は,明らかに日本の教育を無法状態にしており,「できない子」を見捨てており,基礎学力を破壊しているのである。
「算数ができない子をできるようにしよう」これが,算数を専門とする教師の出発点であるべきだ。
つまり,これが「目標」となるのである。
「目標」をはっきりさせることで,初めて「子どもの事実」を真剣に見つめるようになる。
真剣に見つめているから,「問題点」がはっきりしてくるのである。
「人間の脳は,その人が成長しよう,成功しようと考えると,そのために必要な情報を多くとり入れ,それをなしとげるための脳の神経回路が刺激されて,そこに「成功回路」のようなものが発達する」『心とコンピュータ』利根川進他著(ジャストシステム)
TOSS技量検定を受検した人なら経験したことがあるだろう。「受検する教材」について,毎日毎日考え続けていると,「新聞」を読んでも,「雑誌」を見ても,関係することがらが目に入ってくるということを……。
いや,「向こうの方から飛び込んでくる」ということを体験した人も多いだろう。
それは,「テーマを決め」「そのための努力」をしていると,脳の中が,そのことでいっぱいになってきて,さらに「成功回路」というものが,できるためである。
読んだ本はもとより,チラッと目にしたことの中からも,情報が入ってくるようになる。
たくさんの知識,情報の中から「重要なもの」が選択される。さらに「選択された重要な情報」が「新しく組み合わされ」て,1つの「授業」が作られていく。
これこそが,創造なのである。
創造とは,これまでの知識をもとにした,「新しい組み合わせ」なのである。
「創造」を「何もないところから新しいものを作り出す」と思っている人がいるが,明らかな間違いだ。
モノ――をはじめ,幾多のノーベル賞受賞者が言っているように,これまでの知識の新しい組み合わせこそが,創造なのである。
それには,「テーマ」がはっきりして,情報が飛び込んでくるような状態になり,脳の中に「成功回路」が作られねばならない。
向山型算数,TOSS技量検定と算数の問題解決学習法――どちらが,脳に成功回路が作られるだろうか?
どちらが,創造的だろうか?
どちらが,「子どものため」だろうか?
貴方は,教師として,どちらの人生を選ぶだろうか?
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