- 第1章 こうすれば必ずうまくいく! 数学レポートを成功に導く5つのキーポイント
- キーポイント1 どのようなテーマを設定するのか
- キーポイント2 どのように授業との関連付けを図るのか
- キーポイント3 どのようなルールや書式で書かせるのか
- キーポイント4 どのように生徒のレポートを評価するのか
- キーポイント5 書くことが苦手な生徒への支援をどうするのか
- 第2章 生徒の実物作品入り解説でよくわかる! 数学レポートの実践事例
- 1 今日の運勢は? 文字の式(1年)
- 2 数の鎖 方程式(1年)
- 3 曲線を含む図形の面積 比例と反比例(1年)
- 4 折り紙を切って模様をつくろう 平面図形(1年)
- 5 立方体の切り口はどんな形? 空間図形(1年)
- 6 500円玉貯金の不思議 式の計算(2年)
- 7 わかりやすい条件整理の方法は? 連立方程式(2年)
- 8 直角三角形の中にできる四角形は? 一次関数(2年)
- 9 外角の和は本当に360°? 平行線と角(2年)
- 10 三角形の中点を結ぶと 三角形と四角形(2年)
- 11 「これってどうなの?」確率の実験で検証しよう 確率(2年)
- 12 乗法公式の不思議 式の展開と因数分解(3年)
- 13 わりきれない分数は必ず循環小数になる? 平方根(3年)
- 14 バビロニアの数学に挑戦しよう 二次方程式(3年)
- 15 正方形を分割した面積 二次方程式(3年)
- 16 変化の割合の不思議 2乗に比例する関数(3年)
- 17 頂角36°の二等辺三角形 図形の相似(3年)
- 数学レポートQ&A
- 参考文献
はじめに
平成20年3月,新学習指導要領が公表されました。その中に「数学的活動の過程を振り返り,レポートにまとめ発表することなどを通して,その成果を共有する機会を設けること」という一文があります。数学科におけるレポートとは,どうあるべきなのでしょうか。それには様々な答えがあると思いますが,私たちは「数学の授業を受けた後に,学んだことをまとめ直す形のレポートを作成させる実践」を提案したいと思います。
もし数学の授業で,生徒自らが,自分の考えをいろいろな方法で自由に表現することができたら,どんなにすばらしいことでしょう。私たちはこの理想に迫るために,以下の2点を実践しました。まず1つ目に,授業中に生徒が自分なりの考えをもち,表現しなければならない場面をつくりました。そして2つ目に,その数学の授業を振り返り,自分の考えを文章でまとめ,自分の考えをさらに深める数学レポートを作成させたのです。
当然ですが,レポートを作成すること自体が最終目的ではありません。ただ,レポートを作成させることが,生徒たちの「数学的な見方や考え方」「思考力」「表現力」をはぐくむことについて有効な手段であることには間違いありません。生徒たちは,レポートの作成を通して「わかったつもりになっていたが,本当はよくわかっていなかった」と自分の理解を認識し,「授業を基に,新たな自分の課題に気付いた」と自分の課題を発見しています。
この本では,私たちがこれまで行った授業,そしてその後にこのようなレポートができたという事例を紹介しています。多忙な毎日の中,提出されたレポートの一つひとつに目を通すのは大変です。しかし,そのレポートを読んで,生徒のすばらしい考えや発想に出会ったときのうれしさや喜びは,何とも言えないものがあります。この喜びや感動を多くの人に伝えたいという思いで,この本をつくりました。各学校での実践に少しでも参考になるところがあれば幸いです。
平成23年8月 /熊本大学教育学部附属中学校数学科
各分野、各学年の実践レポートのサンプルは見事なものですが、それを支える多数のレポートが手元に資料としてあるからこそ、このような多様のレポートの紹介が可能となったのでしょう。
第1章の数学レポートを成功に・・・・も、巻末の数学レポートQ&Aも、長い継続実践なくしては書けない豊富な内容で、新たに実践する人たちへの素晴らしい水先案内書となっています。おすすめの一冊です。