- 特集 問題解決学習を超える“授業の勝負所”
- 〈巻頭特集論文〉問題解決学習と向山型算数はパラダイムシフトである
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- 校長・指導者からの提言
- 問題解決授業は表と裏の乖離が天地の開きもある
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- 「教えて考えさせる指導」で,一人ももれなく学力を保証する
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- ベテラン実践者の主張
- 導入から一気に授業に熱中させる,自分で自分がわかったことが実感できる
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- 問題解決学習が超えることのできない4つの勝負所
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- 勝負所を間違えると子どもが反乱を起こす
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- 若手実践者からの意見
- 算数が苦手な子が活躍する向山型算数
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- 「全員」が「集中」「学習」に取り組む場面を見せる
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- ミニ特集 百玉そろばん&九九尺が生んだドラマ
- 子どもそろばん縦置き使いでブロック図に対応
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- ブロックを使って動かなかった子が,百玉そろばんで勉強に取り組んだ
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- 指の計算から卒業できた3年生Aさん
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- 百玉そろばんは,心の支え!
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- 「七四,二十四」と誤って覚えた九九を「九九尺」で克服できた!
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- 20玉そろばんはブロックに勝る
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- 衝撃! 問題解決学習の現場からの生々しい報告
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- 若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
- 難問はシステムで生きる
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- 説明しないからよくわかる
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 問題解決学習に教わったその子は,5年生で1桁のたし算ができなかった。教えられていなかった。叱られ,どなられていた
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<巻頭論文>算数授業へのこだわり 問題解決学習に教わったその子は,5年生で1桁のたし算ができなかった。教えられていなかった。叱られ,どなられていた
向山 洋一
算数の問題解決学習を長い間にわたって実践してきた小学校があった。
そこに,TOSSの教師が赴任して,5年生の担任になった。
4年生の算数の教科書の問題から同じ問題を出して,「実態調査」をした。大問5問,大問の中に小問が4つ,合計20問のテストである。4年生で学習済みの問題だ。
クラス平均は63点。かなり低い。
目立つのは,「できない子」が多いことだ。10点,20点などという子が十数人もいる。
子どもたちのほとんどは,「算数は嫌い」「算数はわからない」と書いている。
算数の問題解決学習は,大量の「落ちこぼれ」を作り出し,「大量の算数嫌い」の子を作り出していた。
できない子が多い中で,とりわけ目立つ「できない子」がいた。極めて,まれなほどのできない子だ。
その子は,「1桁+1桁」のたし算ができないのである。小学校1年の最初にやる計算ができないのだ。もちろん,ひき算もできない。
その子を担任した教師は,何人かいる。「どの先生が教えてもできないほど大変な子だったのだろう」と,TOSS教師は思った。
5年生のその子に,放課後,たし算を教えてみた。
その子は,「サクランボ計算」は知っていた。しかし,そのやり方を見て,TOSS教師はびっくりぎょうてんした。その子は,次のようにサクランボ計算を書いていた。
その子は,サクランボの中に,加える数を2等分して入れていたのだ。奇数のときは,最初のサクランボに大きい数を入れていた。
規則性のある間違いをしていた。
TOSS教師が,正しいやり方を教えるとできるようになった。それまで0点だった算数のテストが少しずつあがりはじめた。
30点になり,50点をとれるようになった。60点を突破し,70点になった。ついに80点台になり,5年生の終わり頃100点をとったのである。「小学校に入って,初めて100点をとりました」と,その子と両親は大喜びだった。
この子がもし,5年生でTOSS教師に出会わなかったらどうなっただろう。
たし算もできないまま中学生になり,満足な就職も進学もできなかっただろう。
その子は,100点をとれる能力があった。
算数の問題解決学習の教師たちが,この子の能力を破壊してきたのである。それも,人の子の教師の名においてである。
このような子が全国にたくさんいる。とりわけ,発達障害の子(10%)境界知能の子(14%)は,スポイルされている。
算数の問題解決学習との闘いは,日本の子どもたちを守る闘いである。
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- 明治図書