- 特集 学習にフル活用!効果的な「個別の指導計画」づくり
- 特集について
- /
- 提言/学習に反映する「個別の指導計画」をつくるためには
- 学習に反映する「個別の指導計画」の作成・活用のポイント
- /
- 実践事例
- T 小学校期の指導・支援
- 「実践創造サイクル」に基づいた取り組み
- /
- 将来,食事を楽しい時間にするために〜ご褒美を励みに苦手な食べ物に挑戦できるようにするための支援〜
- /
- 「個別の指導計画」から授業実践へ〜買物活動を通して社会性の基礎を培う〜
- /
- U 中学校期の指導・支援
- 障害特性に応じた「助詞」の支援
- /
- 「思いを伝える」力を育てる
- /
- V 高等学校期の指導・支援
- 生徒が「わかる」個別教育計画〜Aくんの3年間の指導を通して〜
- /・
- 目標は「一般就労」・そのための小さな指導
- /
- 子どもの作品
- /
- 構造化のアイデア (第14回)
- 主体的な活動を促す支援環境づくりB
- /
- 自閉症の子どもに効果的な教材・教具
- 分かるアイテム・伝えるアイテム・楽しく遊び学べるアイテム
- /
- 自閉症の子どもに効果的な授業の工夫
- 人と関わる力を伸ばす効果的な指導
- /
- 機能・般化する力を身につける指導・支援
- 「いつでも・どこでも・だれとでも」をめざして
- /
- 社会性を身につける指導・支援
- Sくん,できたねタッチ!
- /
- 教育機器の効果的な活用
- マウスを改造して子どもが簡単に操作できるスイッチをつなげよう
- /
- こうすれば不適切行動は改善できる
- 人とかかわる力を育てたことで不適切行動が軽減したAさん
- /
- 実践研究
- 中学校特別支援学級へのコンサルテーションの実際
- /
- 何でも教育相談室
- 自閉症のある子どもへの「社会性」を育てる支援について
- /
- わが校の自閉症教育
- 一人一人に優しい環境づくりを目指して
- /
- 本の紹介
- 『じょうずなつきあい方がわかる自閉症の本』
- /
- 子どもが生き生きと活動する支援・対応のコツ (第3回)
- プライドと自己コントロール力を育てる
- /
- コミュニケーション障害への効果的アプローチ (第3回)
- 発話の意図理解の支援
- /
- 自立を実現する支援ツールの実際 (第3回)
- 集団活動で確認・参照して行動する
- /
- 企業で働く人たち (第15回)
- 従業員の一人としてがんばるY男!
- /
- 自閉症の子どもを育てて (第15回)
- 息子と家族の歩み,そして,これから…
- /
- 就労を実現する自閉症教育 (第15回)
- 正しい確かな行動の習慣化
- /
- 編集後記
- /
特集について
学習にフル活用! 効果的な「個別の指導計画」づくり
今回の特別支援学校学習指導要領の改訂では,「一人一人の実態に応じた指導を充実するため,すべての幼児・児童生徒に『個別の指導計画』を作成すること」を義務付けています。これは指導者が,子どもたちの指導とその結果に責任を持たなければいけないということです。言うまでもなく,「個別の指導計画」は,子どもたちの自立と社会参加,就労を実現するために計画されるもので,個々の成長,発達の変容過程が明確にされなければなりません。計画した目標通り,子どもが成長,発達したならば,なぜ成長,発達できたか,どういう支援を考え,どういう対応が効果的だったのかを明らかにする必要があります。もし,目標が達成できなく,思うような成長,発達が見られなかったとするならば,その原因がどこにあるのかを探ると共に,今後,どういう支援や対応,指導をすれば目標が達成できるのか,予測を立てることが求められます。
実際,学校現場でこういう評価,検証が確実に行われ,さまざまな学習に反映する「個別の指導計画」が作成され,実践が行われているかとなると,課題も多いのが現状ではないでしょうか。
「個別の指導計画」は単なる計画を示すものではありません。日々の授業で計画通り実践をし,目標を確実に実現してこそ,「個別の指導計画」が機能するものになるのです。指導者にとっては,保護者と子どもに対して大きな責任があるとともに,その責任を果たす実行力が問われている,と言えそうです。
一日一日を大切にした,綿密に計画された,適切な支援や対応,指導が,一貫的,継続的に行われるなら,子どもの1年後には間違いなく成長,発達が見られるでしょうし,学校卒業後の自立,社会参加や就労の実現も可能になるはずです。
この特集では,小学校期,中学校期,高等学校期の学校教育12年間に焦点を当て,それぞれの時期にどのように「個別の指導計画」を作成し,実践に生かせば,さまざまな学習に実際に機能する,効果的な計画となるのか,PDCAサイクルを重視した取り組みの実際についてまとめてみました。指導が難しく,成果が上がりにくいと言われている自閉症の子どもだからこそ,学習に反映する,機能的な「個別の指導計画」を作成する必要があります。是非,それぞれの取り組みの実際を参考にしていただき,子どもの成長,発達が確実に分かる,期待と可能性の持てる計画づくりができるようになればと願っています。
(上岡一世)
-
- 明治図書