- はじめに
- 序 子どもの個性と可能性を信じよう
- 1 保育者は1歳児の子どもたちの安全基地
- 2 信頼と愛着が育まれる人 ―第一の安全基地
- 3 成長をそのまま受け止めてくれる人 ―第二の安全基地
- 4 集団よりも一人ひとりの子どもと向き合う姿勢で
- T章 1歳児のことをもっと知ろう ―身体の発達・心の発達―
- 1 「行きたい!やりたい!」の気持ちが世界を広げる ―運動の発達
- 2 伝えたい思いが子どもと保育者をつなぐ ―言葉の発達
- 3 楽しいイメージが意欲を生み出す ―表象・象徴機能の発達
- 4 「自分を認めてほしい」の気持ちを大切に ―主体性の発達
- U章 保育所保育指針を生かそう
- 1 保育所保育指針から読み解く1歳児の生活・遊び
- 2 ポイントその1 生活と発達の連続性をふまえた保育
- 3 ポイントその2 養護と教育が一体となった営み
- 4 ポイントその3 一人ひとりの子どもが主体的に生きる手立て
- V章 生活・遊びの広がりをしっかりおさえよう
- 健康
- 1 子どもの健康を守って気持ちよい暮らしを保障しよう
- 2 こんな時どうする? 1歳児に起きやすい病気と対処方法
- 3 毎日のスタートは健康チェックから! 朝の健康診断のポイントとアドバイス
- 4 成長の喜びを実感しよう! 身体測定のポイントとアドバイス
- 5 気持ちのよい毎日が成長の秘訣! 毎日の衣類や清潔のポイントとアドバイス
- 安全
- 1 1歳児の好奇心は危険と隣合わせ
- 2 これだけは気をつけよう! 保育士のヒヤリ体験から学ぶ事故防止対応
- 3 いざという時にあわてないで! 園の安全対策のポイント
- W章 1歳児がすくすく成長する生活づくりのポイント
- 食事
- 1 離乳完了期の子どもの姿と保育者の関わり
- 2 甘えたり拒んだり! 依存と自立が共存する時期の援助のポイント
- 3 保育者のまねって楽しい! 共に暮らすことの意味
- 4 五感をフル活用! 目で食べる・舌で味わう・においに誘われる
- 5 失敗は成功のもと! 食事は身体機能の成長の時間
- 6 トラブルから学んでいく! 食事は心の成長の時間
- 7 食事の一環と考えよう! おやつの配慮点
- 8 自分の席にこだわる! 食べやすい環境づくり
- 9 目が離せない! アレルギー食への対応
- 排泄
- 1 排泄は身体のコントロール! 身体感覚を十分に経験することの意味
- 2 急がず!叱らず!ほめる! 自立のための道のりと援助のポイント
- 3 「気持ちいい」の気持ちを第一に! トイレ環境と働きかけの手順
- 睡眠
- 1 午後1回寝への道のり 発達に応じた睡眠の援助とポイント
- 2 よい睡眠がよい生活リズムをつくる! 1歳児の生活と睡眠パターン
- 3 安心できる時間をつくる! 睡眠時の子どもの心理の読み解きアドバイス
- 4 心地よい睡眠と目覚めをつくる! 入眠時と目覚めの援助のポイント
- 5 ご機嫌ナナメな時もある! 不快時の援助のポイント
- 衣類の着脱
- 1 自分でやりたい! 着脱時の見守りのポイント
- 2 「給食−排泄−着脱−午睡」 生活サイクルの中で考える着脱の自立
- 3 「○○しやすい」の視点が大切! 衣服・持ち物・靴選びのポイント
- 4 じっくり取り組もう! 着脱や身支度の時間を保障する環境づくり
- X章 1歳児の遊びがいきいきする支援とアイデア
- 1 豊かな遊びが豊かな育ち合いになる
- 2 遊びを通して豊かな経験をつむ! 遊びを支援する5つのポイント
- 3 のびのび自己発揮できる! 遊び空間づくりの工夫とポイント
- 4 写真でわかる! 豊かな表現力や人と関わる力が育つ遊び
- 5 遊びのストックをたくさんつくろう! テーマ別 オススメの遊び
- Y章 保育課程・指導計画のビジュアルガイド
- 1 基本をしっかり押さえよう! 「保育課程」と「指導計画」の丸わかり解説
- 2 実際に書いてみよう! 年間指導計画,月間指導計画の作成例とポイント
- 3 日課をマンネリ化しない! 1歳児クラスのデイリープログラム
- 4 目の前の子どもが第一! 指導計画作成と実践との関係
- Z章 快適な環境づくりの決定版マップ
- 1 写真でチェック! 生活の拠点を意識した保育室の空間デザイン
- ぬくもり
- 安心感
- 区切られた空間とスムーズな動線
- 安全
- 清潔・衛生管理
- 静的・動的な遊びができる
- 遊び込むことができる
- 2 園の生活に潜入! 子どもたちの一日から見る環境づくりのポイント
- 登園
- 入室・朝のお支度
- 入室→遊びのコーナーへ
- 片づけ
- お茶を飲む
- 排泄の確認
- 外遊びの準備
- 今日のねらい
- 着替え・排泄・手洗い/午睡の準備
- 食事
- 食後→午睡へ
- 順次午睡
- 目覚め・排泄・遊び
- おやつ
- 午後の遊び
- 夕方の保育
- 順次降園
- [章 保育者も保護者も子育て力アップ
- 1 保育の基本を再チェック! 1歳児の保育と保護者支援のポイント
- 2 保護者も成長できる! 保護者支援のための強力サポート
- 3 こんな時どうする? 問題解決のための保護者対応スキル
- 4 スムーズな連携にする! 保育者と保護者 ―相互理解のための必須知識
はじめに
21世紀を迎えてから,早くも10年以上が経過しました。前世紀から今世紀にかけて著しく進んだわが国の少子高齢化は,子どもをめぐる様々な問題や課題を浮き彫りにしてきました。とりわけ乳幼児の子育て及び保育をめぐる課題はその中でも高い関心を呼び,保育界においてはますます低年齢からの保育ニーズに対応した実践の展開や制度の転換が求められてきています。中でも,子育て家庭における子育てと仕事の両立を図るための保育サービスの充実は,低年齢段階での保育所への入所ニーズを一層高めています。その動向は,0歳からの保育所への入所数が近年非常に高まってきていることに結びついています。かつては,0歳児から保育所に入所する子どもたちは非常に少なく,前世紀末にはようやく1%台から2%台に達する程度でした。しかし1997年度以降,それまで特別保育という色合いの濃かった乳児保育が一般化され,すべての保育所で実施することが求められるようになり,その割合は次第に高まってきました。2010年代には遂に4%台から5%台に達し,その潮流は1,2歳児の入所割合を一層高めることに結びついてきました。今日では,保育所入所児数に占める1,2歳児の割合は30%を超えるに至っています。3歳未満児の4人にひとりが保育所に通い,保育所入所児の3分の1以上が低年齢児保育の時代を迎えているのです。その割合は今後一層高まることでしょう。
近年特に保育界で話題となっている保育所待機児童の問題とその解決の課題は,このように乳児保育,低年齢児保育の割合が急速に高まっていることと深く結びついています。待機児童の問題の中心は,0歳から2歳までの乳幼児の保育所への入所が狭き門である,というところに特徴があります。
さて,このように0歳からの保育の役割とその質の維持向上はますます重視されています。本書は,このような時代状況を背景にして,一層その重要な意義が高まりつつある0歳からの保育に関する最新の知識,技術,そしてマインドに関し,鋭意力を注ぎ,編纂されたものです。
本シリーズの第2編『1歳児のすべてがわかる!』は,前編の『0歳児のすべてがわかる!』に続き,子どもたちの生活と発達の連続性や保護者との連携を重視して,同じ章の構成を考えて編集されています。前編とのつながりをふまえながら,同様に活用していただければと思います。
さて,古くから「三つ子の魂百までも」ということわざが用いられてきました。ここでいう「三つ子」とは,数え年で3歳にあたる子ども,つまり現代の満年齢で言いますと,実は1歳から2歳にかけての子どもを意味しています。まさに本書がふれている時期の子どもにあたるのです。この時期の子どもたちの特徴は,いよいよ主体的な自我の心を芽生えさせ,自己意識が育ち始め,様々な場面で自己主張を繰り広げようとしていきます。一人ひとりの個性をしっかりと受け止め,支え,育むことに意を注ぐことが大切です。
2013年8月 /網野 武博
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- 明治図書