- まえがき
- 第1章 教育の情報化とExcel VBA
- 1−1 教育の情報化
- 1 二つの情報化
- 2 遅れをとるIT利用技術
- 1−2 学校現場に直結したパソコン利用
- 1 パソコン活用とExcel VBA
- 2 Excel VBAの活用能力
- 1−3 VBAマクロに求められるもの
- 1 エクセルの先にあるもの
- 2 VBA技術者の不足
- 3 オープンシステムとしてのVBAマクロ
- 1−4 シンプル イズ ベスト
- 第2章 Excel VBAの概要
- 2−1 VBA・マクロの基礎知識
- 1 VBA
- VBAは言語/VBAの特徴
- 2 マクロ
- マクロはプログラムの一種/VBE(Visual Basic Editor)について
- 2−2 VBAマクロで出来ること
- 1 データの転送
- 2 集計表から個票の作成
- 3 診療予約の管理
- 2−3 VBAマクロ作成の手順
- 1 「成績票作成マクロ」の作成手順
- どのようなマクロを作ればよいのか,まず考えます/画面表示またはプリントアウトする書式をデザインします/処理に必要なデータを用意します/VBEを使ってマクロを作成します/マクロ実行ボタンを配置します/テストラン
- 2 ユーザーフォームについて
- 【コラム】 高等学校の情報教育に「プログラミング」を
- 第3章 マクロ作成の実際
- 3−1 マクロ作成のための準備
- 1 パソコンのセキュリティレベルを下げる
- 2 行列番号の変更
- 3−2 マクロ作成の基本
- 1 遊園地の入園料算出マクロの作成
- 作成するマクロの概要/Excelシートにデータ表示用窓口をデザインします/マクロを記入する/マクロを所定の場所に移動/ワークシートにマクロボタンを設置します/他
- 2 DVDレンタル料金算出マクロ
- エクセルシートに表示画面をデザインします/マクロを作成します/マクロの貼り付け/ボタンの配置
- 3 マクロ作成の留意点
- わかりやすいマクロを作る/難しいステートメントはできるだけ使用しない
- 3−3 ステートメントの意味と役割
- 1 ifステートメント
- 2 do until 〜 loop ステートメント
- 3 for 〜 next ステートメント
- 4 SET ステートメント
- 5 printout ステートメント
- 3−4 部員照会システム
- マクロ作成の手順
- シートの画面設計/VBAマクロの作成/コードウィンドウへのコード貼り付け/マクロ実行ボタンの配置/マクロの多様な表現/マクロ作成場所について/エラー処理について
- 3−5 成績表示システム
- マクロ作成の手順
- シートの画面設計/VBAマクロの作成/マクロのコードウィンドウ貼り付け/マクロ実行ボタンの配置
- 3−6 成績票作成システム
- どんなマクロを作成するか
- 3−7 教科研究会の会計管理
- どんなマクロを作成するか
- シートに関するオブジェクトを,簡単な変数に置き換えます/セル入力データを,適当な変数に取り出します/収支元帳のシートの空いている行を見つけます/収支元帳にデータを転送します/「残高」の金額を求めます
- 教科研究会の会計管理(応用)
- 1 収支科目ごとのシートの指定
- 2 「合計」欄の金額計算
- 3−8 体育館利用のスケジュール管理
- 1 予約実行のマクロ
- 2 予約確認のマクロ
- 3−9 班別点呼の確認システム
- 1 班員表示のマクロ
- 2 点呼確認処理のマクロ
- 3−10 提出物チェックシステム
- マクロの作成手順
- 提出者登録のマクロ
- 未提出者表示のマクロ
- 3−11 調査書作成システム
- コードの作成
- ワークシートの指定/3年のデータを転送/2年のデータを転送/1年のデータを転送
- 3−12 調査書作成のマクロ(指定印刷)
- 関数の利用
- 「InputBox関数」/Val関数
- コードの書き方
- 総合問題(運動会の得点集計マクロ)
- あとがき
まえがき
情報化の進展は,加速度的に私たちの社会・生活を変えようとしています。私たちは,18世紀「産業革命」に対峙する「情報革命」の真っ只中に身を置いていることを,まず自覚しなくてはなりません。ところでこの情報化は,情報技術の発展とそれを活用する人々のスキルアップによって実現されていくものです。企業においては,「利潤追求」という明白な目標のもと,まさに存続をかけた厳しさを持って情報化に取り組んできました。「システム課」等の新しい部署を立ち上げるなど,大掛かりな組織再編を通じて,情報専門職の人材を積極的に育成してきました。この成果として,専門職がシステムを開発し,一般社員がそれを利用していく,いわば「情報活用の分業体制」が確立されました。
それに対して,学校現場はどうなのでしょうか。企業がシステム課等を立ち上げると同様な動きは,学校現場ではいっさいありませんでした。個別の研修等はあったものの,組織としてコンピュータ専門職を育てるような施策はまったくなかったのです。「パソコンが得意な先生」が,あくまで個人的に業務を支援していく,こうした善意の積み重ねの上に,学校現場の情報化は成り立っているのです。パソコンが得意な先生の多くいる学校では情報化がスムーズに進展するのに対し,そうでない学校では遅々として情報化が進まない現状が,そこにはあります。いわゆる情報格差の問題です。さらに,A先生がいなくなったらシステムは利用できなくなる等,企業では考えられないような事態が,当たり前のように学校には残っているのです。もちろん,教育を行う場としては,効率だけを優先して何から何までIT化する必要はないことは,言うまでもありません。ただ業務の効率化を通じて得られるものも多いはずで,それが教員だけにとどまることなく,最終的には児童・生徒に還元されることを考えると,簡単に見過ごすことのできない問題になっていると考えます。
本書は,こうしたことを改善することを目的として企画しました。つまり情報化の恩恵を,どの学校でも等しく受けられるように,「分かりやすさ」と「身近さ」にとことん拘り,広く教職員のIT活用能力の向上を目指したものです。学校業務に係わる例題を多く配置するなど内容の精選を通じ,すぐに役立つ知識・技術の習得を目指しました。よって,本書は少数のパソコン上級者を対象にした専門性を高める本ではありません。より多くの教職員に対して,基礎的なデータ処理のテクニックを身につけていただくことを目標にした手引書であります。
付け加え,本書に関連する校内研修会等を企画されるようなことがあれば,可能な限り参加させていただきたいとも考えております。著書・著者ともども,微力ながら学校現場の情報化の一助となることを願っております。
2007年8月 国際医療福祉大学小田原保健医療学部准教授 /井上 豊
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本書は著者が実際に操作した結果を慎重に検討し,著述・編集しています。但し,記載内容に関わる運用結果につきましては,責任を負いかねますので,ご了承ください。
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