- はじめに
- 本書の使い方−Chapter4・5の活用の仕方
- Chapter1 Teacher's Talkの組み立て方
- 1 Teacher's Talkの3つのねらい
- 2 必要語彙は,黒板に貼る
- 3 写真やイラストなど実物で関心を引きつける
- 4 質問しながら定着度を確認する
- 5 話題を広げ,つないでいく
- コラム1 Teacher's Talkを考えてみる
- Chapter2 Small Talkの組み立て方
- 1 対話をつなぐ@ 反応する
- 2 対話をつなぐA 質問する
- 3 対話をつなぐB 繰り返す
- 4 対話をつなぐC 感想を言う
- 5 対話を続ける@ 相手の質問に答えたら1文足す
- 6 対話を続けるA 自分のことを言ってから,相手に質問する
- 7 対話を続けるB 同じ質問を相手にも聞く
- コラム2 Small Talkのはじめとおわりはこうする
- Chapter3 Small Talkの中間評価の仕方
- 1 Small Talkでの気付きを発表させる
- 2 中間評価で発話をモニターする
- 3 Small Talk2への課題を提示する
- 4 言いたかったけど言えなかった表現を引き出す
- コラム3 中間評価をペアで振り返ってみる
- Chapter4 小学5年 Small Talkのトピック20
- 1 好きな食べ物は何? What food do you like?
- 2 どんな食べ物が好き? What kind of food do you like?
- 3 どんな果物が好き? What fruit do you like?
- 4 どんな野菜が好き? What vegetable do you like?
- 5 何の食べ物が一番好き? What is your favorite food?
- 6 どんなスポーツする? What sport do you play?
- 7 動物は好き? Do you like animals?
- 8 誕生日はいつ? When is your birthday?
- 9 好きな季節はいつ? What season do you like?
- 10 日本の行事で何が楽しい? What Japanese event do you enjoy?
- 11 月曜日は何するの? What do you do on Mondays?
- 12 何の勉強が好き? What subject do you like?
- 13 家では何の勉強しているの? What subject do you study at home?
- 14 何時に起きるの? What time do you usually get up?
- 15 家で何するの? What do you do at home?
- 16 朝ご飯何を食べる? What do you eat for breakfast?
- 17 何ができるの? What can you do?
- 18 週末の予定は? Do you have any plans for this weekend?
- 19 あなたの得意なことは? What are you good at?
- 20 あなたの友達は? Tell me about your friends.
- コラム4 言語は適材適所で使用する
- Chapter5 小学6年 Small Talkのトピック20
- 1 自分を紹介しよう Hi. I'm Hiro. I'm from Takagi.
- 2 好きなものは? What do you like?
- 3 どんなテレビを見る? What TV programs do you like?
- 4 日本のどんなところが好き? What do you like about Japan?
- 5 あなたの町のどこが好き? What do you like about your town?
- 6 日本のどこに行きたい? Where do you want to go in Japan?
- 7 今夜,何食べたい? What do you want to have for dinner?
- 8 放課後は,何する? What do you want to do after school?
- 9 音楽は聴く? Do you listen to music?
- 10 漫画は好き? Do you like comic books?
- 11 夏休みはどうだった? How was your summer vacation?
- 12 土日は何をした? How was your weekend?
- 13 暇なときは,何したい? What do you want to do in your free time?
- 14 好きな歌手は誰? Who is your favorite singer?
- 15 学校行事は何が好き? What school event do you like?
- 16 何になりたい? What do you want to be?
- 17 どんなお祭りを見たい? What festival do you want to watch?
- 18 ハロウィンで何になりたい? What do you want to be at Halloween?
- 19 冬休みには何をした? How was your winter vacation?
- 20 中学校で何したい? What do you want to enjoy at JHS?
- コラム5 様々なSmall Talkの活動形態
- Chapter6 Small Talkのお悩みを解決!Q&A
- Q1 児童が対話のパターンにはまってしまっているのですが…
- Q2 対話のパターンから脱却するためにはどうしたらいいですか?
- Q3 前に出て発表する児童がなかなかいないのですが…
- Q4 Teacher's Talkをする自信がないのですが…
- Q5 小学校では話す力はどこまで身に付ければよいのですか?
- Q6 Teacher's Talkに日本語が入ってもいいですか?
- Q7 Small Talkで児童が日本語で話したらどうしますか?
- Q8 Small Talkの成果の評価はどうしたらいいですか?
- おわりに
はじめに
私は,中学校の英語教員として22年間,小学校教員として6年間,教育委員会に1年間,教頭職で1年間,計30年間学校教育に携わり,2018年4月から岐阜大学教育学部で教鞭をとっています。専門は小学校英語教育です。
赴任したばかりの5月。岐阜のある小学校で英語授業を参観しました。
そこで行われていたのは,児童同士の対話,いわゆるSmall Talkでした。
中学校で私がやろうと思っていたことを,小学校でやっていたのです。
私はその姿に大変衝撃を受けました。と同時に,
「きっとこれが,日本の小学校の普通の活動になる」
「いずれ日本全国で普通に行われるようになる」
と確信しました。
10分程度のSmall Talkですが,これが小学校英語授業の大きな柱の1つになると思えて仕方なかったのです。
それから1年間,様々な学校で授業を拝見させていただきながら,「どう指導していったらSmall Talkの授業が成功するのだろう」「子供の対話をどのように見取ればいいのかな」「子供のSmall Talkの前に行うTeacher’s Talkはどのようにやるのがいいのかな」等と,Small Talkについて考える日々が始まりました。
その答えが本書になります。
基本的に,Small Talkの授業は,次の過程を踏みます。
1 教師のSmall Talk(本書ではTeacher’s Talk)
2 児童同士のSmall Talk(1回目)
3 中間評価
4 児童同士のSmall Talk(2回目)
たったこれだけの4つの指導過程ですが,ここがまた1つの大きな悩みとなるのだと思いました。
まず,「3」の中間評価は,どのように行えばよいのか。「子どもから言いたいけど言えなかった表現があるかどうか引き出す」とあっても,子どもの言いたい表現があまりにも難しい言い方の場合はどうするのか。また,教師が投げかけても,子どもから言いたかったけど言えなかった表現が出てこなかったらどうするのか。中間評価の他のやり方ってないのだろうか…。
また「1」のTeacher’s Talkを行う「ねらい」は何か。何のために行い,どのように行うのか。Teacher’s Talkを上手に行うための工夫は…。教師と児童とのやり取りは,どのように行ったらよいのか…。
「2」「4」の児童同士のSmall Talkでは,教師はどのような立ち位置にいるべきか…。児童の活動をどう見取っていけばいいのか。子供の活動にどのように関わり,支援していったらいいのか。1分〜2分の短い時間に,教師は何をしたらいいのだろう…等々,10分程度の活動ですが,多くの疑問や課題が見えてきたのです。
そしてさらに,Small Talkを実践していくとなると,Small Talkの話材を用意する必要が出てくることがわかりました。
そこで本書では,できるだけ多くのトピックを紹介しようと考えました。
ちなみに,本書で紹介している話材は1回で終わるのではなく,2〜3回続けて,同じ話材を,帯活動的に続けても構いません。むしろその方が,子どもたちの英語力の定着につながるかも知れません。
また5年生の話材は,もちろん6年生でも繰り返して使うこともできます。ご活用いただけると幸いです。
さて,1つのことを追究すれば追究していくほど,次の課題がendlessのように見えてくるものです。
本書は,それらの課題を少しでも解決できるように,
◆Small Talkのやり方(Chapter 1〜3)…第T部
◆Small Talkの話材集(Chapter 4〜5)…第U部
◆Small Talkに関するQA(Chapter 6)…第V部
という大きく3つの構成をとっています。
お読みいただき,Small Talkのイメージづくりになればと思います。
最後に,Small Talk の2つのねらいを確認しておきましょう。
Small Talkの位置付けについては,『小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック』(文部科学省,2017)p.84に,目的が示されています。
(1)既習表現を繰り返し使用できるようにしてその定着を図る
(2)対話を続けるための基本的な表現の定着を図る
つまり,「既習事項の定着」と「対話の継続法を学ぶこと」が,Small Talkの時間のねらいと言えます。
このことについては,本書で何度も繰り返しお伝えしています。
ぜひ確認しておいてください。
まだまだ,Small Talkは改善の余地は多々あるかと思います。どうか先生方で工夫・改善・進化していっていただき,子どもたちのためによりよい英語教育が展開されることを期待しております。
私も岐阜で,小学校英語への研究・実践を深めて参ります。
2019年5月 岐阜大学教育学部 /瀧沢 広人(たきざわ・ひろと)
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