- はじめに
- 第1章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[学級経営]10のこと
- 1 指導力を身につけるだけでは、学級経営はうまくいかない
- 2 教師の意図的な教育だけでは、子どもは育たない
- 3 学級の「風土」を決めているのは、教師の言動
- 4 「努力の継続サイクル」を生み出すことが、学級経営の肝
- 5 「待てる」教師の学級ほど、子どものやる気が高い
- 6 集団への帰属願望が、子どものパフォーマンスを決める
- 7 帰属願望と帰属意識は、似て非なるもの
- 8 ほめ方にはレベルがある
- 9 トラブルや失敗が多い学級ほど、子どもが育つ
- 10 熱心な教師ほど、「全体主義」に陥りやすい
- 第2章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業づくり]10のこと
- 11 授業の良し悪しは、授業の方法では決まらない
- 12 教師の発問は、「次の一手」
- 13 教材研究は、「深さ」「広さ」の2軸で考える
- 14 学びの質を高めるには、3つの原則を意識する必要がある
- 15 子どもは「やりながら」理解する
- 16 教える内容が多い場合は、全体像を示した後で大切な内容に絞り込む
- 17 教えたい内容を子どもに意識させるカギは「焦点化」
- 18 発表すらされない少数意見が、話し合い活動成功のカギを握っている
- 19 とりあえず「協同」させておけばよいわけではない
- 20 学びを深めるカギは、メタ認知を促す問い
- 第3章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[子ども理解、対応]10のこと
- 21 2つの要素がそろうと、子どもは自らよい方向へ歩み始める
- 22 技術や方法の前提となる、2つの条件がある
- 23 子ども理解の程度によって、指導の質と方法は自動的に変化する
- 24 子どもの「状況」と「将来」を考えると、対応の目的がクリアに見えてくる
- 25 学校は子どもに劣等感を覚えさせる場になっている
- 26 問題行動への対応のヒントは、「原因」ではなく「目的」に隠れている
- 27 教師がブレないからこそ、子どもが安心してブレられる
- 28 子どもに自由を認めるところから、学びが始まる
- 29 意図的な「緩み」が、子どもの成長につながる
- 30 子どもへの対応力は、「かけ算」である
- 第4章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[教師のマインドセット]10のこと
- 31 遠回りの道こそ、近道である
- 32 「子ども」ではなく、「その子」に合わせる
- 33 子どもが子どもらしくいられるか否かは、教師の構え次第
- 34 教師と子どもの間には、「鏡の作用」が働いている
- 35 「自分らしい指導」は、無意識下で形づくられる
- 36 あえて真逆のことに挑戦することで、自分の指導スタイルが見えてくる
- 37 「見返り」を望む教師の私心を、子どもは見抜いている
- 38 「学ぶ準備」ができていない子どもに、教師の教えは響かない
- 39 「方針」のないところに、「手段」はない
- 40 一番手のかかる子どもとのかかわり方に、教師の資質が表れる
はじめに
教師の仕事には、「こうしたらうまくいく」という知恵が少なからずあります。
そのような知恵は、心あるベテランから若手へと継承されてきました。
ところが、中には、すごく大事なのに、なかなか誰も教えてくれないこともあります。
本当は大切だけど、誰も教えてくれない。
私自身「もっと早くに知っておけば苦労しなかったのに」と思うことがたくさんありました。
教師になる前にも、教師になった後にも、教えられなかったことです。
では、なぜ誰も教えてくれなかったのでしょうか。
ひと言でいえば、「難しい」からです。
人からいろいろなことを教わるのは、若手教師時代です。
若手教師は、具体的ですぐに役立つ指導法を知りたいと願っています。
教える側も、それに応えて、手っ取り早く簡単なことから教えがちです。
よって、手っ取り早く簡単なことの継承は行われますが、難しいことは後回しになり、いつしか機を逸してしまうのです。
加えて、
「若手に教えるのはまだ早い」
「せっかく苦労して得た知恵なのに、人に教えるのはもったいない」
「そもそも、そういったことは自分で学ぶべきだ」
といった教える側の心情が絡んでいることもあるかもしれません。
そこで本書では、私自身が「若手教師時代にこれを知っていれば苦労はしなかったのに」と感じる、本当は大切だけど、誰も教えてくれない40の知恵を紹介します。
若手の先生は、早くから知ることで、自らの教育の成果につなげることができることでしょう。
もし、学校現場に出る前に読んでいただければ、教壇に立ったとき、きっと大きな成果に結びつくはずです。
本書の執筆にあたり、明治図書出版の矢口郁雄氏には、本書の企画段階から、現場のニーズに合わせた様々な助言をいただきました。記して感謝申し上げます。
本書が、読者諸賢の教育の一助になれば、これに勝る喜びはありません。
※本書で示した研究の成果の一端は、JSPS科研費 JP 17K12936の助成を受けたものです。
2020年1月 /大前 暁政
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