- 特集 できた!の声が響く“この算数用具”21
- 〈巻頭特集論文〉教師も子どもも使いこなせる。フラッシュカードの効果を様々な用途で検証しよう
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- [1年]「算数ってかんたん!」という声を聞くために
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- [2年]自閉症IQ64の子が,たし算の筆算,かけ算九九。これらが自然にできるようになったのは、百玉そろばん、TOSSかけ算九九計算尺、かけ算下敷き、ミニ定規、TOSSノート。すべて、TOSS教材のおかげであった
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- [3年]全員に「できた!」を保障するにはよりよい算数用具が欠かせない
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- [4年]つまずきを予想して算数用具を選ぶ
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- [5年]こだわりの道具で子どもの事実をつくる
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- [6年]揃えておきたい「算数用具」は1学期のはじめから
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- [中学]中高生にはTOSSノートα・あかねこ中学数学スキル・中学百玉そろばん
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- ミニ特集 やる気につながる“算数的ホメ言葉”
- できないことができたことをほめる
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- ほめ,励まし続けることで子どもは変わる
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- 間違いを恐れなくなり,和やかになる
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- 動き出した瞬間の「ホメ言葉」がエンジンになる
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- 「いつの間にここまで」&「〇君方式」
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- ホメ言葉+αで喜びをアップさせる
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- 表紙のイラスト (第39回)
- 問題:●を線でつないで正三角形をつくります。正三角形は全部で何個できますか。
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- グラビア
- 新学期に向けて,向山先生から勇気をいただけたセミナー
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- 〜向山型算数セミナーIN東京 2014.4.6〜
- マンガ向山型算数教室 (第3回)
- 定規を使いこなす子は、必ず算数ができるようになる
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- イラスト競演!向山型算数ハイライトシーン (第15回)
- 快音響く百玉そろばん!
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- ある教師の闘い。私の甥っ子は計算ドリルで2次障害まで至った!
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- 教えてほめて算数好きを急増させる学年別教科書の教え方 (第3回)
- 1年「あわせていくつ ふえるといくつ」
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- 1年「あわせていくつ ふえるといくつ(もんだいづくり)」
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- 2年「長さのたんい」
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- 2年「水のかさのたんい」
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- 3年「3けたの数のたし算」
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- 3年「3けたの数のひき算」
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- 4年「垂直・平行と四角形(垂直・平行)」
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- 4年「垂直・平行と四角形(台形・平行四辺形)」
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- 5年「小数のわり算(筆算)」
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- 5年「小数のわり算(小数の倍とわり算)」
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- 6年「線対称」
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- 6年「点対称」
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- 算数授業力UP奮戦記 (第3回)
- 「5つのフック」で全員の子どもを巻き込む
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- 〜河田学級から学んだこと。平均90点以上は,どの子も巻き込む授業から生まれる〜
- 奇跡の向山実践を追う (第3回)
- わずか数ミリを何とかしてこそプロである
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- 算数教科書教材に挑戦/論文審査 (第175回)
- 説明を求める授業に最適の問題
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- 向山型算数実力急増講座 (第177回)
- 感動的なハンドサインは,高い授業技量の布石で生まれた
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- 向山型算数WEBサロン (第171回)
- 作図活動を数多く経験させ,情報を蓄積させてから問題を解く
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- 甲本が斬る!授業力“有段”への道 (第3回)
- 「リズム」と「テンポ」を身につけろ! 子どもをよく見ると見えてくる
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- 河田が創る!“指導法の工夫”で平均90点突破 (第3回)
- しくみ1割スキル9割の原則
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- 発達障害への林ドクター教育コーチ!ここが気になる学校の指導Q&A (第63回)
- 「本当の教育」と「教育いじめ」の分かれ道
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- <子どもを巻き込む算数の福袋>算数ペーパーチャレラン (第51回)
- 低学年/「おにぎりパックンチャレラン」
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- 中学年/「商がたつのは一の位から十の位からチャレラン」
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- 高学年/「線対称・点対称あみだチャレラン」
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- 教室・サークルからの発信
- 特別支援の算数授業 (第3回)
- もっとも大切なのはノート指導
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- 算数教材ユースウェア (第3回)
- 『新・向山型算数ノートスキル』
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- 〜ユースウェア(使い方)を理解し,目の前の子どもに合わせた工夫をすることで,スーパー教具になる!〜
- サークルで教師修業 (第3回)
- 百玉そろばんの技術を身につける
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- 新型学級崩壊への対応 (第3回)
- 放課後残す+夏休み登校=崩壊
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- 子どものつまずき分析 (第3回)
- 小2・たし算の筆算
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- 〜くり上がりは「さくらんぼ」から〜
- 子どもが熱中した算数 (第3回)
- 向山型算数の定石「写すのも大切な勉強」 「赤鉛筆指導」が算数大嫌いなA君を激変させた
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- 「語り」で描写!あの子ができたドラマ100人物語 (第63回)
- 彼には,できたという事実が必要だった。私は,たった1問の正解を追い求め,1年間彼と万策尽きるまで向き合った
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- すきま時間に子ども熱中!すぐに使える“わくわく問題” (第39回)
- 子どもたちに頭をひねらせる問題
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- プロが解説!教材研究「基本用語」事典 (第15回)
- キーワード「わり算の2つの意味」
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- 向山型算数を知る前と後―子どもの事実と教師の手応え!
- 先生,ありがとうございました!!
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- 学び続けた先に答えがある
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- 向山型算数セミナー
- 第1回セミナー参加者の声
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- TOSS最新情報
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- 算数教室最前線 (第3回)
- 子どもの学力と家庭環境や親の行動は関係が深い
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- 〜文部科学省・全国4万人の子ども調査の分析より〜
- 編集後記
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- 「子ども算数検定」に挑戦! (第15回)
- 6月
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- 算数教科書教材に挑戦/指定教材 (第177回)
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<巻頭論文>算数授業へのこだわり ある教師の闘い。私の甥っ子は計算ドリルで2次障害まで至った!
/向山 洋一
私は,計算ドリルの犯罪性を新聞の連載に書いた。
次の文章は,今年の4月にある小学校でくり広げられた実話である。
計算ドリルを2クラスの女の先生が選んだ。
私はすぐに待ったをかけた。
去年スキルを使って得た子どもの事実を話した。『教室ツーウェイ』特別号の,宮尾ドクターと安原ドクターの「ドリルはひどい」という話もした。
しかし,だめだった。
「でも繰り返しできないとね」「スキルのよさはわかったけど,やっぱり,ドリルかな」
私は絶対にドリルは嫌だった。TOSSだからだけではない。
私の甥っ子は発達障害だ。
去年,姉が私に相談をしにきた。
宿題をやらないでいる。自分のことを「どうせできない」とすぐ言う。間違ったら「もういい」と言い,部屋に閉じこもる。「僕は馬鹿だ」と何回も言う。
甥っ子は忘れ物は多い。字が枠からはみ出す。整理ができない。
どんな宿題なのかを聞いた。計算ドリルだった。繰り返し3回行わなければいけない。
私は,姉にTOSSで学んだことをすべて話した。龍馬君冊子から杉山先生の本を姉に読ませた。TOSSの教え方を話した。
姉はとても驚いていた。
「写したら考えなくなるんじゃないの?」と。
私は断じて違うのだ,ということを何度も話した。実際にみてもらったほうが早いと思い,TOSSで学んだことを基に甥っ子に個別指導をした。
甥っ子が私の指導で喜んだことは「写してもいいんだよ」という言葉だった。
「写していいの?」とおどおど聞いてきた。
「いいんだよ」とほほえみ,セロトニン対応を行った。写して書けたら丸をつけてほめた。
何度かそれを続ける。すると,甥っ子が「今度は自分だけでやる」と言って問題に取り組んだ。
姉はすぐに医師に診せるといった。姉もノイローゼ気味になっていたのだ。
結果,ワーキングメモリーが著しく低いことがわかった。そして,2次障害にまで発展していたことがわかった。
ADHDの子どもはワーキングメモリーは低いが認知能力はある。これが本当にかわいそうだ。自分が他人と比べて劣っていることだけは自分でわかってしまうのだ。
でも,自分ではどうしていいかわからない。解決方法がわからない。
だから,自尊心が下がってしまうのだ。
甥っ子は,何回も繰り返される宿題と答えを見てはいけないという教師の考え,そして理解していないのに何枚も出される宿題,家で何回も怒られながらやる宿題。
さらに,プリントの宿題もある。
できない自分を責め,自尊心を下げパニックを起こしてしまった。
私の甥っ子は,計算ドリルという犯罪的な教材で,2次障害にまで発展していた。
医師によれば,もう少しいけば自傷行為にも及んでいただろうという。
姉に聞くと,実際頭を壁にぶつけるということはしていたらしい。
私は絶対に計算ドリルを許せない。それを使っている教師も。
だから,徹底的に闘った。もっとスマートに闘わなくてはいけないのかもしれない。
でも,後悔はしていない。
姉は今,だいぶ落ち着いている。自分のしつけが悪くないのだと安心したという。
本当の原因がわかってとても安心している。
正しい支援方法を知れば,あとは努力すればいいだけだからだ。
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- 明治図書