- まえがき
- 序章 ルールの前に
- 部活動の必要性
- 働き方改革と部活動指導
- 子どもも教師も充実する部活動とは
- 1章 部活動運営のルール
- ルール1 学校にプライドをもつ
- ルール2 部活動の熱をはかる
- ルール3 短い時間でも部活動に出る
- ルール4 前任者を否定しない
- ルール5 部活動で「やり抜く力」を高める
- ルール6 子どもに優先順位を伝える
- ルール7 地域を知ることで、人的・物的資源を見つける
- ルール8 「数」を頭の中に入れる
- ルール9 購入する物を決定する
- ルール10 体罰は絶対に許されない
- 2章 練習・試合運営のルール
- ルール11 休みから活動計画を考える
- ルール12 当たり前を疑い、あえてなくしてみる
- ルール13 シンプルな練習にする
- ルール14 一人一人の活動時間を確保する
- ルール15 全体練習後に、自主練習の時間を確保する
- 3章 チームづくりのルール
- ルール16 全ての子どもを大切にする
- ルール17 先頭集団をつくり、先頭を走る子どもを伸ばす
- ルール18 役割分担を明確にする
- ルール19 多くの人と関わりをもつ
- ルール20 多様性を認める
- ルール21 選手ミーティングを行う
- ルール22 失敗を認め、チャレンジをほめる
- ルール23 負けた試合に価値を求める
- ルール24 本物に触れさせる
- ルール25 部活動外の時間をつくってみる
- 4章 技術指導のルール
- ルール26 真の技術は本当の努力で身につく
- ルール27 身体のベースとなる食事にこだわる
- ルール28 まずは自分でやってみる
- ルール29 伝え方を工夫する
- ルール30 得意なことを伸ばす
- ルール31 自分の言葉で言わせる
- ルール32 他の部活動の動き・取組を参考にする
- ルール33 試合や大会に近づける
- ルール34 ライバルを大切にする
- ルール35 専門家の力を借りる
- 5章 保護者・外部人材との連携ルール
- ルール36 顧問はいつか異動すると自覚する
- ルール37 保護者に協力を依頼する
- ルール38 自分の○○だけよければよいという考えはもたせない
- ルール39 必要な人材について学校側から発信する
- ルール40 外部指導者を積極的に活用する
- ルール41 相談することでチームの力を伸ばす
- ルール42 部活動のきまりを周知する
- ルール43 保護者と一定の距離感を保つ
- ルール44 保護者に支えられて動く
- ルール45 共に変化の道を追い求める
- 6章 部活トラブル回避のルール
- ルール46 子どもの可能性にストップをかけない~生徒会・学級委員への挑戦~
- ルール47 下級生にストレスを与えない
- ルール48 顧問と異なる考えを大切にする~独裁的にならない~
- ルール49 スピード感をもってケガの対応・報告を行う
- ルール50 集金などの金銭管理は保護者の力を借りる
- ルール51 授業を大切にしてこそ部活動がある
- ルール52 他の部と連携・協力する
- ルール53 目に見えない部分を見る努力をする
- ルール54 子どもの意思を尊重する~退部も一つの選択肢である~
- ルール55 保護者と共に子どもの成長を考える
- ルール56 リスクが気になる時は無理をしない
- あとがき
まえがき
私は、部活動運営と指導力は、教師の学級経営と授業力と同じだと思っています。
二〇一八年三月、スポーツ庁から「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が示され、各都道府県教育委員会、市区町村教育委員会、そして各学校で運動部活動の運営方針が策定されました。
そして適切な休養日の設定として、週二日以上の休養日を設けることとなり、土曜日及び日曜日は、いずれか一日を休養日としなければならなくなりました。
さらに、当たり前のように行われてきた朝練(朝の練習)にも制限がかかり、今までのような練習や試合の「量」、特に長い活動時間によって力をつける部活動指導ができなくなりました。
「これでは全然強くならない」「朝練がないと、子どもたちの遅刻が増える」といった現場の教員の不満の声が聞こえてくる一方で、子どもたちの安心した表情も見ることができ、これが生徒の本音だと感じました。
週休二日になったことによって、今までより活動が制限される中で、私は、今こそこれまで自分の頭の中で考えていた部活動改革を実行するチャンスだと思い、自分なりの部活動改革に着手しました。
部活動改革といっても、これまで多くの学校で実践されてきたことばかりですが、それらを参考に、自分の学校や子どもたちに合うように工夫しました。
また、学級経営や授業で効果がある指導方法も、部活動に取り入れるようにしました。
結論から言うと、部活動の休みは増え、部全体の活動時間は以前より減りましたが、選手個々の活動量は増え、チームとしての活動の幅は広がり、成績もよくなっていきました。
そして、子どもたち一人一人がうまくなっていることを実感しました。
ただし、最初に断っておきますが、私のチームは、全国大会や関東大会に進めるような強豪チームではありません。
どこにでもある普通の公立中学校の部活動であり、チームです。
全国大会を目指すチームや部活動であれば、入部してくる子どもたちの質、部員数が最も大事だと思います。
しかし、公立学校ではなかなかそうはいきません。
毎年、「どんな子どもが入部してくれるのだろうか」「部員の数は多いだろうか」と頭を悩ませているのが現状だと思います。
私の学校では、十月末に中学校区の小学生を招いて部活動体験を行います。その時に、おおよその子どもたちの質や人数を把握することはできますが、それでも他の部活動に入部する、サッカーの場合はクラブチームでプレーするという選択肢があるので、入部してくるまでは不安を拭うことはできません。
幸い、ここ数年、ある程度の人数が入部してくれたおかげで、一年生だけでチームをつくって試合をすることができるようになりました。
ただ、選手の質や人数ばかりに頼っていては、部活動そのものは変わりません。
逆に、部員数が多いことによって、活動場所が狭くなり、個々の活動量が減ってしまうこともあります。
中学校の場合、部活動に取り組める期間は約二年間、長くても二年半であり、とても短いものです。その短い期間の部活動を充実させるために、まず、人的・物的体制を整えることを私は行いました。
これまでの部活動は、よくも悪くも顧問の専門的な指導力に左右されていました。ある時、顧問の異動によって、振り回される部活動を目にしました。その姿を見て、顧問の異動の影響を受けずに、持続可能な部活動にしなければ、今後、学校が部活動を続けていくのは難しいと痛感しました。
そこで、まず、環境面の整備ということで、地域の人材を活用してスタッフをそろえることにしました。また、練習の効果を上げるためには、子どもたちの練習環境を整える必要があると思い、学校や保護者に協力を依頼しました。古くなったサッカーゴールのポストはきれいに真っ白になり、新しいサッカーゴールも設置されました。地域の施設を利用して練習や試合を行うこともできるようになりました。
ただし、どの学校でも同じですが、部活動で使える予算は限られています。
全て新しい物を買えるはずがありません。
そのような時は、「お金がないなら、頭を使え」と自分自身に言い聞かせ、工夫しながら子どもたちの練習環境を少しずつ整えていきました。
次に行ったのは、教員としての力量を高めることでした。
先述の人的・物的体制を整えることは、「目に見えること」であり、即効性もあります。それに対し、教員としての力量を高めることは、「目に見えないこと」が多く、日々自分自身と向き合う必要があります。
例えば、伝え方です。子どもたちにどのような言葉で伝えたら効果があるのか、常に意識していました。本を読んだり、人の言葉を真似したりしながら、伝わる言葉を探し続けました。
ただ、私たち教員は部活動ばかりに力を注ぐことができるわけではありません。学習指導、行事の打ち合わせ、生徒指導の問題や保護者対応など、その仕事は多岐にわたります。正直、そのような時は、部活動に行くのが面倒だったこともありました。
それでも、今の自分があるのは、部活動に足を運び、子どもたちと向き合ったからだと思います。
先日、ある試合で、先輩の顧問の指導を必死にメモし、常に子どもたちの側にいる新採用の先生を見かけました。その先生にとっては専門外の部活動担当ですが、子どもたちは先生の言葉に耳を傾けていました。
やはり、部活動は教育の一環であり、教員の熱は大事なのだと感じました。
本書には、週休二日以前の内容も含まれていますが、週休二日になっても私が変わらず実践してきたことばかりです。部活動が週休二日になったことで実践できたことも書いています。少しでも、皆さんの参考になれば幸いであり、交流ができたらと思っています。
だからこそ
‘’どこにでもある普通の公立中学校の部活
の話‘’
がとても身にしみました!
先生の考え方がわかるということは
私達保護者のため
結果子供のためになるのではと思います。
同世代の子供達をもつ保護者の方に
ぜひ、お勧め致します。