「特別」ではない特別支援教育5
不器用な子どもたちの感覚運動指導

「特別」ではない特別支援教育5不器用な子どもたちの感覚運動指導

好評6刷

感覚統合を背景にしたすべての子どもが楽しめる支援と指導

特別支援教育の体制づくりが進んでいる中で、すべての子どもが参画できるユニバーサルデザイン化がされたとは言えない現状もあります。本編では、不器用な子どもたちにもやさしい体づくりと心ほぐしの視点を取り入れた授業づくりについてまとめています。


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PDF EPUB
ISBN:
978-4-18-008524-8
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
6刷
対象:
幼・小・中
仕様:
A5判 128頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年12月16日

もくじ

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はじめに
第1章 今の子どもたちの身体の様子と社会的背景
1 はじめに
2 通常の学級で支援の必要な子どもの実態調査から
3 赤ちゃんの発達
(1)反射と学習
(2)はじめの一歩
4 最近の子どもたちの心と身体の特徴
5 感覚と運動の視点から
第2章 感覚と運動の機能
1 感覚とは
2 感覚統合とは
3 発達障害や最近の子どもによく見られる感覚運動機能の問題
(1)感覚刺激への過反応・低反応
(2)姿勢の維持やバランス保持の困難
(3)微細運動,協調運動の困難
4 感覚・運動機能の臨床観察法
(1)ソフトサインとは
(2)教室等でできる臨床観察
(3)反応様式の評価
5 感覚運動機能の問題と日常生活への影響
(1)計算が苦手な子
(2)黒板の字がうまく写せなかったり,図形がうまく描けなかったりする子
第3章 不器用さとは
1 不器用さとは
2 不器用の定義
3 不器用さの原因
(1)脳内のシステム
(2)感覚運動の統合の成立機序の問題と発達段階別臨床像と遊び
(3)不器用さの原因
4 運動面の問題(「不器用」)について
第4章 実践例から見る具体的取組
1 島根県の取組〜教育センターとT小学校の取組から〜
(1)学習の基盤づくり
(2)T小学校における身体に関する実態調査
2 A小学校の取組について
(1)太極拳の取組
(2)行進指導
(3)Aっ子クラブ
(4)実態把握
3 B小学校の実践
◎いろいろな動きを楽しむマット・平均台「にんにんランドへいこう!」
第5章 実践に役立つ具体的プログラム
1 身体的基盤を整える指導
姿勢をしっかりさせる(安定した姿勢)指導 /ものをしっかり受け止めるようになる指導 /身体の正中線,重心が自覚できるようになる指導 /手で身体を支え,前進させる指導 /姿勢を支え,スムーズに姿勢を変える指導 /バランスを養う指導 /ジャンプの指導 /歩く指導 /走る指導 /行進の指導 /四肢,両側の協調を高める指導
2 目と手の協応を促進する指導
ものをよく見て入れる指導 /開いて見ることの指導 /受け取らせる(キャッチ)・つく指導 /ものを引っかけたり,外したり,つまんだり,手を細かく操作する指導
3 体つくりの基本となる指導
動作の手順を覚えさせる指導 /空間をいっぱいに使わせる指導 /ゆっくりした動きの指導 /動作模倣の指導 /リズム感をもって全身を操作する指導 /人を意識し仲間との協力を促す指導 /踏ん張り感を意識させる指導
おわりに

はじめに

 【「特別」ではない特別支援教育】シリーズの執筆を始めてから4年が経過しようとしています。特別支援教育のシステムが実施され,6年が過ぎ,今現場では何が変わって,何ができるようになったのでしょうか。このシリーズの第1巻を書いたときに『現在の現場の状態を見ると,まだ特別支援教育を「特別な子どものため」に「特別な場所」でという考え方で進めているところも多く見られます。…自分は直接かかわりたくない,自分には関係ない,この子がいなかったら学級はうまくいく,といった旧来の考えを依然もっている教師も少なくありません。特別支援教育の本来の狙いには,特別な配慮のできる専門性をもった教員を育てることが目的の一つにあります。』ということを巻頭で述べました。これらのことは改善され,実現できたのでしょうか。確かに体制づくりは進み,先生方の知識も増えてきました。しかし,子どもたちの困っているところに着目し,すべての子どもが参画できる授業のユニバーサルデザイン化が進んだとはとても言えません。先生方個々の頑張りは素晴らしいものがありますが,トータルとしての意識改革や体制づくりが十分進んでいないのも事実です。「特別ではない」ということは「みんなの特別支援教育」ということです。「困った子」ではなく「困っている子」という観点でとらえ直し,子どもの実態が具体的にわかることで,適切な援助ができ,授業の進行や学級経営もスムーズになります。そうすると子どもたちの「わからない」「おもしろくない」といった二次的なストレスや歪みを防ぐことができ,「ワクワクする。ドキドキする」といった積極的な姿勢や感情が生まれてきます。

 本編では学校でできる「不器用な子どもたちの体づくり」について,感覚運動の背景からとらえ直し,体づくりと心ほぐしを特別支援教育の視点で取り入れた授業づくりについてまとめてみました。背景を考え,すべての子どもにやさしい授業づくりの一助にしていただけたらと考えております。


  2013年7月   著者 /中尾 繁樹

著者紹介

中尾 繁樹(なかお しげき)著書を検索»

関西国際大学教育学部教育福祉学科教授

大阪教育大学非常勤講師

神戸総合医療専門学校非常勤講師

文部科学省「学習指導要領改善のための調査研究」委員

日本小児科学会「学校保健と心の問題委員会」専門委員

日本LD学会特別支援教育士S.V.

神戸市,松江市,小野市,大阪府,大阪市他専門巡回相談員

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 読みやすい内容で、理解しやすかったです。
      2018/10/1640代・公務員
    • 中尾先生の講演を聴き、もっと詳しく知りたいと購入しました。お話を裏付ける内容で「うんうん」と思いながら読みました。具体的なプログラムが載っていたので、少しずつやっています。
      2018/8/2650代・小学校教員
    • 中尾先生のご講演を聞き、不器用な子の指導が通常学級でも必要だと痛感したため、購入しました。通常学級でも大変参考になる資料で、今後の指導に生かしていきたいと思います。
      2017/2/330代・小学校教員
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