家庭教育ツーウェイ 2005年10月号
中学受験・成功していったあの親子

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家庭教育ツーウェイ 2005年10月号中学受験・成功していったあの親子

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ジャンル:
その他教育
刊行:
2005年9月7日
対象:
幼・小
仕様:
B5判 90頁
状態:
絶版
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目次

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特集 中学受験・成功していったあの親子
難関中学11名全員合格 向山学級の子どもたちへのアドバイス
向山 洋一
中学受験・親子のドラマ
自立を促し好きなことを思い切り
浅川 清
充実した六年生生活を送った人気者の大輔君
細羽 正巳
平常の学校活動ができなくては、受験はうまくいかない
石黒 修
できる範囲でできることを最大限努力する
中谷 結花
受験は通過地点
師尾 喜代子
中学受験をする子たちへのアドバイス
体験的受験論
大森 修
成績急上昇! 一冊の問題集を向山式で攻略
谷 和樹
健康第一で、薄い問題集を完璧に仕上げよう
遠藤 真理子
一生懸命やったことは無駄にはならない
堤 緑
いかに「普通の生活」ができるかが勝負です。親子で協力して、「当たり前のリズム」をつくりましょう。
小宮 孝之
中学受験 失敗しがちな子の行動様式
めりはりのある日々を楽しむことができる子、学校の学習も楽しむ子が、結果を出す
石川 裕美
ずるい子と自信過剰が失敗を招く
松藤 司
「受験がすべて」と思い込むことはいけない
小貫 義智
小学校受験で大切なこと
小学校が求める子ども像は、特別な子?
斉藤 孝子
IQではなく、親子でEQを高めることだ
前田 康裕
小学校受験は、生活の基礎基本が大事
寒河江 恒太
高校受験 全員合格!のドラマ
先生、みんな高校卒業できたよ
井上 好文
敗者復活!! 一度や二度の失敗はなんでもない!
苦労やみじめさこそ、子どもが育つ糧になる
大場 寿子
どんな時でも、私の子どもなんだよ
猿渡 功
振り返ってみれば「それがベストだった」
八和田 清秀
不合格であっても失敗とは限らない
板倉 弘幸
人生、何が幸いするかはわからない
杉山 裕之
ミニ特集 本気で子どもを伸ばす指導
本気で子どもを伸ばす指導ならどの子も伸びる
向山 洋一
親が本気になるとき
『受験』息子の一大事。塾がだめでも、私が「向山型」で教えてあげる!
伴 佳代
子どもと決めた約束は、必ず守らせる
勇 和代
教師が本気になるとき
クラスの中であの子の笑顔が見たい。孤立させないために。
瀧尾 恵美子
叱るのではなく、責任の取り方を教える
松井 靖国
子どもが本気になったとき
五色百人一首で見せる子どもの真剣な眼
細羽 朋恵
最新の脳科学に裏づけされた、努力のツボ、コツを教える!
星野 裕二
イラストで見る家庭教育のポイント (第19回)
運動会
岩野 節男岩野 紀子
家庭教育のポイント (第19回)
運動会、子どもをほめてください。練習をやりすぎて、算数、国語をつぶす学校に注意してください。
向山 洋一
編集前記
師尾 喜代子
PTA会長奮戦記
課題はありますが少しでもよい形に
木下 孝則
つぶやきに見る子どもの成長
算数能力の芽生える二歳児
水野 茂一
校長が語る子育ての極意
家庭でしつける三つの習慣
廣中 洋子
塾から見た基礎学力
自ら机に向かう子どもが育つ環境とは
守屋 厚志
礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
心の文化を子どもたちへ
高塚 一子
医師 普通の家庭教育の大切さ
「自然な子育て」で十分
澤口 俊之
医師 私の子育て日記
大自然の治癒力
香川 宜子
保護者の感想から
教師・読者座談会 (第7回)
田村学級の保護者の方と、教育についていろいろなことを校長室でお話ししました。
田村 治男
最新最大の子ども調査
給食を食べ残す子どもたちの出現
明石 要一
年少のドラマ、年中のドラマ、年長のドラマ
年少/年少さんから百玉そろばん!
高谷 圭子
年少/先生や友達との関わり合いの中で成長
平田 由里子
年中/「幼稚園になんか、行きたくない!」
渡辺 敏昭
小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
小1/金ちゃんが死んだ日
小倉 郁美
小2/かけ算九九マスターへの道
桑原 和彦
小3/向山型算数でできない子が変わった
板倉 美江
古今東西人類の知恵「子育て語録」
失敗は成功のもと
小野 隆行
心に残る名作・名詩―父を思う・母を思う―
『笑顔』からもらった人生
鈴木 恭子
とっておきの話・親子でお話ぬりえ
また帰ってくるね
本間 明
SOS 子ども・親が電話相談をする時
子どもが万引きして警察に呼び出された
波多野 ミキ
保健室から1ページ
「眼球視力」と「脳内視力」
松島 裕美
こんなときどうする?平山先生!
脳科学に裏打ちされた希望のある話をしてください/状況証拠をノートにメモしておきます
平山 諭赤木 雅美
親子で挑戦ペーパーチャレラン
未完成迷路チャレラン
伊藤 亮介
衝撃のドラマ・算数が大の苦手の子が満点をとった
教科書を使った、教科書通りの授業で楽しい!わかった!!できた!!!
御子神 由美子
本筋の心の教育
躾が子どもを自立させる
岸 義文
親子で漢字文化ワーク (第7回)
神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
神谷 祐子辻野 裕美
親子でイラスト作文 (第7回)
うさぎとかめ
師尾 喜代子
酒井式描画法・感想画
狼森と笊森、盗森
酒井 臣吾
1000年続く教材・いろは歌
「いろは歌」の暗唱
森川 敦子
1000年続くかけ算九九
むかしはかける数から先に九九を唱えていた
板倉 弘幸
家庭教育の基本
家族旅行は子どもの意識の奥底に残る
椿原 正和
特別支援教育のはなし
子どもは悪いと思っている。子どもは首尾一貫して、公正な制限をしてくれる人を望んでいる。
大場 寿子
シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
お母さんがキレないための薬はあるか(下)
水野 美保
これからの小学校教育
国語教育絶対論
吉永 順一
読者のページ
編集部ニュース
現代っ子アンケート・子どもインタビュー
相談相手 「誰にも相談しない」子どもたち
赤木 雅美

中学受験・成功していったあの親子

難関中学11名全員合格 向山学級の子どもたちへのアドバイス

向山洋一

本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師

無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰

TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表


 受験指導についての私の体験談です。

 今から四十年以上昔のことです。父親がお世話になったお医者さんから「ぜひとも」ということで、家庭教師を頼まれました。

 その子は、小学校五年生、慶應の幼稚舎(附属小学校)に行っていました。

 実は、お姉さんもお兄さんも幼稚舎に行っていたのですが、中学校に進学できず、それぞれフランス、アメリカに留学していました。下の子だけは親元に置きたい、ぜひとも中学に無事に進級させてほしいとのことでした。

 その時、私は教師になりたてでした。当時、教師が家庭教師をすることは(自分の学校の生徒でないなら)認められていました。

 私は、やりたくなかったのですが、お世話になったお医者さんに熱心に頼まれたので、先方の親御さんと会いました。

 私は、ひきうけるかわりにと、四つの条件をお願いしました。

  教える時間は私にあわせること

  教え方は、私にまかせること

  成績が上がらなくても文句を言わないこと

  謝礼は、日本で一番高いこと

 この四つが認められ、私は五年生の男の子を教えることになりました。

 素直な子でした。幼稚舎に行っているのですから、普通の小学校ではトップクラスの実力はあります。

 が、トップばかりの子の中で「落第」しないような力をつけさせるわけです。

 その子は、学年の下位にいて、けっこうあぶない節も見られました。

 さて、私は週に一、二度教えることにしました。最初の頃は週に二回、後に一回になります。

 一回につき二時間教えました。

 百二十分の時間のうち、私が直接教えたのは「十分間」だけでした。

 残りの時間、私は自分の本を読んでいました。

 私は、最初の頃「勉強のシステム」(しくみ)を教えたのです。

 「勉強のやり方」を教えたのです。

 後は、「勉強のやり方」が、上手に進んでいるかどうかを確認していればよかったのです。その子は、どんどん自分でやっていったのです。

 結果は、どうだったでしょうか。

 無事に附属の中学に進学できました。

 それだけでなく、難関の附属中で、学年トップの成績をとったのです。

 その時、私は家庭教師を止めました。

 もう、ついている必要がないからです。

 噂を聞いた慶應の附属中学の方々から、二十軒ほど家庭教師の依頼をうけました。

 私はすべて断りました。

 給料の何倍もの収入も可能だったのですが、そのことより「自分の教室での教師の仕事」の方が、魅力的だったのです。

 それから何年かして、田園調布地区にある小学校に転校しました。

 五年生を担任したのです。

 転入生が二人、後の代議士の河野太郎氏夫人の香織さんと、NHKで活躍している宮越君が、オーストラリア、大阪から入ってきました。

 すてきな子どもたちで、すばらしい親たちでした。思い出がいっぱいです。

 三十四人のクラスでしたが、中学受験する子が十一人いました。

 希望する学校は、麻布、慶應、日本女子大、聖心などの難関校です。

 その学校の過去の実績からいうと、こういう学校にクラスから一人か二人入るのが平均でした。

 五年生の後半、私は受験する親子に、アドバイスをしました。

 要点は、次の通りです。

一、学校の勉強を大切にすること。一見、塾の方がスピードが早く見えるけど、実力の基本は学校の教室で習ったことにあることを強調しました。

  よく、受験直前に、学校を休んで集中的に勉強する子がいますが、多くは落ちるタイプなのです。

  学校でのことを熱心にやる子が、合格していくことが多いのです。

二、むずかしいといわれる程度の学校であれば「算数教科書」を完全にやりとげれば合格できます。

  ですから、算数の教科書の問題全部に「できた」「できない」印をつけて「全部できた」ことにするのが大切です。

  教科書のすべての問題です。

  ただし、実力は「やった日から遠ざかる」と落ちていきます。学校のテストで百点だったのに、一カ月もすると八十点ぐらいしかとれないのです。

  そのために、「やった日の実力」を保持することが必要です。そのためには、前日まで、教科書、問題集をパラパラでもいいから見続けることが大切なのです。

三、落ちる子に共通することがあります。参考書、問題集を何冊も持っていて、どれも中途で終わっていることです。

  こういう子は、落ちることが多いのです。私は、問題集は一冊にしてもらいました。

  何冊も持っていた子は、残りをひもでしばって、ものおきに持っていってもらいました。

  どの本でもいいのです。子どもがやりやすいのでいいのです。

  塾で使っているのがあれば、それだけでよく、他にやる必要はありません。

四、決めた問題集は「すべてできる」までやってもらいました。

  やった問題に印をつけるのです。


 できた場合 /(1) できなかった場合 (1)


 問題集全部をやると「できた印」「できなかった印」がすべての問題につきます。

 ここまでに三カ月、半年とかかります。

 苦労しますが、実力はたいしてついていません。

 多くの親子は、ここを間違えるのです。「問題集を全部やったから実力はついた」と錯覚するのです。

 しかし、実力はついていないのです。

 ここまでは「自分のできる問題はできたし、できない問題はできなかった」ことを区別するだけなのです。

 三カ月、半年かかって一度目が終了しました。すべての問題に、印がついています。

 すぐに二度目に入ります。

 その時「できた印」のある問題は、もうやらなくていいのです。

 「できなかった印」だけをやります。

 やり方は同じです。二度目の印をつけながら進みます。今度は、全部を終えるのに一、二カ月で終わります。

 二度目にできた所は、実力になっています。

 しかし、二度目もできないのがあります。

 次に三度目に突入です。

 できた問題は、とばします。

 三度目は一カ月以内で終了します。

 実力は、すごく向上しています。

 三度ともできなかった問題、それこそ、試験に出る問題なのです。

 四度目は、二、三週間で終えてしまいます。

 そして五度目は、一、二週間で一冊分終了です。

 一冊の問題集を完全にマスターするとはこういうことなのです。

 最初が大変なのです。しかも実力は伸びない。しかし、二度目、三度目で、急速に実力が向上するのです。

 さて、問題集をやる時、「分からないことをじっと考える」のは時間の無駄です。

 答えを見ながら、覚えてしまうのです。

 社会科、理科なら、同じ問題集を二冊買って、一冊目は答えを見ながら問題集に写してみて、二冊目から、ちゃんとやるのも合理的です。難関大学への合格者には、この方法をやる人は多くいます。

 一冊を完全にやろうとすると、厚い問題集は避けた方がいいのです。塾で使っている問題集などは「偶数番号だけ」というようにします。すると半分でいいことになります。

 それで十分です。

 これが、受験勉強に対する向山の指導でした。

 向山学級から、十一名の子が難関中学校を受験しました。結果はというと、全員合格しました。

 子どもたちも、親たちもがんばったのです。

 私のアドバイスを素直にうけ入れてくれました。

 楽しく、生き生きとした学校生活をしながら、希望した中学校へ進学していきました。

 私は、自分の娘にも同じことを教えました。運よく、東京の女子では最難関といわれる青山学院の附属中に入れました。

 そこで、すばらしい友達といっぱい出会うことになります。

 最後に、受験をするからには、本気ですべきだと思います。落ちれば、やはり傷つくからです。

 実力より、少し高い所に挑戦するのが現実的です。あまりにも高い峰に、小学生のうちに挑戦させるのは、酷な面が多いと思います。


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