- まえがき
- INTRODUCTION
- タブレットPCを学習サポートに使うということ
- タッチパネルの操作用語
- タブレットPCを学習や生活のサポートに子どもが使うために必要な12のスキル
- Chapter1 Q&Aでわかる! タブレットPCを活用した学習サポート
- 1 タブレットPCの基礎を知ろう
- Q タブレットPCにはいろいろな種類がありますが,どれがいいですか。
- Q アプリはどこにありますか。
- Q インターネットにつながらないと使えませんか。
- Q インターネットにつながると有害サイト等の心配があります。小学生が使っても大丈夫でしょうか。
- Q タブレットPCのタッチパネルが反応しません。
- Q 指が不器用で,タッチパネルが上手に使えません。どうしたらいいですか。
- Q 衝動性が強く,画面のいろいろなところを触ってしまいます。どうしたらいいですか。
- 2 学習の困難さに応じて使ってみよう
- Q タブレットPCを学習サポートに使う,ということは具体的にはどうすることですか。
- Q 困難別のサポート方法を教えてください。
- 文字を読むのが苦手
- 書くことが苦手
- 計算が苦手
- 情報を処理するのが苦手
- スケジュール管理が苦手で時間にルーズ
- 忘れ物が非常に多い
- 会話するときの適切な声の大きさがわかりにくい
- 話している内容が聞き取りにくい
- 本のページをめくることが難しい
- 通常の書籍では見えない・見えにくい
- 音声言語でのコミュニケーションが難しい
- COLUMN AIで学習支援はできるか?
- Q 読むことが困難な場合に使える具体的なアプリを教えてください。
- Q 書くことが困難な場合に使える具体的なアプリを教えてください。
- Q 作文や読書感想文を書くことが苦手です。タブレットPCを使ってサポートする方法はありますか。
- Q 予定変更が苦手,予定を忘れやすい場合に使える具体的なアプリを教えてください。
- Q ローマ字を覚えることができません。どのような入力方法をすればいいでしょうか。
- Q 学習に使えるアプリの見つけ方はありますか。
- Q 時間をかければ文字を正しく読むことも書くこともできます。それでもサポートツールが必要でしょうか。
- Q タブレットPCやパソコンは高価です。これらを使わなければ,読み書きの困難をサポートすることはできないのでしょうか。
- 3 タブレットPCを学校で活用しよう
- Q 学校にタブレットPCを持ち込むためにはどうしたらいいのでしょうか。
- Q 学校でタブレットPCを用意してもらうことはできないのでしょうか。
- Q いつ頃から使い始めればいいですか。
- Q タブレットPCはどの子の学習にも有効ですか。
- Q 障害の診断はありません。それでも使っていいでしょうか。
- Q 苦手な読み書き計算をできるようにしなくても大丈夫ですか。
- Q 実際に通常の学級で使っている事例はありますか。
- Q 読み書きに苦労している子どもにタブレットPCを使うと,もっと読めなくなったり書けなくなったりしませんか。
- Q タブレットPCで勉強できても,入試等では使えないのだったら,紙と鉛筆での勉強もしなければいけないのではないですか。
- Q タブレットPCで授業中に遊んでしまわないでしょうか。
- Q スマホやタブレットのゲームに夢中になってしまいます。どうすればいいでしょうか。
- Q 教室で一人だけタブレットPCを使うのは平等ではないのではありませんか。
- Q タブレットPCを使うことを,他の子どもにどのように説明すればいいですか。
- Q 他の子がずるい,と言ったら,どう答えたらいいでしょうか。
- Q 本人が他の子とは違う勉強方法をしたくない,と言って,タブレットPCを使おうとしません。どうしたらいいですか。
- Q 小学校低学年でタブレットPCを使うときに気をつけることはなんですか。
- Q 小学校中学年から高学年でタブレットPCを使うときに気をつけることはなんですか。
- Q 中学生になって英語だけとても苦手です。タブレットPCを使ってサポートできますか。
- Q 中学校で高校入試に向けてタブレットPCを使うときに気をつけることはなんですか。
- Q 高等学校でタブレットPCを使うときに気をつけることはなんですか。
- Q タブレットPCを教室ではどのように管理すればいいですか。
- Chapter2 事例でわかる! 具体的なタブレットPCの活用法
- 事例1 すらすら音読ができない小学1年生
- 事例2 漢字が書けない小学3年生
- 事例3 相談室登校の小学6年生
- 事例4 英単語の綴りが覚えられない中学1年生
- 事例5 学校での配慮を拒否している読み書きに苦労している中学2年生
- 事例6 学習意欲がなく留年しそうな高校1年生
- 事例7 大学進学を希望している学習障害の診断がある高校2年生
- あとがき
- 付録 用語解説
- 参考サイト等
- 参考文献
まえがき
平成24年度から実施されている学習指導要領においては,情報教育や授業におけるICT活用など学校における教育の情報化について,前の学習指導要領よりもより一層の充実が図られています。さらに,その教育の情報化が,円滑かつ確実に実施されることを目指した「教育の情報化に関する手引」も平成22年に公表されています。この教育の情報化の流れは,平成30年度から先行実施されている新学習指導要領においても,「情報活用能力の育成」がその中心の一つとして置かれていることからわかるように,継続発展しています。
特別支援教育においても,教育の情報化は無縁ではありません。「教育の情報化に関する手引」の第9章が,「特別支援教育における教育の情報化」と題して一つの章が割かれています。その中で情報機器は,「特別な支援を必要とする児童生徒に対してその障害の状態や発達の段階等に応じて活用することにより,学習上又は生活上の困難を改善・克服させ,指導の効果を高めることができる有用な機器である」と書かれています。
これまで教育のICT活用というと,学びの質を高めるツールという文脈で語られることが多かったかもしれません。しかし,「教育の情報化に関する手引」の第9章に書かれていることはそうではありません。すでにある力をさらに強くするエンハンスメントのためのツールとしてではなく,困難や弱さを補ったり補助したりするサポートツールとしてICTが活用できる,ということが書かれています。
本書は,上記の「教育の情報化に関する手引」第9章に書かれているような,何らかの困難や弱さがあるために学習にスムーズに取り組めない子どもたちが,タブレットPCを学習サポートツールとして活用して,楽に学習することを目指して書かれました。
確かに,すでに特別なニーズのある子どもたちの教育にタブレットPCの導入が進んでいます。しかし教員からは,それらタブレットPCをどう使えばいいのかわからない,という正直な声も聞こえてきます。逆に保護者からは,タブレットPCを万能のサポートツールと思い込んでしまったのか,学校現場になんとしても持ち込みたい,という声も聞きます。また,すでに使われている学校現場では,単にドリルアプリを使うだけであったり,本人が楽しそうにしているという理由でゲームを余暇に使っていたりするケースも,決して少なくないようです。
本書では,現場の先生方や保護者の方が知りたいと思っている,タブレットPCを学習のサポートツールとして活用する方法や疑問点に対して具体的に答えています。Q&A形式にしてありますから,Q&Aの順番にこだわらずに一番知りたいことから読んでください。そこから,目の前にいる困っている子どもへの支援が始まります。
/河野 俊寛
今こそ広く読まれるべき一冊である。