- はじめに
- 子ども自身の成長
- 1 子どもたちの成功体験を伝える
- 子どもたちのささやかなでも大きな成長
- 2 スマホの扱い方を伝える
- スマホは使い方次第で重宝もし,凶器ともなりえる
- 3 度胸をつける意義を学ばせる
- 校歌を一人で歌うには「勇気」「度胸」が必要
- 4 子どもは失敗しながら成長することを共有する
- 子どもらしく子ども時代を生きよう
- 5 固定観念に気づかせる
- 人間はみな思いこみにとらわれている
- 6 「克己心」を教える
- 「路線バスの話」に学ぶ
- 7 掃除の仕方を「きちんと」教える
- 水拭きをする意味を体感する
- 8 「当たり前」こそ強いと気づかせる
- できることは何か?
- 9 自分の壁を超える
- 力は発揮してこそ
- 10 責任について教える
- 最後の最後まで強い意志を持つ
- 11 夏休み明けの成長を伝える
- 学校生活のペースをさっと取り戻す素晴らしい姿
- 12 地道な努力の価値を教える
- 努力する人に学ぶ
- 13 障害に向き合う姿から学ばせる
- 心の声を聞け!
- 14 心身の逞しさを伝える
- 逞しさとは何だと思うか?
- 15 「夢中」こそ「最強」と教える
- 心を変えよ
- 16 子どもたちのここまでの成長を伝える
- 些細なことの積み重ねこそ
- 17 我慢して生きることを教える
- 本能と理性
- 18 発想の転換の大切さに気付かせる
- 強さの秘密にせまる
- 19 名言から人生を教える
- 天才とは?
- 20 掃除について考えさせる
- 掃除は「素敵なチャンス」
- 21 物を大切に扱う心を持たせる
- 道具を大事にしてこそ
- 22 人は苦難を乗り越えて成長する
- 苦難があってこそ
- 23 改めて「賢さ」について考えさせる
- 「賢い」ということ
- 24 反抗的な子どもをいさめる
- 学校をやめたいのなら
- 25 子どもの心の荒れをおさめる
- 二種類の人間
- 26 素直さが成長のもとと教える
- 医師と教師の共通点は?
- 27 大きな声を出す大切さを伝える
- なぜ声を出し,表情をつくることが大切か
- 28 我慢に耐えるのは潔い
- 豊かな時代だからこそ心は鍛えられる
- 29 読書の効能を感じさせる
- 読書は経験したことのない世界を味わわせてくれる
- 30 大きな声を出すメリットを実感させる
- 大きい声は脳に働きかける
- 友達や人との関わり
- 31 安心して力を発揮できる環境をつくる
- 友達を大切にするって?
- 32 丁寧な物の受け渡しを教える
- 「物」の上にあるもの
- 33 人に尽くす姿勢を教える
- 見返りを求めない
- 34 支えてくれる人たちへの感謝を教える
- 光あるところに影がある
- 35 悪口をいさめる
- 自信を手に入れろ
- 36 大切なものごとの存在に気づかせる
- 誰に支えられている?
- 37 友達とは何か考えさせる
- 本当の友達
- 38 友達の選び方を考えさせる
- コンプレックスは乗り越えるためにある
- 39 言語コミュニケーションの限界を知る
- 相手意識を持とう
- 40 本当の友情について考えさせる
- 穴があったら叫んで知らせられるか?
- 41 自分の言動の責任を感じさせる
- 誰に教わったのか?
- 42 感謝の心を教える
- 誕生日とはどのような日か
- クラス集団や社会への参加
- 43 利己から利他へ導く
- どうすれば早くできる?
- 44 手抜きせず校歌を歌える学級をつくる
- 校歌で「勝負」!
- 45 誰に支えられているか気づかせる
- 校外学習で感謝の気持ちを学ぶ
- 46 先人の偉業を伝える
- ウズベキスタンの親日はなぜ?
- 47 家族愛を感じさせる
- 言葉の持つ力
- 48 下ネタは公的な場では御法度と教える
- 心に着る衣服
- 49 下級生への心構えを持たせる
- 1年生から学ぶこと
- 50 命を守る人の苦労を知らせる
- 被災地の自衛隊員の姿
- 51 喜びとは何かについて考えさせる
- 人の役に立つことが喜び
- 52 気づいたら動くことの大切さを教える
- チームの中で自分を磨く
- 53 クラス目標達成を伝える
- 日本一の片づけ!
- 54 規律を守ることがチーム力になると教える
- ラグビー日本代表が強くなった理由
- 55 リーダーシップの大切さを教える
- リーダーシップと絆は仲間を救う
- 56 教室での話し方を意識させる
- 授業中のコミュニケーション
- 57 平和の意味を考えさせる
- 学習発表会での学び
- 58 リーダーのつらさを感じさせる
- リーダーとしての自分を自己採点
- 59 クラスの荒れと社会的信頼を考える
- 信頼というもの
- 60 公私混同させない
- 公共物
- 61 感謝の気持ちをもたせる
- 「自分のお金」なんてない
- 62 運命共同体であることを教える
- 危険物は持たせられない
はじめに
日本全国の学級で教師が避けて通れないシーンがあります。それは子どもたちへ語りかけるシーンです。特に子どもたちから望ましい言動を引き出すために行うお話を「説話」といいます。喧嘩が絶えない,我慢できない,悪口を言う,授業に集中しない……。特に子どもたちのマイナス面に直面した時に,教師は乾坤一擲,子どもたちの心に響く説話を行い,事態を打開する必要性に迫られます。その意味で説話は確固たる教育技術であり,リスクマネジメントの一環ともなりえます。
話すべきタイミングを逃すと,子どもたちの良くない状況を見逃してしまうことになります。そしてそれが続くと,学級は次第に荒れていきます。
みなさんはどれくらいの説話をご存知ですか? そして困った状況でいくつのお話を瞬時に子どもたちにすることができますか?
本書は既刊の『保護者・子どもの心に響かせる!声に出して読みたい学級通信の「いいお話」』の続編です。
それ以前に関連書籍として『絶対に学級崩壊させない!ここ一番の「決めゼリフ」』『絶対に学級崩壊させない!先手必勝「決めゼリフ」』も刊行していますのであわせてご参照いただけたら幸いです。
そもそも,当初は「担任教師が毎日子どもに贈る道徳の説話集をつくれないものか」というコンセプトをもっていました。日々至らなさ,弱さ,未熟さを露呈する子どもたちの「徳の低い」言動を変えるには,まずは子どもたちの認識を変えないといけないからです。
さて,子どもたちのみならず人間の認識を変えるにはどうすればよいでしょうか? その答えとなる方法の1つが「説話」です。本書を含むシリーズ4冊には子どもたちの認識を変える数々の説話が編纂されています。あらゆる教育活動や起こりうる指導局面の事前,事後に効果を発揮します。それはこれらの説話が子どもたちの認識を変え,結果,望ましい行動力を引き出すことができるからです。いわば道徳的実践力を引き出す効能があるのです。
折しも,道徳は「特別の教科 道徳」として教科化されました。小学校では授業に評価に大わらわの様相を呈しています。ご周知の通り道徳の評価は子どもたちが実際にとった言動でなく,授業中の成長局面を記述するのです。この時点で私は「日本の道徳教育は終わった」と思いました。そもそも今回の道徳の教科化は,いじめを巡る由々しき教育現場の実態ありきだったはずです。いじめをなくすことが重要だというのなら,当然,道徳の授業が子どもたちの道徳的実践力として結実したかどうかを評価すべきと私は考えます。ところが,あろうことか,授業レベルの成長の記述のみが評価となるというのです。まさに道徳の「机上の空論」化ではないでしょうか。「いじめ」を扱った教材で良い意見を言ったからといって,その子がいじめをしない,止めることができると言えるのでしょうか? 極端な話ですが,「いじめは人格を否定する卑劣な行為だ。」と立派な意見を言ったところで,実際には,いじめを見て見ぬふりをしていても構わないわけです。少なくとも,傍観者であったことを指導されることはないのです。あまりにもぬるい教育論としか言いようがありません。少しは教職経験を積み,クラスに存在するいじめの現実と真摯に戦ってきた教師ならば,今回の教科化の実態に憤りを感じるはずです。そうでなければ教師としての感性を疑います。
週1回の道徳の授業だけで,子どもたちが道徳的に変わることなどありえません。ましてや授業の様子を評価しているだけで,どうして子どもたちの授業外での行いが望ましく変わるのでしょうか?
日々の全教育活動における道徳教育の場面=学級経営の具体的な場面で説話を紹介し,きちっとできたらほめてあげる,ダメならビシッと叱る……。そんなフィードバックを繰り返しながら子どもたちは道徳的実践力を高めていけるのだと私は信じています。
本書では子どもたちへの指導局面を「子ども自身の成長」,「友達や人との関わり」,「クラス集団や社会への参加」という3つのカテゴリーに分類してあります。
特に最近は困難な状況の学級を担任する教師が増えています。そんな時もやはり打開策は子どもたちへの説話であり,少しでも子どもたちの言動を変えていく必要があります。必要な局面で必要な説話をぜひ子どもたちにしてあげてください。子どもたちの姿が少しでも良い方向に変わってくれたならこんなに嬉しいことはありません。
また,本書は説話であると同時に学級通信に掲載し,それを帰りの会で読み聞かせる形で子どもたち,そして保護者の方々の耳に入れることをねらっています。
学級通信にどんなお話を掲載したらよいかと悩まれる先生にも最適です。保護者の方とともに子どもたちの道徳力に磨きをかけていただけたらと願っております。
平成31年1月 著者 /土作 彰
土作先生の視野の広さと言葉の力。この本を読むと、土作先生は常にアンテナをはり、子どもに落ちる言葉や事例を追究しているのだろうと強く感じます。その姿勢を学ぶことができ、さらに、自分の言葉の引き出しを増やせることのできるオススメの1冊です!
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