- 特集 子どもに読書習慣をつけるこの指導
- 寝る前の読み聞かせ親が子に贈る最高のプレゼント
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- 読書のすすめ方
- 校長の戦略
- 子どもが本を読まないのは、教師が本を読まないからである
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- 「読書のすすめ戦略」で子どもを読書へと誘う
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- 園長の戦略
- 言語習得の臨界期にある幼児期に素晴らしい言葉や文章を沢山入れることは重要である
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- 小さい頃の感動体験は、いつまでも心の奥深く楽しい想い出として残るものです
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- 読書をする子はかしこくなる
- 読書は、脳科学から見て、ドーパミンやセロトニンの放出と関連し、ワーキングメモリやミラーニューロンの活性化を促すと考えられる
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- 脳は自然に内から成熟するのではなく、外界の刺激を利用しながら自らを形成している
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- マンガを読む子の実態調査
- マンガ読解力を身につけた子どもの出現
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- NHKテレビ「火の鳥」の授業取材
- 「火の鳥」は、夢と希望と人生と歴史と人間らしさを学べる、日本を代表する漫画である
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- 我が家の読み聞かせ
- 「読み聞かせ」を、夜寝る前の儀式にしよう
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- 毎日欠かさず読み聞かせを
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- お話の世界に浸らせる四つの原則
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- 読書習慣をつけるための教室の工夫
- 「時」と「場」と「物」を用意して、読書環境を整える
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- やっぱり読み聞かせが一番
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- 年間五十冊読破をめざして
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- 教室熱中『話す・聞くスキル』読書の一歩
- リズムとテンポよく
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- 「言葉あそび」の本は面白さ100%
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- 読書習慣をどのように身につけてきたか
- 読書への誘いは強制的な面も必要である
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- 読書は形から入ってもいい
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- ミニ特集 親が家庭でする算数指導
- 教科書をマスターさせることにつきる
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- 入学準備/食卓を準備する手伝いが算数の力を育てます
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- 入学準備/素地をつくる「お手伝い」「もの遊び」
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- 低学年/低学年は算数の学び方を教える時期である
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- 低学年/毎日5分続ければたし算・ひき算がグングンできるようになる指導法
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- 中・高学年/かけ算とわり算のマスターに重点をおこう
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- 中・高学年/図形を描くことが苦手な子でも、このアドバイスでスラスラ
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- イラストで見る家庭教育のポイント
- ありがとうと言おう
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- 家庭教育のポイント
- 幸福とは「謝念」の二字につきる「ありがとう」と素直に言える人が、「幸運」をひきよせる
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- 編集前記
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- つぶやきに見る子どもの成長
- 母親は最高の人間教師
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- 園長が語る子育ての極意
- 育児書は、私の親であり師でありました
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- 人間となる原理の一歩
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- 校長が語る子育ての極意
- 待つことである
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- 医師 私の子育て日記
- 勉強に少し味付けをすると感性は花開く
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- 医師 普通の家庭教育の大切さ
- 人間の中心的な知能としてのPQ
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- ボランティアの心を育てる
- ボランティアの心を育てるには、相手の立場に立って考える体験の積み重ねが大切です
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- 年少のドラマ、年中のドラマ、年長のドラマ
- 年少/大成功!の避難訓練
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- 年中/子どもから教えられたこと
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- 年長/逆上がりへの挑戦!!
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- 子どもがピンチの時のとっておきの親の話
- かわいがっていたペットがいなくなり、子どもの心が悲しみにさらされている時に
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- 衝撃のドラマ 算数が大の苦手の子が満点をとった
- 学級の水準を高くすることで、子どもたち全体の意識が高くなる
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- 本筋の心の教育
- スキンシップの記憶をつくる
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- 小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
- 小1/二学期は新たなスタート
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- 小2/子どもの可愛らしさと健気さ
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- 小3/机の下にもぐりこんでいた子どもが見せた満面の笑顔
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- 佐藤昌彦の紙工作教室
- さかみちころりん
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- 子ども調査が示す家庭教育のポイント
- 子どもの放課後を豊かにしよう
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- SOS 子ども・親が電話相談をする時
- ダイエットしたい
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- 親子で覚える名文・詩文
- 論語
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- 親子で挑戦ペーパーチャレラン
- ピラミッドチャレラン
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- インターネット・TOSSランドの活用
- たかが暗唱されど暗唱
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- 習い始めの漢字・輪郭漢字
- 最新の脳科学が主張する「興味を持って」「楽しく」「繰り返す」ことが漢字の習得につながる
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- 1年担任の証言・幼児期に何を教えることが大切か
- 自分のことは自分でする
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- 読み聞かせは生き方にも影響を与える
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- 「ごめんなさい」と言うこと
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- コンクール入賞続出の酒井式描画法 (第7回)
- 親と子で造るたのしい絵本
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- お稽古、習わせる時の心得
- 塾へ通わせることも、一つの方法である
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- すぐれた教材教具の選び方
- 数の感覚を育てる教具
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- 家庭教育の基本
- 教師の悪口を子どもに言わない
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- これからの小学校教育
- 授業の腕が、人事管理のレベルで査定される時代を迎えた
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- シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
- 五感を育てる(下)
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- 秋の夜は、チャレランに挑戦!
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子どもに読書習慣をつけるこの指導
寝る前の読み聞かせ親が子に贈る最高のプレゼント
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイトインターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
小学校一年生の担任をしていると、はっきり感じることがあります。
それは、小さい時から、本を読み聞かせてもらった子は、勉強する力がついているということです。
小さい時から本を読み聞かせてもらった子は、勉強ができる。
何よりも、教科書がスラスラと読める。
「教師の質問」に対する「答え方」がクッキリしている。
本を読んだり、ノートを書いたりすることを好む。
教師の説明を、きちんと理解することができる。
ざっと言うなら、右のようなことができるのです。
こうした力は、すぐにはつきません。
毎日毎日、寝る前に三冊、五冊の本を読んでやり、それが三年、五年、七年と続いた結果なのです。
気が遠くなるような親の努力の結果です。
私も、娘が三歳の時から「読み聞かせ」をすることになりました。
家人が寝る前に読んでいたのですが、週に一回は、私の役割でした。
娘が「好きな本を三冊選び」、それを読んでやるのです。
最初の頃は『ノンタン』が、大好きでした。毎日毎日同じ本でした。
私の方は、酒が入っている時がありますから「うつらうつら」します。
娘は「お父さん、起きて」と、私をゆさぶるのです。
時には、私を起こすのをあきらめて、娘は自分で読んでいるのです。
毎日、同じ本を読んでもらっているうちに、覚えてしまっていたのです。
「読み聞かせ」は、小学校に入ってからも続きました。
おかげで、本が大好きになりました。
「家で一番本を読むのはお父さん。次が私。その次がお母さん」と言うようになりました。
家人は、大学の教官でした。厚い本をきっちり読む研究者です。一応、東大の大学院博士課程を卒業しています。
その「お母さんより、私の方が本を読む」と、娘は言い張っていたのです。
私も、日本の小学校教師で、トップクラスの読書家だったと思います。
毎日、三冊以上の本を読んでいました。それが、四十年続いています。
毎月の本代は、給料の半分でした。
今は、多分、月に二十万円位の本代を使います。家には、本屋さんより本があります。それほど、本が好きです。
情報を伝える手段はさまざまあります。 テレビ、ラジオ、インターネット、雑誌、新聞、本……。
この中で、最も良質な情報は、本の中にあります。
本は、一人の人間が、それまでに研究したことのエキスが書いてあるのです。
良い本、つまらない本などの差はありますが、必ず「一人の人間の研究のエキス」が入っています。
ですから、本当の研究、学問は、本によってもたらされるのです。
それに比べれば、テレビの情報は、カスみたいなものです。
大流行した「百マス計算」は、勉強のできない子を苦しめ、貴重な授業時間を喰いつぶしてしまう、「勉強不足教師」の「時間つぶし」なのですが、なぜか、一部のテレビ、一部の週刊誌では、大々的にとりあげました。
なぜか、お分かりと思います。
「ある出版社が、百マス計算の本とドリルを売るため」だからです。
百マス計算は、かけ算練習の一つの方法として、五十年昔、大阪の先生方が開発したものです。朝日新聞の教育欄で紹介されました。
ところが「百マス計算の本、スキル」を大々的に売っているS出版社は「百マス計算」の商標登録を申請したのです。
教育界が五十年も昔に開発した指導法を、商売のために商標登録をしたのです。
更に言えば、「百マス計算」と共に「指名なし討論」という授業法が、その本に出てきます。
教師が指名しなくても、討論がすすむ授業方法です。
「指名なし討論」を、日本で最初に「本」や「雑誌特集」にしたのは、私です。十年も昔のことです。
「指名なし討論」という言い方も、私が作り出したものです。
向山が発表し、命名したものを、あたかも「自分がつくったように」テレビなどで紹介するのは、少々、品が足りません。
教育学という、研究の世界では、当然、鋭い批判をあびています。
また「百マス計算」は、軽度知的障害の子(日本人の七パーセント近くです)には害があるという研究報告が、日本小児神経学会でされています。
つまり、小児神経科のドクターは「百マス計算はできない子には害が大きい」という研究報告をしているのです。
いわゆるマスコミで流されている情報には、トンデモナイものも入っているのです。
そういえば、元オリンピック体操選手が「とび箱を跳べない子」を、一週間指導した結果が、放映されました。
その子は、やはり跳べませんでした。
私なら、多分、五分位で、跳ばせられたと思います。
向山型とび箱指導法といい、成功率九十
七パーセントです。なわとびが一回でもできる子なら、すぐに跳べるようになります。
私だけでなく、TOSSの一万人の教師なら誰でもやっていることなのです。
テレビよりも、本の中にこそ、貴重な情報がつまっています。
本を読む人は、知的な人です。
私がこれまで出会ったすばらしい人々、大学の先生も、本をいっぱい出した先生も、企業を大きくした社長さんも、芸人さんもみんな、本を読む人でした。
そういえば、中学卒で納税日本一の斎藤一人さんも「いつも本を読んでいた」といいます。
本が好きになるのは、子どものうちです。
「勉強はできなくてもいいから、本好きになってほしい」と、親が思うくらいで丁度いいのです。
私も、娘が子どもの頃「読みたい本」だけは、無条件で購入してあげたものです。
私が田園調布地区で一年生を担任していた二十年昔、通信に「親からの便り」がよく載っていました。読書のことも多かったです。
*
あのね
一九八三・一〇・二一 90(向山)
調布大塚小学校一学年通信
本が好きな子になってほしい A子の母より
◇ 我家でも娘2人に本の好きな子どもになってほしいという思いで、まだ言葉も意味もわからないうちから毎晩、本を読んであげておりました。
その頃は、親の一方的な満足感にひたって、ただ本を読んであげていましたが、3年4年と月・日がたつにつれて、娘達も就寝前の本をとても楽しみに待つ様になり、以前の一方的な満足感から共通の楽しみを味わえる時間が持てるようになりました。
これは親の願い通り本の好きな子どもになってくれたと感じ今まで以上に心をこめて、時には、力を入れて読んであげたものです。
すると、寝るはずの娘達は、ますます目をパッチリと輝かせてしっかりと聞いているのです。これはいけない、早く寝かせなくては自分の時間がなくなってしまうなどと、今度は矛盾した考えをおこしたりもして……。
でも、今年の夏休みから娘達は、図書館で本を借りて読むことを覚え20分も歩いて「大田図書館」に通うのを日課としていました。
これからも良い本をたくさん読んで成長して行って欲しいと思います。
〈向山〉私も本は好きである。名作はあまり読まない。雑文、大衆小説、ビジネス書の類が多い。1日の平均読書量はおよそ3冊、月に100冊のペースである。だから当然の如く本がたまって、始末に負えなくなる。高さ1・8m、幅0・9m、つまりフスマ1枚大の本箱にどのくらいあるかというと、40近くになる。16畳の書斎の壁はすべて本、その上に4畳の書庫に本がつまっている。しかも、毎日のように本がふえて、貧乏症なものだから、それらをしっかりとかかえこんでいる。本の増加する率は加速がついている。この先どうなるか、不安である。経済的にも本の重量からも破産するだろう。
が、私は本が好きである。 □
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子どもの時に本を読み聞かせるのは、親が子どもに贈る最高のプレゼントです。
私は、FM東京で「向山洋一の教育ステーション」(二時間番組)のパーソナリティをしていました。
その時、口グセのように言っていました。
「本の読み聞かせは、三千万円の財産を残すより、はるかに価値のある親からのプレゼントです」
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- 明治図書