- はじめに
- 1 学習指導案の理論と方法
- 1 なぜ,学習指導案を書くのか
- 2 なぜ,単元名や単元の指導計画に意を注ぐのか?
- 3 なぜ,「目標記述に命をかける」のか?
- 1 「知識」目標の理論
- 2 「技能」目標の理論
- 3 「思考,判断,表現」目標の理論
- 4 「主体的に学習に取り組む態度」目標の理論
- 4 「本時の展開」の理論を考える
- 1 目標達成に向けた本時の展開の構成について
- 2 授業仮説の理論
- 3 指導メモの発問,指示,補説(補足説明)の理論を考える
- 5 指導内容を決める理論を考える
- 6 板書の理論を考える
- 7 学習指導案を活用した事前,事後検討会の理論
- 8 学習指導案の理論を点検するチェックリスト
- 2 明日の授業づくりに役立つ!学習指導案の授業実践モデル
- 1 学習者である子どもにとっても実りのある研究授業をめざして
- 1 子どもの主体性を保障し,「分かる」「なるほど」が実感できる授業を
- 2 主体的・対話的で深い学びのある学習活動を
- 3 子どもが楽しくなる「秘密道具」の準備を
- 4 子どもの学びを促す発問の検討を
- 5 授業記録の蓄積を
- 6 効果的な学習活動をめざして
- 2 意図的,目的的な学習活動の「見える化」をめざした単元名や単元の指導計画の実際
- 1 学習活動の意図や目的を学習指導案に「見える化」させる理由
- 2 単元の指導計画に学習活動を位置づける目的
- 3 授業実践モデル 小学校第3学年社会科 「わたしのまちのすてきポイントを見つけて伝えよう」
- 4 授業実践モデル 小学校第3学年社会科 「119―守ろう わたしたちの安全―」
- 5 授業実践モデル 中学校社会科歴史的分野 「鎌倉幕府が滅亡した理由にせまる!」
- 6 子どもの知的好奇心が高まる「単元名」をめざして
- 3 具体的なゴールとなる「目標記述」が明示された学習指導案の実際
- 1 子どもが「分かる」「できた」が実感できる授業をめざして
- 2 達成目標として明示される目標記述の具体―単元目標編―
- 3 達成目標として明示される目標記述の具体―本時の目標編―
- 4 授業実践モデル 小学校第5学年社会科 「北海道のひみつを探ろう!」
- 5 授業実践モデル 小学校第3学年社会科 「119―守ろう わたしたちの安全―」
- 6 授業実践モデル 中学校社会科地理的分野 「南アメリカ州」
- 4 明日の授業で活用したい「本時の展開」の実際
- 1 子どもの主体性を保障し,「分かる」「なるほど」が実感できる授業
- 2 主体的な学びの土台となる子どもの「知る」学習活動
- 3 すべての子どもの学びの保障をめざした指導上の留意点
- 4 授業実践モデル 中学校社会科地理的分野 「中国四国地方」
- 5 授業実践モデル 中学校社会科地理的分野 「東北地方」
- 6 授業実践モデル 中学校社会科地理的分野 「ヨーロッパ州」
- 7 授業実践モデル 中学校社会科公民的分野 「企業の生産のしくみと労働」
- 5 板書型学習指導案の実際
- 1 1時間の授業を効果的に組み立てることをめざして
- 2 簡易版「板書型学習指導案」
- 3 初任者研修(校内研修)での活用
- おわりに
はじめに
小生の学習指導案との出会いは,学部3回生のときに受けた文部省(当時)小学校教員資格認定試験であった。三次試験は教育実習に代わるものであった。記憶をたどると,次のとおりである。
机の上には,3年生の国語と5年生の算数の学習指導案が配付されている。それぞれの学習指導案は,本時の指導過程の半分までが示されている。大学附属小学校の授業のビデオが,学習指導案が示されているところまで流される。試験の課題は,本時の指導過程の後半を埋めることであった。それまで学習指導案を一度も書いたことはなかった。「子どもの気持ちを考えて書こう」とだけ意識した。何とか合格し,小生の教員人生が決まった。
文部省は,教育実習に代わるものとして学習指導案を書かせることで,授業を進める力量を判断しようとしたのである。とても大切なことである。
このようにして,学習指導案が小生の脳髄に刻印された。
次の学習指導案との出会いは,高等学校での実習授業である。近世の商品作物である大和木綿で授業を創った。保仙純剛先生(折口信夫の高弟にして民俗学者)は内容の指導をしてくれたものの,学習指導案についての言及はなかった。これで中,高の社会科免許(当時)を得ることになった。
二つの学習指導案との出会いは,何とも心許ない。初任の名古屋市立昭和橋小学校で学習指導案について衝撃を受ける。小生の生涯の宝物となる。
本書では,小生が教員生活の中で大切にしてきた学習指導案の理論と方法を示した。『社会科教育』誌に2023年4月から2024年3月まで連載したものを再構成し理論編とした。そこに示された理論をもとにして,植田真夕子がより実践的な指導事例を執筆した。
本書は,新採用の先生,新採用の先生を指導するメンターの先生,校内の研究リーダーの先生,管理職の先生に手に取っていただきたい。また,教育行政で学校の授業研修を担当する指導主事の方々にも読んでいただきたい。
授業づくりに迷ったときに活用いただければ幸いである。
2024年8月 /米田 豊
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- 明治図書
- 指導案を書くことのねらいやポイント、読み取る視点などが参考になった。2024/9/530代・中学校管理職