- はじめに
- 本書の特長と使い方
- Chapter1 外国語の評価の考え方と新3観点の評価規準作成のポイント5
- 1.評価の考え方と留意点
- 2.評価の観点について
- 3.評価規準の作成に向けて(学年別の目標及び評価規準)
- 4.評価規準の作成に向けて(単元ごとの目標及び評価規準)
- 5.評価の評定への総括について
- Chapter2 外国語・新3観点の評価規準作成マニュアル
- 1.授業における評価方法
- 2.知識・技能の評価規準作成のポイント
- 3.思考・判断・表現の評価規準作成のポイント
- 4.主体的に学習に取り組む態度の評価規準作成のポイント
- 5.聞くことの評価規準作成例
- 6.読むことの評価規準作成例
- 7.話すこと[やり取り]の評価規準作成例
- 8.話すこと[発表]の評価規準作成例
- 9.書くことの評価規準作成例
- Chapter3 すぐに使える!新3観点の指導要録記入例&通知表の文例集
- 1.指導要録・通知表所見欄の書き方のポイント
- 2.第5学年の指導要録(総合所見及び指導上参考となる諸事項)記入例
- 3.第5学年の通知表記入例
- 4.第6学年の指導要録(総合所見及び指導上参考となる諸事項)記入例
- 5.第6学年の通知表記入例
- Chapter4 実録で分かる!できる!第5学年 新3観点の外国語評価事例10
- 1.[Unit1]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 Hello, everyone. 名刺交換をしよう
- 2.[Unit2]「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 When is your birthday? バースデーカードをおくろう
- 3.[Unit3]「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 What do you have on Mondays? ある職業になるための時間割を作ろう
- 4.[Unit4]「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 What time do you get up? 自分の一日をしょうかいしよう
- 5.[Unit5]「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」の評価事例
- 単元名 He can run fast.She can play the piano. 身近な人を紹介しよう
- 6.[Unit6]「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「読むこと」の評価事例
- 単元名 Where is your treasure? 宝物への道案内をしよう
- 7.[Unit7]「聞くこと」「話すこと[やり取り]」の評価事例
- 単元名 What would you like? 料理,値段
- 8.[Unit8]「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 Happy New Year 年賀状を作ろう カードを作ろう
- 9.[Unit9]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 Who is your hero? あこがれの人をしょうかいしよう
- 10.[Unit10]「読むこと」「話すこと[やり取り]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 I want to go to Italy. ツアープランナーになろう
- Chapter5 実録で分かる!できる!第6学年 新3観点の外国語評価事例10
- 1.[Unit1]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 This is me! 自己紹介をしよう
- 2.[Unit2]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 Welcome to Japan. 日本のことをしょうかいしよう
- 3.[Unit3]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 He is famous.She is great. あの人を紹介しよう
- 4.[Unit4]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 We all live on the Earth. 地球に暮らす生き物について考え,そのつながりを発表しよう
- 5.[Unit5]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 My Summer Vacation 夏休みの思い出
- 6.[Unit6]「聞くこと」「話すこと[やり取り]」の評価事例
- 単元名 What do you want to watch? スポーツ
- 7.[Unit7]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 This is my town. 町紹介
- 8.[Unit8]「聞くこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 My Best Memory 小学校の思い出
- 9.[Unit9]「読むこと」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 I have a dream. 将来の夢
- 10.[Unit10]「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」「書くこと」の評価事例
- 単元名 Junior High School Life 中学校でがんばりたいこと
- 付録 まるごと早分かり!外国語の指導要録・評価関連資料
- 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)
- 〔別紙4〕各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨
- 小学校児童指導要録(参考様式)
はじめに
大阪樟蔭女子大学教授 /菅 正隆
本書は,『指導要録記入例&通知表文例が満載!小学校外国語活動新3観点の評価づくり完全ガイドブック』(明治図書)に次ぐ,高学年の教科「外国語」における評価の在り方を詳細に示した一冊である。2020(令和2)年4月より,高学年で実施されている科目「外国語」は,教科として初めて教育課程に組み込まれたことから,指導の在り方や評価の在り方で悩んでいる教師は多い。そこで本書では,指導の在り方,評価方法,評価規準の作成方法,そして評定の出し方まで,具体的に,痒いところに手が届くように解説を試みている。
さて,評価に関しては,文部科学省『小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)』(平成31年3月29日)の中で学習評価の課題と改善の基本方針が示されている。特に課題については,以下の5点が示されている。
・学期末や学年末などの事後での評価に終始してしまうことが多く,評価の結果が児童生徒の具体的な学習改善につながっていない。
・現行の「関心・意欲・態度」の観点について,挙手の回数や毎時間ノートをとっているかなど,性格や行動面の傾向が一時的に表出された場面を捉える評価であるような誤解が払拭しきれていない。
・教師によって評価の方針が異なり,学習改善につなげにくい。
・教師が評価のための「記録」に労力を割かれて,指導に注力できない。
・相当な労力をかけて記述した指導要録が,次の学年や学校段階において十分に活用されていない。
そして,これらの課題に対して,学習評価の改善の基本方針として次のようにまとめられている。
学校における働き方改革が喫緊の課題となっていることも踏まえ,次の基本的な考え方に立って,学習評価を真に意味のあるものとすることが重要であること。
@児童生徒の学習の改善につながるものにしていくこと
A教師の指導改善につながるものにしていくこと
Bこれまで慣行として行われてきたことでも,必要性・妥当性が認められないものは見直していくこと
この@からBは常に評価の在り方の基礎基本とされてきたものであり,評価に労力をかけすぎることなく,細かな点(子ども達の一挙手一投足)に注視することなく,適切な評価をすることである,と言っているようにも見える。指導をしっかりした上での評価であり,常に指導と評価の一体化を意識することとすれば,これは理解できることである。
つまり,指導と評価を通して子ども達に身に付けさせたい力は,総論(基となる力)として,他の教科同様,『生きる力』の育成であり,そして,各論(具体的に身に付けるべき力,観点)は,@知識・技能,A思考・判断・表現,B主体的に学習に取り組む態度である。特に,昨今,「考えようとしない子ども」「考える力が低下した子ども」「判断できない子ども」「言葉を上手く使えない子ども」など,巷間で耳にする子どもの課題が増加傾向にあり,それらに歯止めをかける意味でも,思考・判断・表現の重要性が叫ばれている。それが,今回の評価の考え方に如実に表れている。
これらを考えると,これまで高学年で行ってきた外国語活動の授業を根本的に考え直さなければならない。「外国語活動は楽しければよい」「ゲームばかりのお遊びの授業」「ピーチクパーチクの英語ごっこの授業」などと揶揄された授業から脱却する必要がある。まさに,funからinterestingの知的な学びを通した楽しい授業にしていかなければならない。しかも,子ども達が教師から一方的に教えられる受け身的な授業の形態ではなく,子ども達自らが考える場面や子ども達同士で創作する場面などをふんだんに盛り込んだ授業の構築(主体的・対話的で深い学び)が求められる。これらは,既に出版した『日々の授業から校内研修・研究授業までフルサポート!小学校外国語活動・外国語授業づくりガイドブック』(明治図書出版)にも詳しい。これと本書とを活用いただければ,小学校における外国語活動と外国語の違いや効果的な指導の在り方,評価方法までもが詳細に理解できる。
また,小学校外国語は中学校の教科「外国語」につながるものである。高学年の外国語が週2回程度であることから,授業を軽視することは子ども達にリスクを負わせることになる。つまり,小学校の外国語で既に英語嫌いの子どもをつくったり,教師が授業で手を抜くことで,中学校の週4時間の外国語の授業はちんぷんかんぷんになってしまったりと,罪深いことをしてしまうことにもなりかねない。したがって,指導をしっかりと行い,評価はそれを確認するためのもの,そして,次の指導の在り方を考えるための指針となるものである。これらは子どものためでもあり,教師自身の指導力向上にもつながるものである。
本書では,評価の考え方や目標(@知識及び技能,A思考力,判断力,表現力等,B学びに向かう力,人間性等)の立て方,学習評価(@知識・技能,A思考・判断・表現,B主体的に学習に取り組む態度)の評価規準の作り方,評定の出し方,指導要録の書き方や通知表の書き方まで事細かに例を示している。
多忙な教師にとって,普段の授業から学期末や学年末における通知表や指導要録作成に至るまでの評価の参考となれば幸いである。
最後に,本書の執筆を担当した方々は,それぞれの地域で長年に渡り外国語教育に携わってきた先生方である。自信をもってお奨めできる一冊である。
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- 明治図書
- 評価の具体が分かりやすい。2023/7/1540代・小学校教員
- とても参考になりました。2020/10/2520代・小学校教員