- はじめに
- 第1章 生徒指導 10の心得
- ―問題行動を予防する生徒と教師の関係作り―
- 1 生徒指導の前提条件を理解する ―信頼関係作りに全力をあげよ―
- 1.生徒指導の目的
- 2.生徒指導の前提条件
- 2 いかなる時も笑顔で接する ―頼れる学級担任を目指せ―
- 1.いかなる時も笑顔
- 2.笑顔で接することの必要性
- 3 一度は受け入れる ―納得させて動かせ―
- 1.生徒への対応の基本
- 2.納得すれば生徒は動く
- 4 認めて伸ばす ―教育信条を体に染み込ませよ―
- 1.「信頼関係」を築く
- 2.二つの教育信条
- 5 教師の人間力を鍛える ―行動せよ,時間を使え―
- 1.良い本を読む
- 2.生徒の信頼を勝ち取る教師の行動力と行動量
- 6 生活指導との違いを知る ―生徒の成長の伴走者を目指せ―
- 1.生活指導とは
- 2.生徒指導とは
- 7 子どもの心をわしづかみにする ―交換日記と語りで信頼を築け―
- 1.生徒と交換日記を行う
- 2.生徒に語る
- 8 即時対応で先手を打つ ―生徒に振り回されるな―
- 1.すぐ,動く
- 2.生徒と約束しない
- 3.生徒に振り回されない
- 9 言ったことは必ずやらせる・やってみせる ―一貫した姿を見せよ―
- 1.言ったことはやらせる
- 2.教師がまずやる
- 10 子どもがあこがれる教師になる ―太陽となれ―
- 1.思春期はあこがれの人を求める時期
- 2.教師は太陽であれ
- 第2章 場面別対応例でわかる! 子どもの心をつかむ生徒指導50
- ■登下校時の問題行動への対応■
- 1 毎日遅刻してくる
- 2 通学路の交通ルールを守らない
- 3 ルールを破って登下校する
- 4 ピンポンダッシュで地域の人々に迷惑をかける
- 5 夜遅くまで帰宅しない・無断で外泊する
- ■授業中の問題行動への対応■
- 6 おしゃべりをしていて教師の話を聞かない
- 7 授業時間中に立ち歩く
- 8 教科担任の指示に従わない
- 9 授業中に平気で読書をする
- 10 授業中に手紙を書いて回す
- 11 授業中に携帯が鳴った
- 12 授業中にお菓子を食べている
- 13 授業崩壊している
- ■日常生活で起きる問題行動への対応■
- 14 服装や頭髪に乱れがある
- 15 夏休み明け,染髪・化粧をしてきた
- 16 不要物を持ち込んでいる
- 17 清掃への取り組みが悪い
- 18 学級内で物の紛失が頻繁に起こる
- 19 教師に暴力をふるう
- 20 万引きをした
- 21 校内で喫煙をしていた
- ■人間関係における問題行動への対応■
- 22 いじめに発展しそうなからかいがある
- 23 保健室登校の子どもと向き合う
- 24 不登校の子どもと向き合う
- 25 クラスに孤立しがちな生徒がいる
- 26 SNSやメールに関わるトラブルが起きた
- 27 不適切な交際が発覚した
- 28 女子グループが対立した
- 29 学級内でケンカが起きた
- 30 席替えで問題が生じた
- ■部活動での問題行動への対応■
- 31 部活動の人間関係が学校生活にも影響している
- 32 行き過ぎた上下関係が見られる
- 33 部活内でいじめが起きた
- ■行事指導で起きる問題行動への対応■
- 34 全校集会・学年集会への参加態度に問題がある
- 35 避難訓練が騒がしい・真剣さがない
- 36 希望した職場体験先から外れてしまった
- 37 体育祭が盛り上がらない
- 38 合唱コンクールの練習に真面目に取り組まない
- 39 修学旅行を成功させるための布石
- ■進路指導での生徒・保護者への対応■
- 40 定期テストで思うような点数が取れない
- 41 志望校の変更を検討する
- 42 推薦入試を受験する
- 43 進路が決まった生徒に卒業式までの過ごし方を教える
- 44 入試に失敗してしまった
- 45 卒業の意味について教える
- ■問題行動に関わる保護者への対応■
- 46 保護者に学級担任の熱意を知らせる
- 47 子どもの問題行動を共有する
- 48 食に関する問題を伝える
- 49 校内でケガをした際の連絡
- 50 問題行動を起こした生徒と保護者への指導
- おわりに
- コラム
- 1 あの頃は…(1) 焦りの20代?
- 2 あの頃は…(2) 生徒に冷たかった30代
- 3 あの頃は…(3) 笑顔の40代?
- 4 生徒は教師をよく見ている
- 5 「遊び」が生徒の人間関係を作る
- 6 生徒指導には鬼門の月がある
- 7 生徒との交換日記のポイント
- 8 教えて褒める指導
はじめに
■それでも,生徒の問題行動は起きる
どんなに優れた教師でも,どんなに優れた方法を実践しても,学級には様々な子がいるから,問題はいつでも起きる。
大きな問題もあれば,小さな問題もある。
問題がない学級が不思議なのだ。
学級担任は,問題が起きたら真摯に取り組む。すぐに取り組む。
真摯に取り組めば,無駄な問題行動など一つもない。
問題行動は,問題を起こした生徒との絆を作る,神様からのプレゼントでもあるのだ。
生徒の問題行動は,学級を成長させるチャンスなのだ。
問題行動が起きると学級担任は確かにへこむ。
しかし,それはいくつになっても教師である自分自身の勉強でもある。
学級や生徒の問題行動はチャンスである。
対応が良ければ,学級も生徒も必ず良い方向へ変わっていく。
たとえ対応に失敗しても,次の手を考え実践する。
そのときは何の変化も見えなくても,次第に学級も生徒も変わっていく。
問題行動が起こり,教師が行動する。その問題へのアクションが事態を必ず変えていく。
一人で悩まず,学年主任や,生徒指導主事,教頭に相談しよう。先輩からはこれまでの経験を生かしたアドバイスを必ずもらえる。
そして,周りの動きとアドバイスをもとに,学級で子どもたちに語り,子どもたちの意識を作り,問題を共有し,共に解決への一歩を踏み出したい。
問題行動は,その子だけの問題ではない。一つの問題行動をクラスみんなで考えることを通して,子どもとクラス,そして,担任である自分自身を成長させるに違いない。
■大きな声で怒鳴って子どもを動かす…?
若い頃は,大きな声で怒鳴って生徒を動かす教師を「すごいな~」と思っていた。
生徒が教師の言うことを聞いているからだ。
「自分には,あんなふうに生徒を動かすことが出来ない。あんなふうに生徒を動かすことが出来ればイイな~」と見ていた。
生徒指導は,声が大きくて,体育会系の先生が得意とする分野なのだと思っていた。
反抗する中学生も,体育会系の教師の前ではいい子にしていた。授業では好き勝手に振る舞う生徒たちも,声が大きな怒鳴る教師の前では,素直に言うことを聞いていた。
しかし,それは,声が大きな怒鳴る教師のほんの一部分を見ているに過ぎなかった。
声が大きくて,怒鳴る教師の多くは,学校で手に負えない生徒たちの話し相手であり,彼らに唯一声をかけてくれる存在でもあったのだ。
多くの教師に反抗し,授業もろくに受けない生徒たちに一番時間をかけ関わっていたのが,声が大きくて怒鳴る教師たちだった。
全ての生徒を,本気で何とかしたいと思う教師がそこにいた。
私が教師になった頃,そんな多くの先輩教師の姿を見てきた。
しかし,心のどこかで,自分にはとてもマネが出来ない,同じように指導は出来ないとも感じていた。
自分とはタイプが違い過ぎる,自分のキャラではないと思っていたのだ。
そんな思いが,タイプが違い,キャラも違う自分にどんな指導が可能なのかを考えさせるきっかけとなった。
もっと,別の方法で,生徒たちと共に問題行動を考え,解決していく方法があるのでないか,と考え続けた。
あるとき,先輩教師から,「垣内さん,俺は,1年間でたった一人の生徒が理解出来て,その子と繋がることが出来れば嬉しいんだよ。一人の生徒を本当に理解することは,それほど難しいし,一人の生徒と俺が繋がることはもっと難しいんだよ」と言われたことがあった。
この話を聞いたとき「これだ!」と思った。
自分は,声が大きくなくて,生徒に厳しく指導することはなかなか出来ないけれど,生徒の内面を理解する努力は出来るんじゃないか……,生徒と関わることを教師である自分が続ければ,生徒に伝わることも増えていくんじゃないか……と思うようになった。
とにかく,無駄と思えるようなことでも,誰もがやっていることでも,沢山続けてみようと考えた。
■10年先20年先にも生きる生徒指導を目指して
突然だが,私はもう,何回も卒業生を送り出した。
そのときの自分の全力を尽くして生徒に接し,学級経営を行い,学級や生徒の問題行動に対応してきたと思っている。
しかし,中学校を卒業していった生徒たちの姿を見ると,まだ自分に出来ることがあったのでないかと思っている。
同時に,自分の未熟さを感じてもいる。
完璧な教育などない。常に向上進取の精神を持ち続けて,問題行動こそ教師も生徒も学級も成長するチャンスなのだと捉えたい。
教師は,毎日,目の前の学級や生徒の問題への対応に追われる。
この生徒が3年先,5年先,10年先にどんなふうに生きていてほしいのか,そんなことを考えて指導出来る余裕もない。
目の前の現実に全力を注ぐだけである。
しかしそのことが,必ず未来の生徒の生きる力となってはたらくと信じている。
今は,生徒たちに伝わらないかもしれないけれど,「あのとき,先生が言っていたのはこういうことだったのか」という日が,きっとくると信じている。
教師の仕事は,今の生徒の生活と未来の生徒の生活に繋がる,二つの側面を持っている。
「自分たちのことを,あんなに考えてくれた先生はいない。学級のためにこんなに行動してくれた先生はいない」。そんなふうに感じてもらえる実践になれば良い。(きっと,そこまでやる中学教師が少ないのだ。生徒たちは,そこまでやってくれる教師を待ち望んでいる。)
この本は,若い教師への応援の書である。
学級で起きる問題行動,生徒が起こす問題行動は無限にある。
全てが同じ対応で解決出来るとは限らない。
しかし,その方法は様々であるが,共通する「考え方」はある。
この本には,その「考え方」と私が学級担任であったら,生徒にどう関わり,何を話すのかを,これまでの経験をもとに綴ってみた。
採用されたばかりの中学教師,初めての学級担任,生徒の問題行動に悩む先生方のお役に立てればと思っている。
/垣内 秀明
これを知れたことで学級経営に役立つ
この本は そうではない生徒指導を示してあり、とても共感のもてる内容でした