- 特集 習得・活用・探究の「年間指導計画」作成のヒント
- 〈巻頭特集論文〉TOSS型の指導計画を作成する。その具体的な手順とは
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- 連続する学習の流れの中に教師がねらいを定めよ
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- 活用できる「習得型」年間指導計画を作成する
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- 向山型算数指導法は,全員習得型学習指導法である
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- 活用型だけを切り離して考えない
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- 5年「図形の面積」の活用型授業は,向山氏の実践群を追試する
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- 従来の発展問題を単元末に位置づけて取り扱うと無理がない
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- 「探究型」は「難問」で
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- ミニ特集 まだ間に合う!学年末の学力補強
- 1年生の学力補強は,数のかたまりを意識させる「さくらんぼ計算」で
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- 小学2年生 かけ算の問題「単位量×いくつ分」
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- 例題レベルの計算は全員習得の気概で
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- 先生問題で,クラスの弱点をえぐり出し,補強する
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- 学年末,できていない問題だけをチェック
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- 中学数学スキルで1年間の総復習
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- グラビア
- 高段者の授業コメントから向山型指導の真髄を学ぶ(その1)
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- 若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
- 算数的活動
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- 向山型算数キーワード
- 問題解決型学習から全員習得型学習へ
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 3割近くの教え子を教師はスポイルしてきた
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- 学年別2月教材こう授業する
- 1年・20より大きい数
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 2年・4けたの数
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 3年・かけ算の筆算(2)
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 4年・計算のきまり
- 例題の「基本型」
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 5年・円周と円の面積
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- 6年・比例
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- 「練習問題・スキル」と教材教具
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- 中学難教材こう授業する
- 2年/1次関数の変域
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- 中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第107回)
- ノートのすみに絵をかいていた生徒を,中3になって集中させた教材
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- 向山型算数に挑戦/論文審査 (第111回)
- 授業内容を詰めて考える
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- 向山型算数実力急増講座 (第113回)
- 「クロス型面積図」(上)
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- 向山型算数WEBサロン (第107回)
- 算数的活動「計算のしかた」を考え,説明する活動の一例
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- 向山型算数をDEEPに学ぶ女教師たち
- 4度の秒殺は神様がくれたチャンス
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- 変わる問題解決学習の状況
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- 算数を苦手とする子どもたちを苦しめる問題解決学習
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- 〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
- 特別支援の必要な子もみんなと学ぶ向山型算数
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- もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第113回)
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- ビギナー専科=向山型算数ココが授業の勘所
- 1年/ほめながら,全員をまきこんでいく
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- 2年/基本型を選ぶ基準は,子どもの事実から
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- 3年/百玉そろばんの技を磨こう
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- 4年/子どもとともに板書をつくる
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- 5年/最後まで基本型を貫く
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- 6年/教科書・ノートチェックのシステム
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- “若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第47回)
- セミナーでのビデオ審査が自分の百玉そろばんを変えた
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- 腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
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<巻頭論文>算数授業へのこだわり 3割近くの教え子を教師はスポイルしてきた
向山 洋一
教室には,およそ1割近くの発達障害の子どもがいる。教師が長く話していると何を言ってるのか分からない子だ。15秒以上は長い。
指先が不器用で算数教具のブロックを扱えない。入学したときから「エラー・ラーニング」を強要していることになる。「ぼくは,できない。何をやっても駄目だ」ということを,多くの教師が植えつけていることになる。
このほかに,「境界知能の子」が14%ほどいる。きちんと教えればできるようになるが,「15分自分で考えなさい」などと指導すると何をやっていいのか分からない子だ。
クラスには,3割近くのこのような子どもがいて,算数のテストの下位群を形づくっている。
毎日毎日学校にきて,何をしているのかが分からず,「自分は駄目だ」と教師から植えつけられるのだから,子どもは「反乱」するようになる。
教師に反抗するようになる。クラスに3割近くもいるのだから,仲間はすぐにできる。
学級は騒乱状態になり,学級崩壊へとつきすすむ。
これは,教師が,3割近くの下位の子どもに,きちんと対応できてないことが原因だ。
教師の勉強不足,技量の低さが原因である。
この子たちをきちんと指導すれば,立派にできるようになる。そのためには,運転免許をとると同じくらいの真剣さと時間を使って学ぶ必要がある。
全員習得学習を保証する教師になるためには,月に2回,3年間ほどの学習会,サークルへの参加が必要だ。
私たちの経験によれば,発達障害,境界知能の子どもの9割以上を,算数の市販テストで95点ぐらいとらせることができる。特別な勉強,宿題もせず,クラスの授業だけで実現する。
クラス平均95点以上のクラスは,全国で次々と生まれている。もちろん,クラスは楽しく,落ちついている。
基礎学力を身につけ,学ぶ力を身につけた子どもは,その後の人生を自立していける。
つまり,就職して,結婚して,社会生活を立派にしていける。
ところが,そうでないとき,多くは「家庭で抱え込む」か支援活動のお世話になる。
その子の人生,その家族の生活を,きびしいものとしてしまう。
それを作った責任の半分は小学校の教師にある。自分が担任した子の何割かをきびしい人生へ向かわせてしまっているのだ。
特に,低学年担任の責任は重い。
この子たちの教育には,「すぐれた教材(教科書,赤ねこスキル)」と「1時間の授業の安定したシステム」と「授業を運営していく技能」が必要となる。
言葉の多い教師,ほめることの少ない教師,どなる教師は最悪だ。全員習得学習こそ,教師の本来の仕事である。
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- 明治図書