- プロローグ
- Chapter1 保護者対応 まずは心得ておきたいこと
- 1 「対応」とは,本来は「向き合うこと」である
- 2 向き合うのに適した「時」がある
- 3 保護者は先生に期待し,失望する
- 4 失敗しないモンスターペアレンツへの対応
- Chapter2 保護者と教師の温度差を知ろう 保護者の心に寄り添う対応
- 1 参観授業,保護者はこう見ている
- 2 学級の様子,保護者はこう見ている
- 3 問題行動のとらえ方
- 4 ケンカのとらえ方
- 5 スマホの取り扱いには共同戦線を張る
- 6 学級通信で伝わらないこともあると心得る
- 7 保護者会に出たくなる工夫をする
- 8 個人懇談では子どものよいところを話す
- 9 「いじめじゃない」では通らないと心得る
- 10 保護者からの電話は聞くことに徹する
- COLUMN 同じ方向を向くことの大切さ
- ―教育観は違って当然―
- Chapter3 保護者対応にも欠かせない! ヒドゥンカリキュラムの視点
- 1 理想の教師像が変化している
- 2 知らない間に保護者に伝わることがある
- 3 見た目は大きな判断要素である
- @服装・髪型
- A声のトーン・大小
- B姿勢
- C語り口調
- D挨拶
- 4 参観日の翌日から学級が崩壊する
- @服装のだらしなさは品性のだらしなさ
- Aふだん通りの授業なんてあり得ない
- B保護者はよく見ている
- C成功する参観日の授業
- D新学期のスタートからずっと続けてきていることを
- 5 子どもを通して保護者に伝わること
- @間やタイミングまでは伝わらない
- A楽しい授業をつくるということ
- B先生のことだけは,何でも話している
- C言った通りに伝わると思うな
- 6 個人面談で気を付けること
- @視線を合わせないと嫌われる
- A真正面は疲れる
- B皮肉は厳禁
- C当たり前のことばかり言うな!
- D言い負かせても,納得にはならない
- 7 言葉の使い方に気を付ける
- @被害者の心理を考える
- A言葉の端々に本音が見えてしまう
- B預言者になるな!
- COLUMN 同じ方向を向くことの大切さ
- ―どちらも子どもについて知らない者同士―
- Chapter4 具体例でわかる! 保護者対応におけるトラブル・チャンス
- 1 雨降って地固まる
- 2 先手必勝で臨む
- @連絡帳のひと言は効く
- A電話に要注意
- 3 よく話を聞く
- 4 チームという考え方を持つ
- @管理職に全て報告
- A学年の力を借りる
- B自己開示がなければ親身にはなってもらえない
- 5 大きな問題ほどシステム対応
- @いじめ対応の場合
- A学校で取り組むことの安心感
- COLUMN 同じ方向を向くことの大切さ
- ―ベクトルの話―
- Chapter5 保護者の心をつかむ! 信頼される学級通信のつくり方
- 1 コメントの有る無しは大きいと心得よ
- 2 教師の自慢は,自己開示と親しみを持ってもらうという意味で
- 3 「書いたら読んでくれる」は甘い考えである
- Chapter6 信頼をつかみとる! 保護者会に活かせるアイデア
- 1 保護者会でよくたずねられることとは
- 2 読み聞かせを有効に使う
- 3 プロとしてのメッセージを届ける
- @学年の特質を語る
- A教科の専門性を語る
- 4 結局は個別対応である
- @個別に話を聞く
- A技術や理論よりも,誠実さ
- B保護者に支えられる
- エピローグ
プロローグ
「あなたのような人が先生をしていてはいけません。」
「担任を交代してください。」
「土下座して謝れ。」
「責任をとれ。」
「それでも,教師か!」
これらの言葉は,教師が実際に保護者から浴びせられた言葉です。
このような言葉を,大なり小なり若手もベテランも経験したことがあるのではありませんか? 人格否定の最たるものです。こんなものを浴びたときは,落ち込みますよね。
保護者にこのような言葉を使われないためには,どうすればよいのでしょうか?
また,こんなことを言われたとき,教師はどうすればよいのでしょうか?
「保護者対応」という言葉は,昔はあまり使われませんでした。
僕が教師になった当時は,教師という職業は今よりも社会的に地位が高くて,保護者は基本的に「先生にお任せします」というスタイルでした。多くの保護者はわが子に対して,
「先生の話をしっかり聴いてきなさい。」
と言って送り出したものです。
子どものケンカの一つや二つでいちいち文句を言ってくる方もほとんどいませんでした。学校でのことは学校に任せるのが「普通」だったわけです。
教師も,子どもの躾など個人のことは「ほとんどおうちの責任だ」という意識を持っていて,保護者を教え諭すという教師がたくさんいました。
クレーマーはいましたが,今のようなモンスターペアレンツと呼ばれるような方は,特殊な地域や家庭に限られていました。
保護者は若い教師に対しても,教師というだけで敬意をはらって接してくれていたのです。
今は,保護者の目が厳しくなっています。学校に対して要求することが過激と言ってもよいくらいに増えているのです。
しかも,教師への敬意があまりないので,言い方もきつく,攻撃的な方もたくさんいらっしゃいます。
このような時代に教師としてやっていくのは,大変です。どうしてもさまざまな保護者のニーズに応え,保護者にきちんと対応していくことが必要になってきたのです。
本書では,保護者の対応というものを小手先ではなく,根本的に考えていくことから語っていきます。教師と保護者の立ち位置や関係を見直していくわけです。そこを考えないから,場当たり的な対応になるのだと考えます。
次に,保護者に対するヒドゥンカリキュラム〔潜在的教育力〕を見直していきます。自分では気づけないままに保護者に伝わってしまうものがあるので,意識しましょうということです。
続いて,トラブルが起きたときの,また,起こさないための方策について書いています。長年の担任としての経験から学んだことがあります。加えて,全国の先生方からときどきくる相談ごとにものっていますが,そのときのアドバイスもたくさんあります。それらを具体的に示しています。
さらに,保護者会等,保護者の信頼を勝ち得るための具体的な方法についても示しています。
本書を読んで,保護者との関係が少しでもスムースになり,それが子どもたちに還元されていくことを,切に望みます。
追手門学院小学校 /多賀 一郎
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- 明治図書
- もっと実践的な内容が書かれていると期待していました(保護者会のネタなど)。考え方や視点、ものの捉え方のボリュームが多かった印象でした。2017/10/1なんちゃん
- 教師や保護者の教育観は違って当然、という前提をしっかりと持つことの大切さを知りました。2017/3/3120代・学生