- 特集 家庭でする漢字テスト対策―授業で教えないクラスの防衛策
- 漢字の覚え方を教え、毎日空書きテストをしよう―「漢字の宿題」「ドリルのやらせっぱなし」から、漢字の落ちこぼれが発生する
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- 漢字を授業で教えないクラスの防衛策
- 宿題を要求するな指導をお願いせよ
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- 「指書き」を親子で楽しみながら力をつけよう
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- よい漢字の学習のさせ方があります
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- 親が家庭で漢字指導をする効果的な方法
- 読み先習で、読める漢字をどんどん増やしていく
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- 晩ご飯の前に1分間、3文字練習すれば得意になります
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- 「毎日」「1文字ずつ」
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- 脳科学の法則から見た効果的な漢字学習法
- 正しく覚え・忘れないようにする漢字指導法
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- コツは「少しずつ」の反復毎日1文字の指書きでバッチリ
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- 漢字教育に関する耳より情報
- 無料と有料の漢字検定
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- 「検定」受検者増!漢字定着には語彙数も関係
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- 親子で挑戦!学年別・漢字文化検定問題
- 1年/「一」の漢字文化
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- 2年/インターネットランドを使って漢字文化
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- 3年/「うかんむり」のつく漢字
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- 4年/作物を植え、秋の実りに感謝しました
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- 5年/何をあらわしているのでしょう
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- 6年/「人」から生まれた漢字
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- 学年別・TOSS漢字検定問題
- 1年/「読み先習」問題
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- 2年/一学期のかん字をふくしゅうしよう
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- 3年/新出漢字中心の一学期の復習問題
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- 4年/違いに気をつけて覚えよう
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- 5年/夏休み
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- 6年/「木」から生まれた漢字/「人」が組み合わされている漢字
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- 漢字5点10点の子が満点をとったドラマ
- 0点「どうせできない」とあきらめていた子どもが80点をとり「もう少しだったのに」と悔し涙を流した日
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- 自分に自信がついたとき子どもは伸びる
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- 中学入学時学力テストの結果
- 学力の土台になる習慣を身に付けさせる
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- 漢字練習が子どもに任されるのは、よい方法とはいえない
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- ミニ特集 家庭でできる食育のポイント
- 食育の大切さ
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- 食の躾、キーワードは「成長に感激!」
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- 一緒に調理し、好き嫌いを解消する
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- スーパーで一緒に買い物するとき、子どもに教える3つのポイント
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- 食卓の小さなグッズにも感謝したくなるこんな話
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- 毎日のきちんとした習慣が感謝の心を創っていく
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- イラストで見る家庭教育のポイント (第18回)
- 靴箱
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- 家庭教育のポイント (第18回)
- 靴箱の表情は教師の技量、授業のうまい下手を示している
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- 編集前記
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- PTA会長奮戦記
- 会長は大変でした!そして楽しみました
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- つぶやきに見る子どもの成長
- 順番や位置の認知が始まる二歳児
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- 園長が語る子育ての極意
- 三つ子は「人間力」「生きる力」の魂が醸成され、育まれる時
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- 校長が語る子育ての極意
- はきものをそろえよう
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- 医師 普通の家庭教育の大切さ
- 過保護・過干渉はまずい
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- 医師 私の子育て日記
- 梵天の子供達に育てて下さい 梵天の民に成長して下さい
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- 教師・読者座談会 (第6回)
- 前任校の保護者の方に授業の本音を聞きました
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- がんばる教科は算数で、成績は4年生が変わり目
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- 古今東西人類の知恵「子育て語録」
- 経験は最良の教師である
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- 保健室から1ページ
- スポーツの秋・運動会、けがが多くなる時期です
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家庭でする漢字テスト対策―授業で教えないクラスの防衛策
漢字の覚え方を教え、毎日空書きテストをしよう
「漢字の宿題」「ドリルのやらせっぱなし」から、漢字の落ちこぼれが発生する
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
学校では、教科書のほかに、補助教材を使っています。
漢字教材で、日本一は『あかねこ漢字スキル』です。
十七年昔に、私が考案して光村教育図書から発売されました。光村は小学校の国語教科書のシェアが六割を占める会社です。
『あかねこ漢字スキル』は、十七年間ずっと使用する学校が増加してきました。
あまりにも根強い人気に「お化け教材」と言われています。
『あかねこ計算スキル』と合わせると、これまでに、延べ四千万人の子どもが使ったことになります。
こんな教材はほかにはありません。超ベストセラーなのです。
なぜこんなに人気があるのでしょう。
それは、勉強ができない子ができるようになるからです。
また、勉強ができる子も熱中するからです。
『あかねこスキル』は授業中に使います。平均すると、毎回五分ほどです。
宿題に出すことはありません。
授業で使うから効果があるのです。
では、お母さん方が『あかねこ漢字スキル』を使ったら効果があるでしょうか。
多分、ほとんどないと思います。
すぐれた教材は、「活用方法(ユースウェア)」と、セットになって効果をあげます。
すばらしい包丁を使い、マイセンの食器を使っても「料理」が駄目なら効果はありません。
コンピューターは、すぐれものの機械ですが「活用方法(ユースウェア)」を知らなければ、何の役にもたちません。
『あかねこスキル』の活用方法を身につけるには、一年間で五回ぐらいのセミナーに出ることが必要です。
多くの先生方は、自費で参加しています。
一回セミナーを受けて「分かった」つもりになっても、必ず「我流」が入りこんでいるものなのです。
二回目に行くと、それまでに分からなかったことが、見えてくるのです。
このように努力をして、学んだ教師だけが「できない子」を「できる」ようにさせられるのです。
少し前までは「ドリル」を使っていました。横長の練習帳です。
今も根強い人気があります。
それは「○ページを練習しなさい」と言って、やらせっぱなしにできるからです。「ドリルを宿題にする」教師もいっぱいいます。
こうした方法では、学力はつきません。
私がかつて担任した六年生。
五年生の担任はヴェテラン女教師で、毎日のように漢字ドリルを宿題にしていました。
子どもは「宿題が大変だった」と言っていました。
六年生の四月「五年の漢字テスト」をしました。実態調査です。
悲惨の一語です。
百点はゼロ。最高点が八十点台、クラス平均は四十点。〇点、五点という子がゾロゾロと十人もいました。
TOSSの教師が、『あかねこ』で教えれば平均点九十は普通です。ほとんどの子が九十点以上ということです。
ドリル教材では学力はつきません。
教師に人気があるのは「手抜き」ができるからです。手抜き教材です。
ところで、最近はほとんどの教材会社がドリルから「漢字スキル」「計算スキル」に変更してきました。まねまね教材です。
ところが「漢字スキル」「計算スキル」の商標は私が持っています。二十年近く昔にとったものです。
他人の知的財産を盗むようなことは、ほめられたことではありません。
いくつかの会社は、責任者に来ていただき謝罪してもらいました。
「漢字ドリルが毎日のように出る」「百マス計算をやっている」クラスにいたら、喜ぶより「学力は大丈夫だろうか」と心配した方がいいのです。
漢字も計算も、授業で教えるものです。
教師の当然の仕事です。
それなのに「漢字や計算は宿題にして、親が教えるものだ」と勘違いしている教師がいっぱいいます。
保護者会等で「漢字や計算を学校でしっかり教えてください」と要望することが大切です。
さて、親が家で漢字を教えるとしたらどのようにしたらいいのでしょうか。
「漢字が苦手」という子は、たいてい覚え方が分からないと言います。そのため、初めから抵抗感を持っています。
「向山方式」では、次のような方法で漢字を覚えます。
@まず、指で漢字の書き取りをさせます。
子どもは鉛筆を持って紙に向かうことだけでも、たいへんなプレッシャーを感じます。ましてや、ノートに十字も二十字も書くとなると、苦痛以外の何ものでもありません。指でなら、抵抗感がなくとり組めます。
その場合、ポイントになるのは、
●画数を言わせながら――書き順までマスターしていないと、意味がありません――何度も書かせること
●指で書けるようになるまで、鉛筆を持たせないこと
の二つです。
A次に、鉛筆を持って、お手本の上をなぞり書きさせます。
いきなり書かせるより、段階を追って書かせることが大切です。なぞり書きは、二回程度で十分です。
Bなぞり書きが終わったら、お手本を見ながら、ノートに自分で書かせます。
これも、二、三回で十分です。
この方法に慣れると、子どもは楽に、しかも短時間で、漢字を覚えるようになります。
なお、漢字を覚えたかどうかの確認は、
「集まるという字を書いてごらん」
と言って、子どもに空中で書かせます。
書き順も確認できますし、机に向かう必要もなく、日常生活の中で簡単にできるので、子どもに負担にならず、学ばせることができます。
●正しい漢字の覚え方
@指書き
・書き順を見ながら机の上に指で書きましょう!
Aなぞり書き
・指書きができるようになったら鉛筆でていねいになぞりましょう!
お母さんが赤鉛筆でうすく書いてやりその上でなぞらせるといいでしょう。
B写し書き
・なぞり書きをしたら上の字をよく見て書きましょう!
「漢字の覚え方」を、身につけさせることは何よりも大切です。
「書き順」は、最初の頃はめんどうですが、三カ月もすると、自然にできるようになります。
人さし指で空中に書かせる――それを見てやる(空書き)
この方法は、効果抜群です。
何よりも、わずかな時間、一、二分で教えられるのです。
空書きをさせる時、必ず「イチ、ニイ、サン」と、筆順を声に出して言わせるのが大切です。
川は「イチ、ニイ、サン」です。
山は「イチ、ニーイ、サン」です。
五は「イチ、ニイ、サーン、シ」です。
私は、教室で教える時は次のように言わせました。
例えば「見」の場合。
「イチ、ニーイ、サン、シ、ゴ、ロク、ナーアナの七画です」
自分の子が漢字が苦手なら、家で教えることが必要になります。
その時、時間をいっぱい作って、腕まくりして「ギューギュー」やるのは駄目です。
子どもは疲れ果て、親も疲れます。
毎日、一回二、三分でいいのです。
漢字は一年間で、およそ百五十ほど学びます。
一日に「二文字か三文字」練習すればいいのです。
朝食か夕食の前がいいと思います。
食卓で「空書き」させるのです。
どの漢字をするかは、前もって「スキル」や「教科書」によって決めておき、カレンダーに記入しておきます。
子どもは、それを覚えておくことにするのです。
食事前に空書きさせます。
ちゃんとやってあれば、三十秒で終了です。
間違えたら、その場で「指書き」させて覚えます。
そして、その場で「空書きテスト」です。
これが、向山の練習方法であり、多くの子どもたちを伸ばしてきました。
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- 明治図書