- はじめに
- Part1 導入で全員を授業に引き込む3つのポイント
- POINT 1 生徒の感覚を刺激する
- POINT 2 生徒の身近なトピックを扱う
- POINT 3 学びの環境を整える
- Part2 中学校英語 導入のアイデア60
- 1年
- 1 【教室英語】動作で教室英語
- 2 【自己紹介 I’m ~. I like ~.など】ちょっとフェイクな自己紹介
- 3 【be動詞 I am ~. / Are you ~?】勘違い質問 あなたは○○さん?
- 4 【be動詞 This is ~. / Is this ~?】これは私の○○?
- 5 【be動詞 He is ~. / She is ~.】私の○○紹介
- 6 【疑問詞Who】この人はだれ?
- 7 【一般動詞・肯定文】1日の生活
- 8 【一般動詞・疑問文/否定文】○○を持っていますか?
- 9 【一般動詞・三単現】私と彼と彼女
- 10 【疑問詞】ネットで音声検索
- 11 【疑問詞Why】理由を教えて!
- 12 【How many ~?】クラスの合計はいくつ?
- 13 【命令文・Let’s ~. 】○○しましょう
- 14 【What is this?】これは何?
- 15 【疑問詞 Where】それはどこにあるの?
- 16 【所有格・独立所有格】だれの教科書?
- 17 【代名詞目的格】彼を知ってる?
- 18 【現在進行形】ライブで実況中継
- 19 【助動詞can / can’t】みんな違ってみんないい
- 20 【一般動詞(過去形)】昨日○○した人は何人?
- 2年
- 21 【be動詞(過去形)】〇〇はどうだった?
- 22 【過去進行形】そのとき彼らは何していた?
- 23 【Show me + 名詞】私に見せて,私に教えて
- 24 【call+A+B】それを何て呼んでいる?
- 25 【look+形容詞】何に見える?
- 26 【未来形(計画・予定)】あなたの予定は?
- 27 【未来形(意志・単純)】とっさに答えてみよう
- 28 【不定詞(名詞的用法)】したいこと/したくないこと
- 29 【不定詞(副詞的用法)】何のためにそうしたの?
- 30 【不定詞(形容詞的用法)】すべきこと/すべきもの
- 31 【must / have to】日本のルールと外国のルール
- 32 【接続詞when】嬉しいとき/悲しいとき
- 33 【I think that節】私の考え
- 34 【There is / There are】そこにあるのは何?
- 35 【動名詞】こんなときはどう過ごす?
- 36 【比較級】どっちが○○?
- 37 【最上級】最も○○なのは?
- 38 【比較級/最上級】moreとthe most
- 39 【依頼と許可】小さなお願いきいてくれる?
- 40 【感嘆文】驚きと不満 何て○○なの!
- 3年
- 41 【受動態】だれの作品?
- 42 【make A+B】あなたを幸せにしてくれるものは?
- 43 【Show & Tell】日本の文化紹介
- 44 【完了形(継続)】私が続けていること
- 45 【完了形(経験)】こんな経験ありますか?
- 46 【完了形(完了)】もう○○した?/ちょうど○○したところ
- 47 【不定詞(原因を表す副詞的用法)】あなたの感想は?
- 48 【発音】さようならカタカナ英語
- 49 【誘い】誘う/応じる/断る
- 50 【疑問詞 + to】そのやり方知ってる?
- 51 【It is ~ for ~ to ~.】私にとって必要なこと/興味深いこと
- 52 【want+(人)+to ~】あなたにしてほしいこと
- 53 【tell+(人)+to ~】○○するように言う
- 54 【後置修飾(前置詞)】メガネをかけている男の人は?
- 55 【現在分詞(修飾)】○○している人が○○さんです
- 56 【過去分詞(修飾)】○○で話されている言語は…
- 57 【間接疑問文】彼の誕生日いつか知ってる?
- 58 【関係代名詞(主格)】こんな友だちがいます
- 59 【関係代名詞(所有格)】この人の○○,実は○○です
- 60 【関係代名詞(目的格)】自慢の一品 私が〇〇した○○です
はじめに
私が英語教師になってまもない頃,先輩の英語教師が次のような言葉を教えてくれました。
「自分が生徒のときに教わったように,生徒に教えてはいけません。」
まだ若かった私は,最初にこの言葉を聞いたとき次のように解釈しました。自分が受けてきた古い教育は真似してはいけません。新しい実践を学び自分の授業に取り入れなさいと。いつの時代も新しい知識や技術を学ぶことは大切で,それを自分の実践に活かすことができたらさらに素晴らしいでしょう。しかし,何十年も前に学んだ英語を使って世界中で活躍している日本人はたくさんいます。我々教師が幼い頃受けてきた英語教育がすべて間違いだったとは思いません。それどころか自分を英語好きに育ててくれた恩師たちには深く感謝しています。日本の英語教育は日々着実に進歩しているはずなのに,とある研究会で「教わったように教えるな」という言葉をつい最近もまた耳にしました。これはいったいどういうことでしょうか。
1つの学年で複数クラスを担当していると,最初のクラスで上手くいったことが次のクラスではなんだか反応がよくなかったという経験があります。私はそんなとき「このクラスはノリがよくなかった。」などとブツブツつぶやきながら職員室に戻ったものです。「教わったように教えるな」この言葉のもう一つの意味が「クラスや生徒の実態に合わせて指導を工夫することが必要である」ということに気付いたのはそれから何年も経ってからのことでした。上手くいかない授業を生徒のせいにしていた私の恥ずかしい経験です。
中学校教師は多忙です。「教師は授業で勝負」と言われますが,落ち着いて教材研究に取り組む時間を確保するのは容易ではありません。朝の登校指導から日々の生活指導,学校行事,校務分掌,部活動指導,場合によっては時間外の保護者対応などするべきことが山積しています。この本を手にされた先生方の多くも,きっとそうに違いありません。学習指導要領の改訂に伴い,学習すべき語は小学校で学習した語に1600語~1800語程度を加えた語,小学校や高等学校との接続,文構造と文法事項の追加,「話す」活動は「やりとり」と「発表」に細分化され4技能5領域になったことなどを考慮しながら,授業は基本的に英語で行うことなどが求められています。
本書では,初任や若い英語教師を対象に一人でも多くの生徒を授業に引き込むことができるように,効果的な導入例を紹介しました。現行の教科書にならって文法事項と言語材料の配列を行い,1つの題材は見開き2ページで左ページには文法項目と導入のポイントを,右ページには英語で行う授業に対応できるように教師のSmall Talkや生徒とのやりとりの例を台本形式で示しました。生徒の実態に合うように所々アレンジしながら授業の叩き台として使っていただければ幸いです。英語の授業では他の教科に比べて「導入」に重きが置かれているようです。日常生活で生徒たちが触れる機会が少ない英語という教科特有の傾向かもしれません。生徒一人ひとりが目を輝かせながら授業の扉を開いてくれることを期待しつつ,私はこの本を書きました。
2018年10月 /著者 楽山 進
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