- はじめに
- Chapter1 学級づくりに挑む!―成功の鍵はココにある―
- Section 1 4月!最初の3日間運命を左右するルール決め
- ルールの成立について考え直そう!
- Section 2 指導のチャンス「教育的瞬間」を見逃すな
- 指導のチャンスをとらえるセンスを鍛えよう!
- Section 3 一瞬の状況判断が指導法を決定する
- 本質を見極める力を身につけよう!
- Section 4 教育のチャンスにこそ力をフルに発揮すべし
- その瞬間に力が出せるよう普段から準備しよう!
- Section 5 前年度までのクラスの情報を手に入れるポイント
- 引き継ぐこと・自分の目で確かめることを分けてみよう!
- Section 6 問題が起こる前兆をキャッチするポイント
- 常にアンテナを張りめぐらせよう!
- Section 7 子どもと向き合う心がまえ(1)─教育は教師自身を省みることから─
- 他者変革は自己変革の産物!
- Section 8 子どもと向き合う心がまえ(2)─今と未来をつなぐ発想を─
- つなぐ発想を身につけ力量を高めよう!
- Section 9 子どもと向き合う心がまえ(3)─教師の願い─
- 教師の願いを“my格言”にしよう!
- Section 10 子どもと向き合う心がまえ(4)─否定の中に肯定をみる─
- 子どもの可能性を見抜いて導こう!
- Section 11 子どもと向き合う心がまえ(5)─子どもの成長の仕方─
- いつかきっと!を信じよう!
- Section 12 個と集団の両方を意識した指導の方法
- 個と集団に対するセンサーを養おう!
- Section 13 全ての子どもがクラスの一員であることを実感できる方法
- 全員が認められる教室をめざそう!
- Section 14 全ての子どもが認め合える学級通信
- クラスの子ども全員が載った学級通信をつくろう!
- Section 15 全ての子どもが輝くイベント
- その子の得意なことが現れる大会をしよう!
- Section 16 高学年女子の人間関係の指導
- 女子の指導がなかまづくりの鍵を握る!
- Section 17 真のなかまづくりをめざすポイント
- ただのなかよし集団から脱却しよう!
- Section 18 信頼を得るほめ方・叱り方(1)〈基本編〉
- 教師力の基本中の基本を押さえよう!
- Section 19 信頼を得るほめ方・叱り方(2)〈中級編〉
- 効果の上がるほめ方・叱り方をしよう!
- Section 20 信頼を得るほめ方・叱り方(3)〈上級編 その1〉
- 子どもが確実に成長するほめ方・叱り方を学ぼう!
- Section 21 信頼を得るほめ方・叱り方(4)〈上級編 その2〉
- まちがって叱ったら潔くあやまろう!
- Section 22 保護者に対する教師力(1)─親と向き合う─
- 保護者対応力を身につけよう!
- Section 23 保護者に対する教師力(2)─親と連絡をとる─
- 注意する時のポイントを学ぼう!
- Section 24 保護者に対する教師力(3)─保護者に語りかける─
- 子育て話の例を親に伝えよう!
- Section 25 保護者に対する教師力(4)─保護者に語りかける─
- 子育て話の例を親に伝えよう!
- Chapter2 授業づくりに挑む!―教師はココで勝負する―
- Section 26 子どもの心をわしづかみ!全てが決まる授業の「導入」
- 授業の始まりの意味を考えよう!
- Section 27 よい授業は抽象的な言葉をたたっ斬る
- 子どもの姿を具体的に構想しよう!
- Section 28 授業の技を磨く(1)─教授行為の定義と種類─
- 授業中の教師の行為を考えよう!
- Section 29 授業の技を磨く(2)─教授行為の原則─
- 教授行為は徹底的に計算しよう!
- Section 30 授業の技を磨く(3)─教師の言葉を見直す─
- 子どもに伝わる言葉を選ぼう!
- Section 31 授業の技を磨く(4)─指示だけ授業からの脱却─
- 指示したことは必ず評価しよう!
- Section 32 授業の技を磨く(5)─3原則は「焦点化」「順序性」「具体性」─
- 3原則は常に意識しよう!
- Section 33 授業の技を磨く(6)─教授行為の持ち駒を増やすコツ─
- どんな場面にも対応できるよう日々トレーニングしよう!
- Section 34 授業の技を磨く(7)─板書のポイント─
- 課題の明示と意見の集約をしよう!
- Section 35 個を鍛える!(1)─授業中の作業力を鍛えるポイント─
- 自分でやる子どもに育てよう!
- Section 36 個を鍛える!(2)─発言力を鍛えるポイント─
- いかにして考えを引き出すか!
- Section 37 個を鍛える!(3)─聴く力を鍛えるポイント─
- いかにして聴き取らせるか!
- Section 38 個を鍛える!(4)─家庭学習を進んでする個の鍛え方─
- 自主的な学習をする力を鍛えよう!
- Section 39 授業の常識を疑う(1)─学習意欲は本当に高められるのか─
- 授業の常識を疑うことで教師力の幅を広げよう!
- Section 40 授業の常識を疑う(2)─たった1時間の授業の中に子どもの変化など見えるのか─
- 伸びが見える場合と見えない場合があることを知ろう!
- Section 41 授業の常識を疑う(3)─公開授業の落とし穴─
- 見えない本質の重要性を意識しよう!
- Section 42 授業の常識を疑う(4)─「言語活動の充実」の真意─
- 論理的思考力をはぐくもう!
- Section 43 指導案づくりの力をアップさせる(1)─指導案なんてこわくない─
- 指導案づくりを楽しもう!
- Section 44 指導案づくりの力をアップさせる(2)─「児童観」の書き方─
- 「備わっていること」と「課題」を明確にしよう!
- Section 45 指導案づくりの力をアップさせる(3)─「教材観」の書き方─
- 一般論だけではなくクラスの子どもに即して書こう!
- Section 46 指導案づくりの力をアップさせる(4)─「指導観」の書き方─
- 課題克服の手だてを書こう!
- Section 47 指導案づくりの力をアップさせる(5)─文章表現がうまくなるコツ─
- 自分の考えを頭の中から取り出そう!
- Section 48 指導案づくりの力をアップさせる(6)─「指導上の留意点」の書き方─
- 手だてと目的を具体的に盛り込もう!
- Chapter3 レベルアップに挑む!―ココが成長の分かれ道―
- Section 49 成長・発達する人としての教師
- 教師の力量形成を考えよう!
- Section 50 教師に危機が訪れる時期
- リアリティ・ショックと中年期の危機!
- Section 51 新人教師はどのような困難に遭遇するのか
- リアリティ・ショックの内容を知ろう!
- Section 52 新人教師の成長のヒント(1)
- リアリティ・ショックを吹き飛ばそう!
- Section 53 新人教師の成長のヒント(2)
- リアリティ・ショックに打ち勝とう!
- Section 54 中年期の危機とは
- 教職10〜20年頃の危機について考えよう!
- Section 55 中年期の危機を乗り越えるヒント(1)
- A教諭の事例から学ぼう!
- Section 56 中年期の危機を乗り越えるヒント(2)
- 学校ぐるみで成長しよう!
- 付録 4月につくりたい学級経営プランの書き方
- 1年間の見通しを持とう!
- 引用文献
- おわりに
はじめに
教師として,次の二つの状態を思い浮かべてください。
A:教育現場の困難に悩んでいる
B:教育現場の困難に対してがんばろうとしている
あなたはどちらの先生でしょうか?
Aですか? Bですか?
ほとんどの先生が,両方が混在した状態にあると言ってよいでしょう。私の18年間の教師生活も,いつも両方の状態にありました。両方とも真実なのです。
ただ最近では,Aの「悩み」の方が大きくなってBの「がんばり」が押しつぶされそうになっておられる先生が多く見られます。
なぜそうなるのでしょう?
答えは一つです。
「どのようにがんばっていいのか分からない」からです。
そのような声に少しでもお応えしたいと思って著したのが本書です。
本書をつくるにあたって,念頭においたことは次の3点です。
@ 教師として生きていく上で必ず身につけたい知識やスキルを示す
A 教師と子ども,そして保護者の実例(経験談)を紹介することで,実際の教育現場を再現しながら具体的に教師力アップの策を示す
B 「学級づくり」「授業づくり」「教師の成長」を3本柱として,全てのポイントを示す
「兆」(きざし)という漢字があります。
この字に「(略)」(てへん)をつけると,「挑む」となります。
「(略)」(しんにょう)をつけると,「逃げる」となります。
「兆」(きざし)に手をさしのべると「挑む」となり,
「兆」(きざし)から離れていくと「逃げる」となるのでしょう。
ところで,「兆」(きざし)とは何でしょうか?
私は「人の成長のチャンス」だと考えます。
ただしやっかいなことに,この「兆」(きざし)は,「外側は困難の殻でおおわれ,その内側にチャンスが潜んでいる」の で,ちょっと見ただけでは,チャンスだということが分からない人が多いのです。ですから,一見すると困難のかたまりに思える「兆」(きざし)に恐怖を感 じ,手をさしのべることをせず,離れていってしまうのです。実は,内側にものすごく大きなチャンスが待っているかもしれないのに……。
このチャンスをつかむには,「逃」げずに「挑」むしかないのです。ただし「挑み方」がとても重要です。
本書は,そのような「教師の挑み方」を紹介したものです。
ささやかな内容ではありますが,教師としてレベルアップを望んでおられる先生方のお役に立つことができれば望外の喜びです。
2013年2月 /高見 仁志
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- 明治図書
- まず、「はじめに」を読んでハッとさせられました。「兆(きざし)」に手をさしのべることなく、「挑む」ことから「逃げよう」としている自分の心の中を見透かされたような気持ちになりました。私のように中年期を超えて次のステージへさしかかった者なんぞは、「わかってますよ。でもね・・・」と言い訳をしながら読みはじめましたが、読み進めて行けば行くほどに子どもたちへの愛おしさが溢れてきて、読み終わる頃には、「もうちょっとがんばるか」という気力がわいてきました。この本、「こんなときは、こうすれば解決!」という、単なるHow to本ではありませんな。若い先生にも、ベテランと呼ばれる先生にもぜひ読んでいただきたい一冊です。2013/6/17くろすけ