- はじめに
- 第1章 「日常生活の指導」とは
- 1 「領域・教科を合わせた指導」とは
- 2 日常生活の指導のねらい
- 3 「日常生活動作(ADL)」と「日常生活の指導」
- 4 時間割上に見る「日常生活の指導」
- 5 「日常生活の指導」の留意点(その1)
- 6 「日常生活の指導」の留意点(その2)
- 7 「日常生活の指導」の留意点(その3)
- 第2章 発達チェックのためのアセスメント
- 1 「MO教材アセスメント」の作成経緯と改訂経緯
- 2 「MO教材アセスメント2013年度版」(複写可)
- 3 各シートの分かれ目
- 4 「MO教材アセスメント簡易評価表」(複写可)
- 第3章 指導の実践と教材の工夫例
- §1 「玄関」での工夫
- 1 玄関での「靴の脱ぎ履き」について
- 2 【シート3】の子どもに対しての工夫
- 事例@ 自分の場所と友達の場所の区別がつきにくい子どものために(その1)
- 事例A 自分の場所と友達の場所の区別がつきにくい子どものために(その2)
- 3 【シート2】の子どもに対しての工夫
- 事例B 靴の左右を間違えて履いてしまう子どものために
- 4 【シート1】の子どもに対しての工夫
- 事例C 靴箱の枠内に靴を入れることが難しい子どものために(その1)
- 事例D 靴箱の枠内に靴を入れることが難しい子どものために(その2)
- §2 「荷物整理」での工夫
- 1 「荷物整理」のバリエーション
- 2 【シート4】の子どもに対する支援
- 事例@ 荷物整理の途中で他のことが気になってしまう子どものために
- 3 【シート3】の子どもに対する支援
- 事例A 実物同士なら「同じ」と理解できる子どものために
- 4 【シート2】の子どもに対する支援
- 事例B 写真や絵で示された荷物を入れることが難しい子どものために
- 事例C 友達の場所と自分の場所を写真で区別することが難しい子どものために
- 5 【シート1】の子どもに対する支援
- 事例D 荷物を手に取って持ち上げられない子どものために
- 事例E 荷物(連絡帳・給食袋)に手が伸びない子どものために(その1)
- 事例F 荷物(連絡帳・給食袋)に手が伸びない子どものために(その2)
- §3 「着替え」での工夫
- 1 「着替え」のバリエーション
- 2 【シート4】の子どもに対しての工夫
- 事例@ 下着シャツが出てしまう子どもに対して
- 事例A ジャンパーを脱ぐ時に裏脱ぎになってしまう子どもに対して
- 事例B ボタンがずれてしまう子どもに対して
- 事例C ズボンが裏脱ぎになってしまう子どもに対して
- 事例D 「ブティック畳み」で反対に畳んでしまう子どもに対して
- 3 【シート3】の子どもに対しての工夫
- 事例E 前後を逆に着てしまう子どもに対して(その1)
- 事例F 前後を逆に着てしまう子どもに対して(その2)
- 事例G 前後を逆に着てしまう子どもに対して(その3)
- 事例H ボタンがずれてしまう子どもに対して
- 4 【シート2】の子どもに対しての工夫
- 事例I 服を畳む時,折り目を理解することが難しい子どものために(その1)
- 事例J 服を畳む時,折り目を理解することが難しい子どものために(その2)
- 事例K 服を畳む時,折り目を理解することが難しい子どものために(その3)
- 事例L 服を畳む時,折り目を理解することが難しい子どものために(その4)
- 事例M ハンガーに服を掛けることが難しい子どものために(その1)
- 事例N ハンガーに服を掛けることが難しい子どものために(その2)
- 事例O ハンガーに服を掛けることが難しい子どものために(その3)
- 5 【シート1】の子どもに対しての工夫
- 事例P 自力で脱ぐことが難しい子どものために
- 事例Q 服を脱いだら,そのまま床に落としてしまう子どもに対して
- 事例R ジャンパーをハンガーに掛けることが難しい子どもに対して
- §4 「朝の会」での工夫
- 1 「朝の会」のバリエーション
- 2 【シート4】の子どもに対する工夫
- 3 【シート3】の子どもに対する工夫
- 4 【シート2】の子どもに対する工夫
- 5 【シート1】の子どもに対する工夫
- §5 「給食準備」での工夫
- 1 台布巾を畳む
- 2 机を拭く
- 3 給食着を着る
- 4 牛乳を配る
- 5 お皿を配る
- §6 「掃除」での工夫
- 1 床をほうきで掃く
- 2 ちり取りでゴミを取る
- 3 バケツに水をくむ
- 4 床を雑巾がけする その1(床の道しるべに関して)
- 5 床を雑巾がけする その2(雑巾の持ちやすさに関して)
- 6 雑巾を干す
- CD収録内容/イラスト一覧 雛形ワードファイル
はじめに
私は,教員として養護学校(現特別支援学校)に勤務し15年が経ちました。その間,「個別学習」の教材(教育課程上,「自立活動」や「国語・算数」)を特に熱心に研究し,認知発達で言うと6カ月〜3歳程度の子どもの教材を作り続けてきました。
そのような中で,常に「机上で学習したことが日常生活でどのようにいきるのか?」ということが頭から離れませんでした。学校の授業は「個別学習」だけではなく「日常生活の指導」にも多くの時間が費やされています。
最初は机上での学習と日常生活の指導の関連もあまり分からないでいたのかもしれません。しかしながら,教員を続けていくうちに少しずつ「個別学習」と「日常生活」の関連が見えてきました。そして,「この子どもの学習の段階がこの程度だから,日常生活の指導でもこのような環境設定をすればよいかもしれない」というアイデアが湧くようになりました。
「日常生活の指導」では,生活年齢が大きくかかわっています。小学1年生と中学1年生ではたとえ机上での学習課題が同じ程度であっても,日常生活でできることは大きく違うのです。しかしながら,一方で,認識力が全く関係ないかというと,そうではないことも体感してきました。
子どもの学習段階を意識して指導することで,見違えるほど「日常生活の指導」での子どもの様子が変わってきます。本書では,学習段階としての「MOアセスメント」と「日常生活の指導」を照らし合わせて指導しています。子どもによる個人差もありますので,「MOアセスメント」が絶対的とは言いませんが,簡略にできる本アセスメントを「目安」として用いてみていただき,本書に掲載した指導アイデアを試してみていただければ幸いです。
「学習段階に相応した日常生活の指導をしなければならない」と固定的に考えるのでなく,「子どもの実態に応じて,できなければ1つ前の段階に下げ,できたならば1つ上の段階に上げればいい」という柔軟な発想で対応するとよいでしょう。子どもにとって「できる」環境を見つけ出すことが大切なのです。ぜひ数多くの「できる」を子どもとともに見つけ出していただきたいと思います。
/大高 正樹
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- 明治図書
- 日常生活についてのイラストが使いやすく、保護者の方にも紹介しています。自身で作ることが大変なものもあり、好評です。2020/10/560代・女性
- 写真が豊富。資料も充実していました。2015/5/3130代・小学校教員