- まえがき
- Chapter1 授業の基本編
- 【1.単語,語彙】
- 1 単語練習の工夫
- 2 単語テストをする
- 3 フラッシュカード
- 【2.辞書の活用】
- 1 辞書をそろえる
- 2 辞書の使い方に慣れる
- 3 辞書を活用する
- 4 発音指導
- 【3.予習】
- 1 予習はなぜ大切か
- 2 予習で目指すべき姿
- 3 予習ができない生徒をどうするか
- 4 予習ができないような授業づくりをしない
- 【4.板書】
- 1 板書づくりと私
- 2 板書による文法説明の留意点
- 3 板書を使って文法説明をする際に…
- 4 過去のノートに戻ることで板書を写すことの大切さを教える
- 5 板書は授業の記録がわり
- 【5.ノート】
- 1 ノートづくりに取り組ませる
- 2 よいノートづくりを継続させるために
- 【6.復習・宿題】
- 1 授業で復習をする難しさ
- 2 授業で復習をする際に
- 3 宿題は予習と音読
- 【7.教科書の扱いについて】
- 1 「教科書を教える」から「教科書で教える」へ
- 2 上手に「教科書を教える」
- 3 和訳解説で上手に「教科書を教える」
- 4 「教科書で教える」をやってみよう
- 【8.テスト】
- 1 テストを生かす
- 2 テストづくりの心がけ
- 3 テストづくりの工夫
- 【9.ルーティン化の効用】
- 1 〈ルーティン化〉の効用
- 2 ルーティン化のデメリット
- 3 非ルーティン化の効用を生かし,新しい「英語授業のスタンダード」へ
- コラム 〈教師の負担軽減〉について
- Chapter2 生徒指導編
- 【1.英語授業の生徒指導について考える】
- 1 授業における生徒指導を考える
- 2 「やる気をもってちゃんと授業を受けられる」ように
- 【2.学ぶルールを身につけさせるために―ちゃんと授業を受けられるようにするために―】
- 1 「学ぶルール」から「教えるルール」へ
- 2 授業の始まりのルーティン化
- 3 活動のルーティン化(BGM式ビンゴ)
- 4 活動のルーティン化(学習活動全般)
- 5 授業の終わりの〈ルーティン化〉
- 6 「ちゃんと」学習させるために
- 【3.学ぶ意欲をもたせるために―やる気をもって授業を受けさせるために―】
- 1 意欲をもたせることの難しさについて
- 2 意欲をもたせるためにできること・「ほめること」
- 3 意欲をもたせるためにできること・「興味をもたせること」
- 4 意欲をもたせるためにできること・非ルーティンの効用
- 5 意欲をもたせるためにできること・「達成感をもたせること」
- 6 意欲をもたせるために・「知的に楽しめる話をすること」
- 【4.「やる気をもってちゃんと授業を受けられる」,その先(の先)へ】
- Chapter3 文法指導編
- 【1.中学生に文法を説明することは難しい】
- 1 文法説明は簡単?
- 2 生徒が分かるように文法を説明するにはどうしたらよいのか
- 【2.ワークシートによる文法説明の「落とし穴」】
- 1 「誰にでもできる文法説明」?
- 2 ワークシートによる文法説明の落とし穴
- 3 ワークシートによる文法説明を改善するために
- 【3.授業中のドリルをどうするか】
- 1 授業中にドリルをしてはいけない!?
- 2 オリジナルドリル
- 【4.「楽しい文法説明」は可能か】
- 【5.英語授業の新しいスタンダードを目指して】
- 1 文法指導を見直そう
- 2 「理解する」ことも「喜び」である
- 3 新しい英語授業のスタンダードに向けて
- あとがき
まえがき
2007年〜2008年に出版した『英語表現・文法指導アイデアワーク』シリーズを「ワークシート編」,2009年の『英文法の基礎・基本&面白解説ワーク』シリーズを「ドリル編」とするなら,本シリーズは「理論と実践編」とでも呼べるものです。中学校で英語を担当する教師にとってすぐに役立つアイデアや工夫,実践から,じっくり役立つ理論や考え方など,さまざまな意味で「365日」役に立つ内容になっています。そして,本シリーズではこれまで英語教育関係の本で語られることがあまりなかった,2つのことに挑戦しています。
その1つは「授業づくりにおける経験知」を伝えようとしたことです。
私が中学校で英語を教えるようになって十数年経ちます。何年経っても授業は試行錯誤の連続ですし,理想の授業に迷いを感じるのは,教壇に立ち始めた頃と変わりません。ただ,私が先輩の英語教師から受け継ぎ実践してきたことを,次の世代に伝えていかなければならないという思いだけは,少しずつ大きくなってきました。
2010年代には,学校現場で働く数多くの教師が退職し,新しい教師が教壇に立ちます。自治体によっては,この10年間で学校現場の半数が退職されるケースもあります。学校ではいったいどのようなことが起こるのでしょうか。
教師が教科指導の専門としてある程度一人立ちするまでに,10年近くかかります。ベテランの減少と若手の増加。専門的知識や技術は研修等でも伝達されるでしょうが,経験や勘,コツなどの知恵の部分については学校現場での経験の中でないと継承が難しいものです。年齢構成のアンバランスな学校現場の中で,授業づくりの知恵はどうなっていくのか。これが私の心配していることです。本シリーズではこのような経験知に相当する部分を,実践の中で表現するよう心がけました。うまくいったかどうかは分かりませんが,読者の皆さんにご判断いただければと思います。
2つ目の挑戦は「新しい英語授業のスタンダード」の提案です。
いま中学校の英語教育は,あるべき姿と現実の姿の間で苦しんでいるように思えます。その狭間で私自身も苦悩していますし,おそらく多くの先生もまた,私と同じような思いをされているのではないでしょうか。高すぎる理想,手の届かない目標,輝かしすぎる実践。地に足が付いたスタンダードな英語授業像を切望しているのは,経験の浅い教師に限らないのではないかと思います。本シリーズでは,英語教育を取り巻く諸状況を視野に入れながら「新しい英語授業のスタンダード」を理論をもとに探っていきます。大きな挑戦であるがゆえに,成功しているかどうかは分かりませんが,こちらも読者の皆さんのご判断をお待ちしたいと思います。
最後になりましたが,本シリーズを世に送り出すにあたり,明治図書の木山麻衣子さんはじめ,編集部の皆様に多大なるご支援をいただきました。思わぬ大部となり,お骨折りいただくことが多くなったことに深く感謝申し上げます。
2012年5月 /笹 達一郎
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- 明治図書