- 特集 しっかり国語と算数―教科書の勉強こそ最善
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しっかり国語と算数―教科書の勉強こそ最善
算数クラス平均90点突破の先生は、教科書をきちんと教える先生だった(プリント学習のクラスの学力は低い)
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイトインターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
一
小学校・中学校の「算数」「国語」の授業は、教師によって、はっきりとした違いがあります。
「学力をつける授業」と「才能のある子まで駄目にしてしまう授業」です。
保護者にとって、最も大切な視点が、「教育論議」からぬけています。
今までに、テレビでは一回も報じられていません。テレビの教育報道は、最も大切なことをぬかしています。
大事件、流行の後追いがテレビのスタンスなので、本質からずれるのです。
新聞でも、報じられることは、ほとんどありません。新聞は、政府・文科省批判が好きで、現場に目がむいていないのです。
教師も話題にしません。なぜなら、駄目な授業をする教師がほとんどだからです。
「駄目な授業をする」からといって、性格が悪いわけではありません。
人柄の良い、立派な人格の教師が、駄目な授業をしている例はいっぱいあります。
原因は「勉強不足」「修業不足」につきます。身銭を切って勉強してこなかった結果なのです。
二
日本教育技術学会は、中学校に入学した時の「算数学力調査」をしました。
全国三千五百十七名の新入生調査です。
なぜ「中学入学時」にしたかというと、「担任の不正」を防げるからです。学力テストに、担任の不正はつきものなのです。
テスト問題は、教科書からとりました。
出身小学校のクラス別に平均点を出しました。出身小学校が同じなのに、平均点が二十点、三十点と違う結果が出ました。
同じ小学校なのですから、子どもの素質は似ているはずです。
しかし、平均点が二十点も、三十点も違うのです。これは、次のような状況です。
A組は半分近くの子が百点をとり、ほとんどの子が九十点以上。七十点の子が二人。
B組は百点の子が二人。九十点以上はクラスの二割。ほとんどの子が六十点、七十点台で、五十点以下の子が六名。
同じ小学校でありながら、このような差が出るのは「授業が違う」からです。
「駄目な授業」をする教師は、日本中に六割近くいます。
「良い授業」は、一割以下です。
三
「良い授業」と「駄目な授業」の見分け方が大切です。
保護者は、これまで「逆」に考えていたのです。それは、マスコミの影響です。
この十年、二十年の間に、「駄目な授業」が、はびこってしまったのです。
簡単な見分け方を示します。
教科書は、幾万、幾十万の教師の経験を集めたものです。これを、きちんと教えるのが良い授業なのです。
「プリント」の授業は、やればやるほど分からなくなっていきます。百マス計算は授業の半分近くを使ってしまいますので、問題外です。百マス計算は、勉強ができない子をスポイルします。
見分け方A
ノートがていねいに美しく書かれてあり一年間で六、七冊使うのが良い授業。
ノートは乱雑で、ぎっしりつめ込まれていて、一学期が終わっても一冊も終了していないのが駄目な授業。
ノートがていねいな子は、必ず伸びていく子です。高校でも「ノートがきちんとしている人が東大に入る」と言われています。
すぐれた教師は、当然ノート指導をします。
四
見分け方B
宿題を出さないで、練習問題、スキル問題まで授業中にやるのが良い授業。
説明がダラダラと長く、練習問題、ドリル問題を宿題に出すのが駄目な授業。
教科書の練習問題は、当然授業中にやるべきです。計算スキルなども、授業中にきちんとやるべきです。時間は十分にあります。
ところが、ダラダラと我流の長い説明、話し合いに時間を使い、練習問題を宿題に出す教師がいます。
これでは、実力はつきません。
宿題を出すのは良くない教師なのです。
授業中に、練習問題、スキルまでやってくれる教師が良い教師なのです。
これを、保護者は間違えているのです。
もし、宿題が必要なら「宿題用の五分間スキル」などに限定すべきです。
新聞・テレビは、教科書を使わずプリントで授業する教師をほめたたえます。
とんでもないことです。
医師が、医学界の知識を使わずに、思いつきのやり方で治療しているようなものです。プリント学習の害ははかり知れません。
何よりも、全体の学力を下げます。できない子は、できないままで、普通の子もできない子になってしまいます。
見分け方C
線を引くのにミニ定規を使わせ、シャーペンを禁止して鉛筆を使わせているのが良い授業。
グニャグニャの線を引かせ、シャーペンを使わせているのが駄目な授業。
ミニ定規を使わせるのは、六十年以上昔からされていたプロのかくし技です。
イギリスでも中国でも、一流教師は当然ミニ定規を使わせます。日本でもそうです。
授業中にシャーペンを使わせないのは、教師の常識です。
指は第二の頭脳ともいわれています。書きながら覚えるのです。
鉛筆なら筆圧をかけられますが、シャーペンは力を入れられないのです。
脳までの伝達が異なってくるのです。
また、シャーペンは、芯がしばしば折れます。つまり、勉強をしている途中で、プツンと流れが途切れるのです。もちろん学習にはマイナス作用です。
シャーペンで勉強するのは、プツン、プツンと思考を途切れさせながら考えていることになるのです。
「シャーペン禁止をする」教師は、立派な教師です。良い教師です。
「シャーペンを認めている教師」は、それだけで「駄目」のレッテルを貼られる教師なのです。
ところが最近、駄目な教師が増え、低学年中学年でもシャーペンを使わせています。
高学年担任が「シャーペン禁止」をすると、ブーイングが出て、苦労します。
その上、駄目な親がいて「シャーペン禁止の教師」に文句をつける人がいるのです。
せっかく良い教師が、駄目な親につぶされる例は、けっこうあるのです。
五
まもなく、日本教育技術学会の第二回全国調査が発表されます。
今年も、多くの新聞、雑誌にとりあげられるでしょう。
第一回の算数学力テストの結果は「教科書をきちんと教えているクラスの学力が高い」ということでした。
第二回は、算数に加えて「漢字テスト」も実施されました。
結果は、ビックリギョウテンです。同じ小学校の二つのクラスの平均値の違いです。
算数の調査では、「平均点が三十点も違う」ということでビックリしました。
漢字なら、せいぜい十点ぐらいの違いかなと予想していたのです。
ところが、同じ小学校で、漢字テストの平均点が四十点も違うのです。
A組は、ほとんどの子が満点。
B組は、八十点以上がチョロチョロで、五十点以下の子が大半でした。
同じ小学校なのですよ。
中学校に入学した生徒に、小学校の時の様子を聞きました。そこでビックリです。
A組の先生は、毎日、国語の時間に五分程度漢字の指導をしていました。
当然ですが、立派な先生です。
B組は、授業中、漢字をほとんど教えていませんでした。漢字ドリルは宿題です。
漢字は「家で覚えるもの」「宿題で覚えるもの」というのがB先生の考えです。その結果、B組の子は、目をおおいたくなるほど、漢字ができなかったのです。
B組の親は、先生が「宿題を毎日出してくれる熱心な先生」と思っていました。
ところが、子ども達の学力は、悲惨の一語だったのです。
漢字は当然、授業で教えるものです。
毎回、五分程教えれば、クラス平均点九十点はいくのです。
「良い先生」に当たったら、ぜひ先生を力強く支持してください。
「駄目な先生」に当たったら、「子どもの事実」をもとに先生に改善してもらうよう言ってください。時には、校長先生に訴えてください。それが子ども達を救うことになります。
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- 明治図書